2020/07/22 のログ
ご案内:「設定自由部屋3」にバルベリトさんが現れました。
ご案内:「設定自由部屋3」にレオーネさんが現れました。
バルベリト > 『よ、ちょっと軍議後に時間貰っていいか?終わった後軍議室で待っていてくれ。』

そう軍議開始前に声を掛けた相手は第1師団、その長であり名高いレオーネ卿。
何の事はないのだが、軍議の時もいついかなる時も。気を抜かない、笑みを浮かべないとも評判の相手だった。
威圧感の様で、相手にも緊張を強いる様でもある佇まいの騎士団長。象徴としては、これほど適役はいないのかもしれないが。

「よ、お待たせ。」

軍議終了、解散宣言がされた後で戻ってきた男が手に持っていたのは、古びたチェス盤と駒の一式だった。
古木を使ったチェス盤は所々に傷等があり、かなり使い込まれているだろう様子は伺える。
また、騎士団の所有物でもないため男の自前の物。……要は、それなりの腕前であることを伺わせるには十分かもしれない。

軍議の間、中央のテーブルの上にそのチェスボードを置き、これまた少し古びた布袋から取り出されてくるのは白と黒のチェスの駒達。
それと。
チェスをしながらには十分だろう、軽食程度の小さなサンドイッチと、市街地で売られている一口サイズの小さなクッキー。
そして紅茶の詰められたポットもテーブルの上に並べられていった。

「レオーネ卿がこういうの好きだって聞いたもんでな。
たまにはこういう、遊びってのも変だが。師団同士の交流があっていいんじゃねぇかなって。
時間あればだが、付き合ってもらって良いかい?」

屈託がない声。以前より、男の方も僅かだが険が取れた声音と表情。
相手が盤上ゲームを嗜んでいる事と。それと、彼女が余りにも気を抜きすぎないことを心配した第1師団の騎士の一人からそれとなくだが聞いていた。

レオーネ >  
軍議室の卓にかける、黄金色の甲冑を身にまとった蒼髪の女騎士
やや眉間に皺を寄せ、その眼光鋭く誰かを待つ様子に、軍議を終えた騎士達はやや慌てるようにして部屋を出ていった

……なんのことはない
軍議の開始前に第八師団の長から声をかけられ、時間の都合を尋ねられたのである
普段そのようなことがない故、ただただ緊張しているだけなのだが…
その重苦しい様子が過度の緊張を周囲に与えてしまっていることに本人は気づいていない

やがて、軽い声と共に件の人物が現れる
手にはチェス盤、盤上遊戯に見立ててなにか戦術の相談だろうか…
生真面目にそう考えつつ、この場に二人となったこともあってやや緊張はほぐれて

「──いえ、今日はどのような?」

普段寡黙…と思われている黄金の騎士の声はいたって普通といば普通の、女性らしい声
要件を聞けば…どこからか自分がそういった遊戯を嗜んでいることを聞いたという話だ
確かにそれなりに遊びはする、特にこういったゲームはほとんど運が絡まない故、好んで嗜んでいたところもあった

「…そうね。特に私達第一師団は王都の護りを固めるばかり。
 他の師団のように戦場で絆を深める…といったことには縁がないわ」

ふぅ、とやや気落ちした溜息
第一師団は、その立ち位置から貴族騎士が非常に多い
危険を侵さず騎士としての地位を確保しておきたい…形骸化が著しい王国の腐敗を象徴するような騎士団である

「構わないけど、下手の横好き…別に強くはないわよ?」

男を見据えつつ、そう一言断りをいれた

バルベリト > 「戦場で絆を築くばかりが重要な事じゃないんじゃねぇかな。
逆に言えば1師団が王都を固めているから、他の師団がそれぞれある程度の裁量権を与えられて活動出来てる面もあるんじゃねぇか。」

こん、こん、と木製のチェス盤の上に並べられていく駒達。
兵士、騎兵、僧兵、城兵、女王、そして王。
彼女からすれば王国の腐敗を象徴するような師団であろうと。中には生真面目な存在もいる。
師団の長である相手然り、今は無名だが。自分に相談を持ち掛ける様な騎士もいる。

「強さだけを競う訳じゃねぇさ。こういう盤上ゲームは。
そもそも、強い相手を求めるならこういう遊戯のプロ相手に向かうもんだろ?」

チェスはついで、でもある。それを滲ませる声と共に。
身勝手だが最初の一手目。先手は自分が取っていく。コツン、と。定石通りともいえる兵の動き。
ポットの蓋を緩めると、鼻孔を擽るのは華やかな紅茶の香り。
悪くはない品質のそれを、相手と自分のカップに注いでいく。立ち上る湯気は紅茶の香気を膨らませていくだろうか。

