2019/08/18 のログ
■キルシュナ > 腸液と触手粘液のライトグリーンの中、汚物の穢色まで滲ませた少女の体液は、その肌がシミ一つ見られない純白肌だからこそ卑猥さが引き立てられる。
ついに堪えられなくなったのか、観客の幾人かが水着をずらして膨れ上がった逸物を露出させ、先走りに塗れたそれを己の手指で扱き始めていた。そこから漂う雄臭がめちゃくちゃに恥部を陵辱されてなお絶頂を許されぬ少女にある予感を覚えさせるだろう。
――――この地獄を抜け出すには、他者の精を身体のどこかに浴びるしか無いのだと。
『――――ウッ❤』『へぇう…っ❤』
狼少女の痴態をおかずに自慰に浸っていた観衆の数人が、何とも情けない呻きと共にその身体を震わせた。ぎゅっと肉胴を握りしめたペニスの先端から噴き出す白濁が勢いよく飛び出し、数滴の粘液をレジャーシートの端に落とす。そこから立ち上る種付け汁の臭気が、今の少女には何にも代えがたい甘露の様に思えるはずだ。粘つくそれを全身に浴びせてほしい。シートに落ちた雫を舐め啜りたい。膣内を、後孔を抉る触手からたっぷりとザーメンを注いでほしい…と。
「にふふふふっ、しゃあないなぁ❤ ウチは優しいご主人様やから、そろそろイかせたってもええよ❤ わかるやろ、セルちん。イくためには何すればええか。ほぉれ、ウチのちんぽ、好きにしたってもええよぉ?❤」
にゅぼっ、にゅぼっと黒髪を揺らしながら前後させる頭部で太舌セックスのピストンを繰り返す変態猫が、金眼を細めつつ少女の顔横に腰を寄せた。床に糸引く程の愛液を垂れ零す雌孔が、卑猥な淫臭をむわっと立ち上らせる中、V時に食い込むエロ水着から飛び出した肉棒がビクンッと揺れた。
普段生やしている巨根に比べて控えめな、しかして少女の可憐な唇では限界まで口を開けねば咥え込む事の出来ない剛直。
その先端からねっとりと肉胴に伝う先走りが、絶頂を望む少女を誘う。
■エインセル > 「へひゅっ、あ、ひゃひっ、ぁ、ぁああっ――おにゃか、じゅぼじゅぼ、や、あぁあっ♡」
何度排泄したかわからない程の排泄性感があるのに、しかしお腹の奥にはみっちり汚濁が詰まったまま。
肉触手による強制排泄は、少女の中身を殆ど漏らすことなく、無間地獄に近い排泄責めを可能にしていた。
そんな少女の様子に肉棒を晒す観客達。漂う雄の臭いに、どくんと胸の奥で心臓が跳ねる。
欲しい。精液が、雄の滾りが、白濁が。絶頂以上に優先されるそれに思考を奪われた少女は、反射的に舌を出す。
しかし、男達が吐き出した欲望の塊までは、残念ながら届かない。これでは、目の前に餌をぶら下げられて走る馬だ。
「ひひゅっ、ぁ、ぁ、ぁあっ、えいん、しぇるの、お口で、ご奉仕、いたしますぅっ♡」
どうすればよいかは、しっかり理解している。大きく口を開けて、肉棒へと顔を近づけて。
にゅるにゅると、唾液を纏ってぬらめく舌を絡めながら、ゆっくりと肉棒を喉奥に導いていく。
舌に感じる苦味と鼻腔に満ちる青臭さ。それが今は何よりも甘美な猛毒となる。
じゅぶ、じゅぶ、ぐぶ、ぐぶ。頭を前後させて、自分からのイラマチオ。
奴隷時代に教わった奉仕の技術を全て駆使して、彼女の肉棒から精を搾り取ろうとする。
これも全ては、絶頂へと至るために。今の少女は、間違いなく必死だった。
■キルシュナ > 少女がその細腕を伸ばしたならば、指先にてシートに付着した白濁に触れる事も出来ただろう。しかし、少女がそれを行う前に、先回りしたキルシュナの褐色腕が彼女の手首を左右纏めて捕まえて拘束してしまう。
