2019/09/22 のログ
ご案内:「九頭龍山脈 山中の温泉宿」にエレイさんが現れました。
エレイ > 夜。
九頭竜山脈のとある山の麓付近にある、やや寂れた感のある小規模な温泉宿を、男は訪れていた。

ロケーション的に比較的立ち寄りやすい場所ではあるものの、あまり目立たない隠れ家的な
建物ゆえか客は殆どおらず、人気はあまり感じられない。
夕食を済ませ、ひとっ風呂浴びようと露天風呂まで足を向け、脱衣所で服を脱ぎ
タオル一枚を携え、浴場へと足を踏み入れて。

「いつもの旅籠の温泉もいいのだが、たまには違う風呂も楽しんでみるのが大人の醍醐味」

などと得意げに独り言ちながら、目前に現れた露天の岩風呂を眺め回す。
広さは控えめだが、見慣れた旅籠のそれとは違う趣に表情を緩めて。

「流石にあっちよりは出会いの期待値は低いが……まああそこら辺はしょうがな──て、ンン?」

ふとその視界に、先に湯船に入っている人影を捉え、男は意外そうに目を丸めた。
てっきり自分以外は居ないものだと思っていたので驚きだ。
そう思いつつ、タオルを腰に巻くと湯船にゆるりと歩み寄って行き。

「……やあやあコンバンハッ。湯加減いかがですかな?」

などと、緩い笑みを浮かべながら、片手を上げつつ気安く声をかけてみた。