「ま、なんてことはない。
単純に軍議の最中もそうだけど、随分気を張り詰めてるみてぇだからな。
その緊張感は必要なもんかもしれねぇけどさ。それを心配するようなのも、1師団にはちゃんといるってこった。

今の環境は、不満があったりするか?」

レオーネ >  
「勿論それだけが大事、と言うつもりはないけれど…。──どうも、頂くわね」

香ばしい香り漂うティーカップを、ガントレットを外した手で預かり、頂く
いかにもな高級感は感じない。王城に在る品ではなく、私物だろうか

「きんちょうかん……」

ああ、やはりそう見えているのだ
単なるあがり症なのに、それが余計に周囲にプレッシャーを与えてしまっている

そして不満を問われれば、やや自重気味な笑みを口元に浮かべて

「栄光のマグメール王国軍第一師団の長の椅子、
 不満なんて漏らしては罰があたるというものじゃない?」

手に取るのは騎兵、王の前へと立ち塞がるように、移動させる

バルベリト > 「淹れ方は我流だから味は保証しねぇけどな。
っと。騎兵か。」

ティーカップ。或いはサンドイッチ、クッキーなどが載せられているのはよくある市販品に近い。
白い陶器は私物でもある。破損しても何ら問題の無い品。
安物でもないが、代わりが無い様な貴重な物でもない。
掛けた言葉への返答、緊張感と言う言葉に対しての返答は少しだが困ったような反応が見え隠れする。

(緊張感、てわけではないのか。)

快くチェスの誘いに乗った相手が、人を怖がるような訳もなく。
だとすれば何由来の緊張感化、それに近い物かを考える必要が出てきた。
相手の動きに合わせる様に、騎兵を相手と対になる様に動かして見せる。
コン、と言う音は軽く室内に響き。相手に手番を渡していく。

「俺なら無茶苦茶文句言うね!窮屈にも見えるからなぁ。
罰は当たらねぇだろ。文句や不平不満なんて溜め込んでロクなもんじゃねぇし。
って偉そうに言えた立場じゃねぇけどな。

立場に魂が縛り付けられるようなもんじゃないしな。
それとも、師団の中には背中を預けたり、自由に話せる相手がいねぇ、とか?」

レオーネ >  
「ううん、十分。
 あまり高級な茶葉は、むしろ口に合わなくて」

こういった庶民的な味わいのほうが、むしろ心安らぐ
黄金の甲冑を脱ぎ去って過ごす時間のような、安心感を得ることができる…

「そうは言ってもね…」

続いての手番に動かすのは、僧侶
王の右隣から、斜めに移動させる
騎兵と僧侶が前に進み、向かって王の右には戦車が鎮座するのみ

「私が師団長に就任する時に蹴落とされた人達も多かったもの。
 そんな贅沢な悩みを吐露したら、彼らから恨み言の一つ二つじゃ済まないわ」

バルベリト > 「そりゃよかった。お、うーん……。」

僧侶の動きは少し予想外だった。キャスリングも視野に入れつつ、縦横だけの動きではない、トリッキーな動きと視野に入れにくい動きをする駒2種を主軸に据えてきている。
少々、考える間指が止まる。兵士、騎兵へ指が動きかけるがその指は止まる。
基本は迎撃、待ち受けた方が有利ではある。……のだが。

「どうしたもんかねぇ。」

悩んだ末に。1手遊ぶような手を入れる。
誘う様に、女王側の城兵前。その兵を前に進ませた。
基本防衛思考だが、フェイクに頼る自分の悪癖はどうもチェスにも反映されているらしい。
意地悪く待ち構える手を打って、ふと相手の表情を眺めてみる。

「ははは、なるほどなぁ。
蹴落としたってのはちょっとした気負いかもしれねぇけどな。
努力をしたんだろ?その結果であって、蹴落としたんじゃなく、勝ちぬいたって考えには……難しいか。

でもよ、悩みくらいは打ち明けて良いと思うぞー。
恨み事を言われるかもしれねぇって思うのはしょうがないとしてもな。
こういう盤上ゲームで遊べる相手を見つける、とかな。結構そういう人間を探すのは苦手だったり?」

なんとなく。緊張感ではなくとも、誰かに相談する事や悩みを打ち明ける事を避けている相手。
一見少女にも見えるその顔を見ながら、人付き合いがそれほど得意ではないのだろうか。そんな感想をもって問いかけてみた。