こうなればもう、少女が溜め込んだ絶頂を貪るにはキルシュナの剛直を咥え込み、苛烈な二穴陵辱に耐えつつのフェラチオで変態猫の射精を導く以外に方法は無い。
「にひひひひっ、ちゃぁんと宣言して偉い子やねぇ❤ ……ん、おっ❤ ん、ふ…っ、ふぅう……っ❤」
可憐な口を必死に広げ、ぷにぷにの唇で先走りに塗れた亀頭を刺激しながら咥え込む狼少女。その口内に広がる爛れた雄臭が、今の彼女には濃密な媚香の様にも感じられるはずだ。蠢く舌に広がる味は、生しょっぱく絡みつくカウパー腺液そのもの。にもかかわらず、それが異様に美味しく感じてしまう。
完全におかしくなった脳内思考に少女は気付くかどうか。
「んっほ❤ んぉぉお…っ❤ はっ、は、ぁあ…っ❤ 堪らんぅ…、セルちんのお口、おっ、おっ、んぉお…っ❤ え、ええよね……もっと奥まで突っ込んでもええよね…っ❤ はぁっ、はぁっ、は、おッ❤ ふぅっ、んふぅうう…ッ❤❤」
積極的に頭部を揺らすイラマチオが、キルシュナの嗜虐を煽る。
元々堪え性の無いご主人様は、少女の膣孔に長舌を埋め込んだまま美貌を蕩けさせ、悩ましいまでの曲線を形作る腰を少女の頭部にズンッと突きつけた。巨根の根本に映える恥毛が少女の鼻先を擽り、先端だけでも口一杯となる肉棍棒がごりゅりっと喉粘膜を押しつぶす。
生理的な嗚咽と気道を塞がれる苦しさを奴隷少女に与えながらも、最早その口腔は己のオナホに過ぎぬのだと言わんばかりに腰を振る。激しく叩きつける腰は可愛らしい鼻先に痛みを与え、それ以上の息苦しさでその喉奥を陵辱する。
「んぉぉおッ、出る…ッ、射精るでぇええっ!❤ にゃっはぁああッ❤ おっ、おっ、おぉお…っ❤」
少女の口内にてビクビクと戦慄く剛直が、顎を外さんばかりに膨れ上がった次の瞬間、膣内と肛門を満たしていた淫らな軟体の圧迫が、喉奥の息苦しさと共に勢いよく引き抜かれた。
そうして立ち上がった変態猫は、自らの手指で唾液に塗れた太幹をじゅこじゅこと扱き
「んほぉおおぉおぉおお……ッ!!❤❤」
角度を調節したその先端から勢いよく白濁の液砲をぶち撒けた。
最初にびちゃぁあっと浴びせかけられたのは、ぱっくりと広げられた少女の膣口。続いて下腹、薄胸、苦しげに呼吸しているだろう口腔、そして愛らしい顔の全てにジャムの如く濃厚なザーメンが浴びせかけられる。
そしてそれが、ここに至るまでにお預けされ続けてた全ての絶頂を一気に解放する。
■エインセル > 元より摂取するなら、どこの誰とも知らない誰かのものより、彼女のものが良いに決まっている。
そして、目の前にわざわざ剛直を曝け出してくれるのだから、むしゃぶりつくだけである。
じゅぶじゅぶと唾液を溢れさせながら舐めると、感じる味は想像以上の美味。
苦味も塩味も、感じる全てが欲していたものそのもので、いつまでも舐めていたくなる。
「んふっ、んじゅっ――んむ、ん、んふぅっ♡」
味覚の変化など気にすることなく、彼女のものを貪り続ける。
その内に、堪え性のない彼女が腰を動かし始めると、少女の口はオナホに変わる。
ぐぼ、じゅぼ、と掘削される度に、喉奥が戦慄いて、げぶ、げぶ、と嘔吐反射の音が漏れる。
鼻先は彼女の陰毛に埋まり、汗と蜜とフェロモンの混ざった匂いに脳がしびれた。
そして、彼女の肉棒が限界まで膨らんだ瞬間、三つの穴の全てが引き抜かれて。
「んぶふぁっ――へひっ、おぅっ,ぉぉぉおおぉおおおっ!?」
目の前が白く染まる程の快楽。しかし、絶頂にはわずかに足りない。
そんな少女を尻目に、眼前では彼女が肉棒を扱き上げ、やがて白濁を撒き散らした。
ギリギリで押し止められた悦楽は、その後のザーメンシャワーとともに解放される。
