2020/05/15 のログ
ご案内:「マグメール王城:第8師団執務室」にバルベリトさんが現れました。
バルベリト > 王城内は戦勝祝賀会で盛り上がっている。騎士団とは異なる、傭兵や冒険者。
埋もれた実力者たちが宣戦を押し上げ、大勝利と言っていい戦果を挙げた事で国の雰囲気も非常に明るい物になっている。
騎士とそうでないものの垣根が取り払われた戦いと言うのは非常に喜ばしい。

喜ばしいのだが、反面ミレー族への搾取ともとれる噂話があるのも眩暈がするほどの問題だった。
自分用に大きく作られた机の上で、腕組みを。
机の上に並んだ報告書は目を通し終えたので隅っこに並べられ、壁に掛けられた地図全域を見やっていた。

「隠れ里との交渉とかしとかねぇと拙いか?」

ミレー族には隠れ里と言うのがある事は、半ば公然の噂になっている。
近寄ろうとして近寄れない辺りは、うまく結界なりで隠しているのだろう。今後は其処への探索、調査命令が出ないとも限らない。
そうなったときに拒めるかどうか。もしくは。反抗と言う形になってしまうが、なんとかミレー側に情報を流し、逃げる算段を立てられないか。
ハゲそうな難題に頭を痛めていた。

バルベリト > 戦闘においては、正直騎士団よりは今は傭兵、勇者といった王国に直接所属しない存在の方が士気が高い。
実力と言う点でも、自分よりもはるかに上の人間や人外クラスの実力者がゴロゴロしていることが知れた。
恐らく、他の騎士団は積極的にそういう人物を確保に向かうだろう。

「人材確保のフリして隠れ里にでも向かうか?ってそもそも隠れ里の場所すら判ってねぇしなぁ。
どっかの顔が広い奴に接触するとか。いや、接触してソイツが今のミレー族への扱いに賛成する立場だと面倒だしなぁ。

……2師団辺りに相談するのが無難かねぇ。」

めちゃくちゃに知識の幅が広く深く、知らない事なんてほとんどないんじゃないかってくらいに頭のいい人物には心当たりはある。
あるが、この手の相談を持ち掛ければ迷惑にもなりかねない。
間違ってもドーナツやクッキー、スコーンといったモノだけで見合う面倒や手間とも思えない。
机の上に置いてあるマグカップ、白い無地の其れに注がれている黒い苦いコーヒー。
くっそ熱かったので冷ましていたが、今や完全に冷めきっていた。

頭、使い過ぎて、頭、痛い。

バルベリト > そもそも自分が向かって信用される要素ってあったか?
ねぇわ、と結論付ける様に更に呻き頭を抱える中年一人。隠れ里にいったところで、相手から見れば自分を信用できる要素なんぞカケラもない。
俺が向こうの立場なら、とりあえず弓や魔法で殺して木の下に埋めるよなぁ。
うん、乱世すぎて怖い。

「つっても、俺の領地からミレーの一族連れていくわけにもいかねぇし。
割と八方ふさがりじゃね?手詰まりじゃね?」

こん、こん、と。ペン先を羊皮紙の上で叩きながら、ペン先にインクを付ける。
羊皮紙の上に硬質な筆先が走る音。暫くの間文字を書き連ね、時折手を止めてコーヒーを傾ける。
冷めたコーヒーは苦く不味いが、ハゲそうなくらいに悩んだ頭には程よい清涼剤だ。
文末に自分の所属とフルネーム。それと、サイン。

信はおけるが迷惑を掛けられない相手だけに仲介を頼むのも気が引けるが。
出来ない物は出来ないと開き直って協力を仰ぐ事にした。
部屋を出ようか、と思ったがまだまだ祝勝会はこれからたけなわになるだろう。
もう少し時間が経過して、静かになってから活動すべきだ、と。

ギシリ。分厚い木製の椅子の背を今にも壊れそうなほどにきしませ、自らの体重を預け。
今は目を閉じて軽い仮眠をとる事にした。
余談ではあるが、目を覚ました時羊皮紙の上にはヨダレの染みがついていたとかいなかったとか。

ご案内:「マグメール王城:第8師団執務室」からバルベリトさんが去りました。