レオーネ >  
相手の手は…待ち構え、迎撃の算段らしい
奇しくも両者の得意とする布陣は似通っているようだった
が、レオーネのほうがやや、守りに寄る
キャスリングを想定するのは正しく、キングを右へ、右手のルークと入れ替える
これで所謂、キングが最奥へと引っ込んだ『穴熊』が完成

「ふ、遠慮なく攻めてもらっても構わないけど」

最速3手、真っ先にそういう布陣を取るあたりは…戦においても本来慎重派なのだろう
しかし第一師団長としての聞こえてくる話は、突飛なものばかり…その印象とは大きく離れたものだ

「そう思えれば良いけど、他の候補者は怪我だ病気だ身内の不幸だ、なんて結果。
 勿論栄え在る王国第一師団長の椅子、当然努力は惜しまなかったけれど」

実力で勝ち抜いた…と、それは言えるのか、どうか──

「そうね…。あまり積極的に他人と関わるコトは、ないわね。
 そこに特別な理由があるというわけでもないのだけど、
 単純にそれよりも第一師団長として在るために鍛え、躍進する日々。
 ただただ、時間が足りないだけでしょうね」

そう述べて、ティーカップを口元へと運んだ

バルベリト > 兵士を更に進ませた。城兵よりも2マス前。完全に浮いた存在となった兵士は遊軍の様に。
意図の見えない手と言うより、穴熊の様に守りを固めた相手を崩す目的なのか。
それとも陣形崩しの手なのかは漫然としたもの。

「どこが下手の横好きなんだか。上手どころじゃねぇなこれ。」

下手なプロと比較してもチェスを楽しめるだろう相手の差し手。
自らもカップを口に運び、幾分熱の引いた紅茶を口に含んだ。
渋味に香気が混ざり合い、甘味と錯覚するようなストレートティー。

「怪我をしないだけの実力を身に着けていた。
病気をしないように常に自らの体調に気を配っていた。
……身内の不幸についちゃ、流石に掛ける声はねぇが。それでも。
それを差し引いても、自己研鑽の賜でもあるんじゃねぇの。
少なくとも、自分の努力や研鑽を否定するわけじゃないんだろ。」

自分で自分の努力を認められるならば、それは悪い事ではない。
寧ろ、賞賛を受けるべき事だろう。
華々しい戦果はよく聞くのだが、およそ人間としての限界を超えた様な逸話が聞こえているのは事実。
その戦果は【攻めた】結果の逸話であり。今チェスで見せている守りの逸話と言うのは実は多くない。

実際には、攻め込もうとしたり悪事を企んでいる貴族や腐敗した存在が彼女の強運により自滅しているだけなのかもしれないが。
それは己には与り知らぬ話だった。

「軍議でも結構黙っている事が多いからなぁ。
自己の鍛錬も必要かもしれねぇけどさ。横の繋がりもあって困るもんじゃねぇかもな。
さっきの話を聞く限り、第一師団で…まぁ競争してた相手や、師団の兵にも、敬意を持ってるんだろ?
一人が強くとも、全体的な被害が減らない場合もあるかもしれねぇし。

自身の鍛錬の必要性を否定するつもりもねぇけど、他との繋がりを作っておくのは――。
それもまた、師団の長として必要な事じゃないか?師団の人員を守る為にも。」

レオーネ >  
「そうかしら…守りの定石の一つ、だと思っているけど?」

クス、と小さく笑みを零し、進軍する駒に向けてポーンを動かす
守りの要は完成、攻めに転ずるならば出鼻を挫く──
普段聞くだろう第一師団長の勇猛さとはまるで違う戦局が演出される

「それは勿論。
 この名、この椅子に恥じないよう心掛けてはいるわよ。
 ──それは、貴方の言う通り。
 王国の絶対的な守護を預かる一団として孤高ではあってはいけないわ、けれど──」

言葉を一度切り、一呼吸おいて…

「貴方も知っての通り、第一師団は貴族を騎士として多く召し抱えているの。
 彼らは──まぁ、その…戦場にはまず出ない。いざ第一師団が動く時だって、民間から登用した兵士が殆どでしょう?
 他の師団に比べて規模が大きいのも、その威容と圧力で以て他国を牽制するため。
 言い方は悪いけれど、他の師団長は第一師団を『お飾り』だと見ている人のほうが多いと思っていたわ」