「へひっ――ぃ、ぁ、ぉぉぉぉおぉぉおおおっ――おひゅっ、お、おごぉぉおおっ♡
おぁ、ぉ、いぐっ、いぐぅううっ――♡いぐの、どまんにゃ、あ、あぁああっ♡♡♡」
精液が秘所へ、下腹へ、胸へ、口へと吐き出された瞬間、頭の中で膨らんだ風船が爆ぜる。
精液の触れた所がマグマに溶かされる錯覚を覚える程の熱感が駆け抜けて、飛び散る。
少女はがくびくと痙攣しながら絶頂を訴え続け、訴えた数の倍以上絶頂して、全てが白く吹き飛んで。
焦らされた分だけ苛烈な連続絶頂を迎えると、少女は珍しく意識を手放して、ぶちゅぶちゅと潮を吹き上げ続けることだろう。
同じ様に、尻穴からは放屁と茶褐色に色づいた腸液を垂らして、無様な姿を見せつけて。
中身を漏らすことはついぞ無かったが、浅ましい雌の姿を衆目の皆に晒しながら、少女は一時の安息に落ちていく――。
■キルシュナ > 苛烈なまでの直接刺激で絶頂へと至ることの出来なかった小躯が、爛れた熱と卑猥な香りを放つ白濁粘液のシャワーによってあっさりと絶頂に跳ね飛ばされた。
つい先程まで野太い剛直に蹂躙されていた小口が獣じみた嬌声を響かせて、ピンクの紅潮を滲ませる小躯が跳ね踊る。
そんな少女に常人離れした大量射精を浴びせかける変態猫が、金色の流し目を送って人払いの結界を解除する。途端殺到する淫獣の群が、我先に少女の体躯に肉棒の先を向け、幾本もの液縄を浴びせかける。その白濁が白肌に付着するたび、快楽電流が小躯に弾けて新たな絶頂へと駆け上がらせる。
「んふふふふっ❤ 派手にイキ散らしたねぇ❤ むっちゃ可愛かったで、セルちん♪ さてと、後はせっかくやし見てくれとった人達にもウチの肉奴隷ちゃんの抱き心地試してもらおかな❤」
完全に弛緩した狼少女が、断首された罪人の鮮血の如く潮を噴き上げる様を満足げに見下ろしたキルシュナは、少し離れた所で控えていたメイド達に視線で合図を送り、多重絶頂の余韻にビクつく少女から少し離れた位置に折りたたみ式のビーチチェアを準備させた。
未だに硬いままの剛直からは野太い白濁粘液を、黒布の食い込む恥丘の底からは糸引く透明蜜を滴らせながらそこに腰掛けたキルシュナの眼前、意識を失った少女の緩みきった3孔に別々の肉棒が突き込まれる。
肉便器少女の身体は意識を失った後も見知らぬ男達に使い倒され、一時の安息さえも淫らな悪夢に塗りつぶされる事ととなるのだった―――。
ご案内:「王都近くのビーチ」からキルシュナさんが去りました。
ご案内:「王都近くのビーチ」からエインセルさんが去りました。
ご案内:「湾岸都市ダイラス・市場」にセイラムさんが現れました。
■セイラム > 茹だる様な暑気のなか、船着場の程近くにある市場は人と品で今日も大いに賑わっている。
「――…漸く終わった」
比較的涼しい午前から買出しに繰り出してきていたが、太陽が中天に昇り切る少し前に漸くとひと段落ついた。酒瓶や瓶詰めといった重たい品は娼館まで届けてくれるように話をつけ、軽いものだけを片手に抱くようにして持つ紙袋の中へ入れた侭、市場の四つ角近くの壁に背を凭れさせて小休止を取っていた。
斜め前の路上では、老い耄れた犬が蓋の壊れたワイン樽の前で蹲っている。右手の角近くには、路上生活の子どもがはしこい動きで露天前をうろついて、店番がちょっと目を離す隙を伺っている。店番も心得たもので、愛想よく客の応対をしながらも目の端には子どもの動きを油断無く捉え続けて攻防は長引きそうな様子だ。
