2021/02/14 のログ
ご案内:「九頭竜の水浴び場 マッサージ室」にエレイさんが現れました。
エレイ > 「──くーわわわ……」

温泉旅籠内の、主に宿泊客向けに用意されたサービスの一つが、このマッサージ室である。
その施術室はいくつかの個室に分かれており、客は専用のカウンターで受付を済ませた後、各個室で待機しているスタッフと
一対一でマッサージを受けることになる。
なお、客にどのような施術を行うかは、スタッフの判断にすべて委ねる、というあたりはこの旅籠らしいといった所。
ついでに、各個室内には客に安心感を与え、施術への抵抗感を知らず知らずのうちに薄れさせてゆく効果を持った、
ほのかな香りのアロマが炊かれていたりもする。効果がどれほど出るかはその客次第なのだが。

──そんな中の一室で、施術台の横の椅子に座って待機しながら大欠伸をかましているのは、スタッフ用の作務衣に身を包んだ金髪の男。
男は正規のスタッフではないが、スタッフの一人である知り合いの頼みでヘルプとしてこの場に入っていた。
一応、名目としては冒険者としての依頼という形にもなっており、報酬も出すとのことなので、男としては断る理由もなかった。
……というか、そうやって頼まれるのもこれが初めてではなくもう何度目かになるので、
もう半ば非常勤のスタッフになりつつあったりもする。

「……アイツは俺をなんだと思っているんですかねぇ。まああ請け負っちゃう俺も俺だが……──ンン?」

待機し始めてしばらく、客の来る様子もないので男は暇を持て余していた。
が、詮無いボヤキを漏らしたところで、出入り口のカーテンが開かれたので男はふと顔を上げた。
個室は廊下に面しているため、受付を経ていない誰かも稀に紛れ込むこともあるらしいが、それはまあさておき。

「──やあやあいらっしゃい。マッサージをご所望……でエエですかねぇ?」

男はへらりと笑い、その来客を迎え入れる。

エレイ > そしてカーテンは閉じられ……旅籠の夜は変わらず更けてゆく──
ご案内:「九頭竜の水浴び場 マッサージ室」からエレイさんが去りました。