2019/12/22 のログ
ご案内:「平民地区 冒険者ギルド・訓練場」にエレイさんが現れました。
エレイ > 「──あるぇー?」

ある日の夕暮れ時。

ギルドの訓練場に顔を出した男は、不思議そうに目を丸くしながら変な声を上げていた。
この訓練場、普段は訓練に励む冒険者たちで賑わっており、そうした連中を冷やかしたり、
気が向いたら軽くアドバイスしたり手合わせに付き合ったりするのが、男の暇つぶしの一つであった。
この時間帯でも、基本的に何人かいたりするのが常なのだが──

「……珍しく誰もいないというあるさま。なんか緊急のクエストでも入りましたかねぇ……?」

──今は、訪れたばかりのこの男以外、誰もいなかった。
ポリポリと頭を掻きながら周囲を改めて見渡しつつボヤいてみるも、その声に答える者は今の所不在のようで。

フンス、と少々つまらなそうに小さく鼻を鳴らしつつ、無人ゆえか普段より妙に広く感じる訓練場の広場を
軽く見渡しつつざしざしとゆっくり歩き始め。

エレイ > 「こんな日もあるものなんだなという顔になる。──む……まったく、出るときはちゃんと片付けろよ」

ふと、打ち込み用の巻藁の近くに、一本の長剣が無造作に落ちているのに気づくとそれを拾い上げて嘆息一つ。
刃引きが施された訓練用の代物だ。

「………」

男はなんとなく、それを片手で握って掲げてみる。その剣に特別、何かあるわけでもない。
特に用向きはないのだから、さっさと所定の位置に片付ければ良いだけである。
しかし、なんとなく──本当になんとなく。男はそれを、両手で改めて握り直した。

「……ほむ……」

す、と正眼に構えて、そのまま佇む。

──何気ない動作だが、妙に様になっている。
というか、少なくとも素人の佇まいでないことは、おそらく誰が見ても解るだろう。

エレイ > 「………」

剣を構えたまましばらく無表情で佇んでいたが、やがて眉下げて小さく笑うと
構えを解いて剣先をくるりと下に向け。

その場から離れ、剣を所定の場所にしまい込めば、軽く頭を掻きながら訓練所を後にした。

ご案内:「平民地区 冒険者ギルド・訓練場」からエレイさんが去りました。