■セイラム > 建物同士が作るこの日陰に居てこれだけ暑いのだから、日向は推して知るべしだろう。ふと喫煙欲を覚え、手にしていた紙袋を片手で探るけれど、頼まれた他愛ない雑貨類ばかりが指先に触れるばかりで目当てのものに行き当たらない。そういえば今日買い足したのは客用と支配人の分の葉巻だけだということに遅まきながら気づいて、小さく嘆息する。
「嗚呼仕舞ったな、――…自分のを忘れるなんて、……」
店の開店まで充分時間はある。故に買いに戻るという手もなくはないが、ちらりと視線を流す先は強い光が照り付ける風景。老いた犬もいつの間にか姿を消している。堪らずどこか涼しい場所に避難したのだろう。こうして日陰から見遣るから余計に強く眩しいものとして捉えて仕舞うのかもしれないが、暑さも日差しも正直苦手だ。
ご案内:「湾岸都市ダイラス・市場」にヴィルアさんが現れました。
■ヴィルア > 未だ市場が賑わう時間、娼婦が四つ角で溜息をついた時。
ふと、そこに少し場違いな姿が現れる。
それは、身だしなみをしっかり整え、この暑い中仕立てのいい貴族服を着ている青年。
「………」
ふぅ、と息を吐き、小さな布で汗を拭いながら…何かを探すように通りを順に見渡していて。
少しの間、そうしていたが…嘆息し、途方に暮れているような雰囲気を出す。
再び顔を上げたかと思えば、またきょろきょろと辺りを見回し、今度は壁にもたれかかっていた女を見つけると、近づいてくる。
「申し訳ない。少し、道を伺いたいのだが。
どうにも土地勘が無くてね。」
暑い中、それでも爽やかに笑い、お辞儀を。
先程通りを見ていたのは、道を探していたらしい。
■セイラム > 細巻煙草を探すことを諦め、紙袋から片手を抜き去って袋を揺すり上げて抱え直す。視線を通りに向ければ、子どもがついに店番の隙をついてソーセージとパンを摺り取った姿が見える。わっと店番が振り返って悪魔のような形相で片手を振り上げるが、身軽に逃げ去る子どもは脇目も振らず、貴族服姿の青年の傍をすり抜けてゆく。
そちらのちょっとした騒ぎに気を取られて近づく姿に気づくのが少々遅れるが、掛かる声へと向き直って。
「――…嗚呼これはこれは……、私で何かお役に立てますか、サー」
優雅にお辞儀する所作に軽く目を瞬きながら、通りの良い柔らかな響きの低音で告げる。一瞬、ここが市場ではないかのような錯覚に陥るが、茹だる暑気も人々のざわめきもそのままだ。長袖のシャツを袖捲りにしてスラックスを纏っている今の軽装は娼婦というより男の装いといえるが、目前にしている彼ほどこの市場では浮くような姿ではない。
■ヴィルア > 逃げ去っていく子どもと、それを追う店番には少し驚いた様子を見せ…
未だ彼には、声音や服装から、相手が女かはわからないが…礼を尽くすことはやめない。
「サー、などと…。それほど大した人物ではありませんよ、私は。…と、それは置いておいて。」
照れたように笑いつつも、相手を観察しているのかしっかりと目を合わせて、言葉を続ける。
「実はここには商談に来たのですが、どうも自分が慣れ親しんだ街とは勝手が違う。…あなたがここに住んでいるなら…もし良ければ案内も、お願いしたい。もちろん、対価は払います。…場所は、『月の涙』というところなのだが」
偶然にも、それは女が知っている場所だ。
またぞろ、放蕩に耽った主人が何か買い付けの取引をしたのか、と思うかもしれない。
■セイラム > その視線から観察されていると知りつつも、ゆるりと笑みを浮かべて見せて。続く言葉に耳を傾けるけれど。思いがけず相手の口から飛び出してきた言葉に、すっと軽く双眸を眇める。
「おやおや、……今、『月の涙』と仰いましたか?