『動かない』のであれば『繋がること』がメリットになり得るか、といった話だろう
大きくプラスにならずとも、と考えることも出来るが──

「そして王国貴族の中には一部の師団を敵視している方々もいる。
 だから黙り込んで何もしない…というわけでもないけど、横の繋がりは危険も孕んでいるわね」

ふう、と頬杖をつき、溜息を吐く
さすがに会議中あがりまくって仏頂面で声を発さないだけとは言えない

バルベリト > 「定石を定石通りに打つってのは案外難しいんだけどな。
遊びの手に釣られもせず、か。確り地に足を付けた指し方なんだよなぁ。」

兵士同士が噛み合うラインに隣の兵士が1歩前に進む。穴熊の強みを消すと言うより、違う土俵に引きずり込もうとするような動き。
挿し筋としては我流も我流。
それから区切られた言葉、ひと呼吸の間。思惑は交錯し、自らの思考をゆっくり巡らせる。
言われた言葉に考え込む。言われたら民間の兵士。傭兵が多く投入される事が多い。

自分の師団はそもそも人数不足から来るものだが、第一師団は人数不足の話は聞かない。
質の良い騎士を残す為かとも思っていたが、彼女の説明によればそうではないらしい。

「同じ師団って胸を張って言えるわけじゃねぇけど。
お飾りってのは無いと思うんだがなぁ。少なくとも俺からすりゃ、大規模な師団を纏めているだけ大変だろうし、戦果も聞いてる。
そもそも自己研鑽を続けていて、後方を確り第一師団が抑えてくれてる感謝しかねぇよ。
俺とか絶対にできねぇし。

横の繋がりが危険を孕んでっていうけど、こっちの心配してたりするのか。」

良く伝え聞くのは第七師団等の話ではあるが、貴族と良好とはいえない関係を築いている師団もある。
……実際の所、自分はとある師団長が手回しというか。根絶に近い形で手を打ってくれたおかげで、現状腐敗貴族とは縁を切れた様な物だった。

「誰の事とは言わねぇけど、腐った鎖に繋がれた師団長がいてよ。
相談をして、話をした結果鎖が解かれたって話もあってな。
確かに危険は孕んでいるかもしれねぇけど。その位の危険は、飲み込んで、足を踏み出すのもありじゃないか。

俺としちゃ、別に迷惑とも思わんし。腐敗した貴族の手の内ややり口は少しは判ってるつもりだしな。
それでも、横の繋がりは持っておきてぇ。いざ、自分から離れている場所の兵士や騎士を守れない時に。そいつらを守れる手段があるなら取っておきてぇし。
それが他師団の手柄になっても、国の為に、と戦う連中の命は多く保護したいからな。」

今、会話しているのを見る限りそこまで威圧感は感じない。
重圧もなく、けれど彼女の所属する師団の騎士は重圧を感じると言う。
チェスの差し手、戦果、此処までの会話を見ても、違和感が多い。
多すぎて困惑する程でもある。

手にしたチェスの騎兵を盤面の中央に寄せていく。
序盤が終わって、少しずつだが遊びの手に混ぜて攻めの為の道筋を作ろうとしていくが。
盤石に守りを固め続ける相手であれば、中々崩すのは難しいかもしれない。

レオーネ >  
兵士が動く、それは揺動にも似た動きだろう
ならばと、逆側に位置するポーンが一歩、前へと出る
接敵が見えるまでは迂闊な動きを見せず、
相手のペースに乗らず、誘いに乗らず…撤退して自分の形だけを見る戦術だ

「後ろの守り、といえば聞こえは良いけど、前に出ないという意味でもあるわ。
 時折王都を出てハテグに向かう時は、その威容を示す勝ち戦のみ」

コト、とティーカップを置いて、蒼い瞳がバルベリトに向けられ

「そちらの心配、というよりは…互いの意見主張が食い違うくらいは良いけれど、
 王国貴族さんの中には徹底して気に入らない相手を叩く人も珍しくないでしょう?
 『大きな間違い』が起こった場合、師団同士の争いに発展しかねないもの」

それは、内紛と言っても良い規模のものになり得る、捨てきれない可能性

「戦場を生き残る鉄則はリスクの撤廃。
 危険を侵して踏み出すのは、相応以上のメリットが見込めた時だけにしないとね」

その言葉は返答のようでもあり、互いの間で交わされるチェスの様相を表しているともとれる

「でも意外。
 こうやって私に話しかけて来る人は今までいなかったから」

あまり表に出てこない、というのもその理由の一つだが、稀有な経験をしていると告白する