――…道に迷う不幸もあれば、道を知る者に出会う幸運もある。
……申し遅れました、月の涙にて雇用されておりますセイラムと申します」
預けていた背を浮かせ、改めて相手に向き直り軽くお辞儀をして見せる。放蕩癖のある支配人の交友関係や商談相手は多岐に渡る。目前の彼もそのうちの一人であっても不思議はない。…筈だが。商談に来た、と告げていたことが多少引っかかりを覚えなくもないのは、このところ経営悪化の一途を辿る店の現状を知る一人だからだ。
「――…ご案内します、こちらへ」
穏やかに促す声を向けて、男に先立って導くようゆるりと歩き出す。
■ヴィルア > 相手の返答を聞けば、おお、と顔を綻ばせて。
「助かりました。セイラム、と呼んでも?…私のことは、ヴィルア、とお呼びください。マグメール、リルアール家の者です。」
見たことはありませんか?と、貴族の家紋の特徴を告げて。
未だこちらには少ないだろうが、男性の横顔に花が咲いた蔦が絡んだ紋は、もしかすると見たことがあるかもしれない。
「本当にありがたい。…大きな注文を受けたのと、継続して注文していただけないか…というお伺いに来たのです。セイラムは…買い出しでしょうか。」
案内される道すがら、楽しそうに商売の話をしたり、相手について聞いてみる。
せっかく出会えた相手のことを会話の中で知ろうとする好奇心を満たす目的だ。
■セイラム > 「そのように呼んで頂ければ光栄です。
嗚呼、ですが私のような者が御名前でお呼びするなど、……、恐れ多いことです」
名についての直答はやんわりと避け、告げられる家紋の特徴に嗚呼と合点のいった表情になる。支配人室の片付けを頼まれた際、書斎机の上に家紋入りの書類が置かれていたからだ。愚かなほど浪費癖のある支配人だが、己が口外しない人柄と見込んで書斎に立ち入らせたのだと心得ている。故に、支配人と己のほか、月の涙で彼の家紋のことを知るのは限られた者だけだ。
「渡りに船となったようで良う御座いました。――…お話は、当館にて詳しくお聞きします。
ええ、店の者たちに色々頼まれまして。それにしても…、見たところ、貴方様御一人のようですね。
普段から…、共を付けず御一人歩きなさるのですか?」
男の半歩先をゆくかたちで進みながら、少し顔を相手に向けてそう尋ねる。
■ヴィルア > 「ご存知でしたか。うれしい限りです。
…ううん。固辞されることが多いですが、それほど大した人物ではありませんよ、私は。」
気にしなくても、という軽い雰囲気を出し。
ただ、無理強いするつもりはないのか、それ以上は名については今は触れず。
「店には、ラウンジもあると聞きます。そこで働く方から頼まれるのであれば、大変でしょう。ふふ、見つからないところまで、持ちましょうか?」
身分差は彼も承知しているが、あくまで気さくに、いたずらっ子のような笑顔で提案しつつ。
「ああ、共はいるのですが…何分、自分で動くのが好きな性質ですので。目的地までは、自分の力で向かうことが多いのです。急いでいるときは流石に避けますが…まだ、約束には時間がありますし。セイラムは、月の涙で働いて長いのですか?」
暑い通りを歩いているが、よほど会話が楽しいのか、彼の足取りは軽く。相手の半歩後ろを歩いていて。
■セイラム > 訛りのない綺麗な発音、柔らかい言葉遣い、そして謙虚さ。大陸随一と名高い歓楽街へ赴き、欲望の侭に振舞う傲岸不遜な者も少なくない。だがこの軽やかな雰囲気を纏う男は少々毛色が違うよう。まして、明らかに目下か身分が下の者の荷を持つとまで提案する貴族が居ようとは。ちらりと彼を見遣れば、悪戯を思いついた表情と出会う。流石に苦笑を浮かべて、緩やかに首を振って見せる。
「そういう秘密は大抵見つかって仕舞うものです。…そしてあとで私が叱責される羽目になります」
それでは割りに合わない、とばかりに遠慮の意思を告げる。
「そうですね。先代の支配人のときより勤めて居りますから、……、七年、…いや八年くらい、
――…嗚呼、拙い。こちらへ」
問いには少し思い出すふうにして答えを返していたが、ふと前方より近づいてくる数人の男達の姿を見るなり、少々硬い声でそう紡ぐ。急ぎ案内していた彼の腕を取り、ひと一人分通れるほどの狭い路地に彼を強引に押し込むようにし、続けて己もその路地へ入る。
露天を冷やかしながら横柄な足取りでこちらへと近づいてくる男達は、皆一様に崩れた雰囲気を纏い、腰には剣を帯びている。面相も人種も様々だが、少々剣呑な目つきの者、これ見よがしに剣帯に手をかけた侭の者が混じり、露天の者たちも目を直接合わせたがらない。
「……嗚呼、厄介な人達が出歩いてます。
――…貴方様のその格好で見つかったら、少々面倒なことになりそうです」
■ヴィルア > 「それもそうですね。…つい、見知らぬ土地で親切な人に会ったので、気持ちが昂ぶってしまってーー」
笑気の後、続く言葉に、長く勤められているんですね、と返そうとしたが。
相手の切羽詰まった様子に従い、路地の中へと。
少し服が汚れたが、今更気にする質でもなく。
「…なるほど。どこにでも荒くれはいる…
一応私の護衛も近くにいるはずですが、ただ、このままだと…」
狭い路地の中、緊張した面持ちで。
「見つかった場合に、セイラムまで危険になります。…それはよくない。
私が何とか変装するか、別の道を行くか、ですが…」
一応上着を脱げばそれなりに品格は下がるだろうが。
仕立てのいいズボンまでは脱ぐことはできないだろう。
困った、という風に頭を悩ませ。
一先ず、案内してくれている者を危険に晒す訳には行かないと少し手を引いて、自分に密着させるように路地の奥へと身を動かそうと
■セイラム > 笑気の宿る声も、聞く場所が良ければもっと違った響きに聞こえていたに違いない。
強引に押し込んだ狭い路地のなか、あとから入った己の躰でなんとか隠したい処だが。細身とはいえ、矢張り相手が男性となると身長差は如何ともし難い。
「――…護衛…、お連れになっていたんですか?」
ダイラスの街を出歩きになる際は、貴方様の一歩後ろを歩くようお伝えください!
そのお顔やらお腹を殴られたあとでは遅いのですから…!」
己が勝手に一人歩きと早合点した部分は棚に上げ、潜めた声音でそう言い募る。殴られるだけならばまだ良い。最悪、刺される危険もあるだけに声には真剣な響きが宿る。変装や迂回道の提案には、同意をするよう頷いて。
「そうですね。ですが、……先ずは彼らをやり過ごすことが先決です。上手く行くか分かりませんが……、
貴方はそのまま、そう、…両腕を、私の首に回してください。抱いてる様に見えるように――…、」
路地の奥へ後退する彼に合わせ、もう少し暗がりになる処へと進んでから紙袋を足元に置き、シャツのボタンを急ぎ外して白い肩の稜線を晒す。そのまま相手の首に両腕を回して再度躰を密着させて、彼の服装を己の躰で隠そう。――路地の入り口から覗く者がいれば、いかにも『お楽しみ』の最中と見える様に。
露天の品揃えに口汚くケチをつけながら歩いてくる足音が、二人の居る路地へと近づいて来る。相手の首に回した両腕が少し震える。上手く行く自信は、本当は微塵もないのだから。
■ヴィルア > 声音は低くとも、シャツから現れた柔らかな曲線を描く稜線、引き寄せた際の体の柔らかさで…女性ではないか、と感じていた思いは確信へと変わり。
「申し訳ない。…少しの間だけ、その身体、お借りします…」
二重の意味で謝罪してから首に女の手が回ってくるなら、自分は相手の体に手を回した方が『らしい』だろうと判断して。
相手の腰に手を回し、引き上げ。
片手は、相手の頭に緩く触れ…ぐ、と密着する。
いかにも、今まさに接吻を交わしているような格好へと。
当然、お互いの吐息すら感じられる距離に密着し…演技なのか、彼は目を閉じる。
もう少し距離を詰めれば、本当に唇が触れ合うような距離で…。
震えている相手を安心させるように、身体、髪を撫でて。
暴漢など目にも入っていない、とアピールする。
その甲斐もあって、彼の豪奢な服は完全に女の姿に隠れ。
こちらを覗き見た男達も、狭い路地であり…娼婦との逢い引きと判断したためか、そのまま、ゆっくりと去っていくだろう。
「………」
ただ、その足音が去っても…早まる心臓の音をなんとか抑えようとしながら、もしかするとまだ見られているかもしれない緊張のためか、中々離れられず。
■セイラム > 身を挺するよう被せたのちは、息を潜めて立ち止まらぬよう祈るのみ。相手の声を聞きながら視線を伏せがちにしていたけれど、腰に回る手の力強さに、後頭部に触れる掌に思いがけず男性的なものを感じて眉根がせつなく寄る。気づけば、吐息が掛かるほど唇が近い。緊張で早鐘を打つ心音が相手のものなのか己のものなのか、判然としなくなるほどに近い。
果たして、――甲高く耳障りな、冷やかしの口笛が飛んできただけで済んだ。剣の鍔が擦れ合う、独特のあの足音が引き返してくることがないことを確認してから、知らず強張っていた肩から緊張を抜く。
「――……、行った、ようですね。……嗚呼良かった、…
……ふ、…、凄くどきどきされてましたね?」
相手の首に回していた両腕を解き、ゆるりと寄せていた身を離そうとしながら緊張が解けた反動でそんな軽口を紡ぐ。
■ヴィルア > ふぅ、と…相手の言葉に息を吐いて。
彼の体からも緊張が抜けていく。
本気の切った張ったはあまり体験していない彼が震えなかったのは、幼い頃から商家を手伝い培った胆力故か。
ともあれ、相手を抱いていた腕の力は弱まり。
二人の間に隙間ができていく。
「よかったです。…ええ、どきどきしていました。…あの暴漢に襲われるのもそうですが、セイラムがとても魅力的で。…さて、迂回する道があるのなら、教えてくれますか、セイラム。」
くす、とお返しに笑いながら、ただ、偽りない本心を零す。
髪を撫でていた手を引く途中、軽く相手の頬に触れたりもして。
■セイラム > 「……嗚呼、こんな路地にいきなり連れ込んで仕舞って、あとで護衛の方に私が叱られないよう取り計らって頂けると嬉しいのですが。――…お褒めに預かり光栄です、リルアール様」
さらりと褒め句を挟み込んでくる相手の声にふっと笑みを深くし、頬に触れる掌に気づけば、恭しくその指先に小さく口付けを返すくらいの戯れはしてのける。その腕から離れて身支度を調え、相手の仕立てのよい上着だけは館に着くまでは脱いで頂くとして、共に路地から出て出くわさぬ道を辿ることと――……
■ヴィルア > 「勿論ですよ。…それと少し、思いついたことが。…あなたに迷惑かもしれませんが…」
笑いながら少し薄くなった服のまま、道を案内され。
娼館に辿り着けば、しばしの商談の後…
大量の買い付けを娼館の主人が行ったこと。
ただ、継続買い付けについては渋ったらしく
契約の条件として…相場の倍の金額を払うから、彼女を何日か買わせてくれ、などと男が交渉したのは、また別の話…
ご案内:「湾岸都市ダイラス・市場」からヴィルアさんが去りました。
ご案内:「湾岸都市ダイラス・市場」からセイラムさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 礼拝堂」にアグネーゼさんが現れました。
■アグネーゼ > 夜、誰も居ない礼拝堂の祭壇前で、静かに祈りを捧げている修道女が居る。
正直、神と言うものを良く分かっていないため、やっている事は形式上のまま事のようなもので、
少女自身に信仰心があるわけではない。
「熱心に祈れば、きっとお願いを聞いてくださる…って、神父様は言うけれど―――」
素性の分からぬ自分を此処に置いてくれた神父には、大変感謝しているのだが。
果たして願うだけで父の居所は分かるのだろうか。
猜疑心にむぅと顰め面になるものの、父の所在に関して一切の手がかりを持っていない今、
こうやって祈るくらいしか今は術がない。
「主よ。私の歌を捧げたら、お願い事を聞いてくれますか…?」
父に会えるように。己を見つけてくれるように。
お祈りを止めて立ち上がり、透き通る声が出るようにとお腹に両手を当てる。
歌い始めるのは賛美歌。時間が時間なため声量は控えめにしているが、
天井の高い礼拝堂ではよく声が響くだろう。