2019/05/03 のログ
ご案内:「焚き火」にタン・フィールさんが現れました。
タン・フィール > 王都の中、町中にぽつんと在る自然公園でキャンプを張り、夜を過ごす薬師の少年。

揺らめく焚き火を前に体を温めながら、今日は薬を買いに来た冒険者から耳にした、
焚き火でマシュマロを焼く―――という、一種のイベントを試してみようと、
綺麗に拭いた木の枝にマシュマロを刺し、焚き火で炙ってみる。

「~~~♪」

パチパチと薪が炎で弾ける音に混じって、甘くコゲたような香りが漂ってくれば、
ご機嫌な鼻歌が微かに漏れる。

聖歌隊の少年のように安定した音程とはとても言えないが、声変わりのない音色の、
すこし調子はずれな音が、こののんびりとしたキャンプや夜食にはお似合いなのかもしれない。

タン・フィール > 「さて、そろそろーーー…って、うぇ!?」

でろーんと伸び切り、溶け、其処に着火してしまったマシュマロ。
薬作りや料理のように、レシピや配分・時間通りやればいいものではない、
目分量で炙る世界に、なかなか理想の焼き加減にたどり着かず難航して

「ウソでしょ…? こ、これ、むずかしくない…!?」

はや3つ、おおぶりのマシュマロが生贄となって、焚き火の肥やしと化した。

タン・フィール > 「……感覚で料理とか出来る人って、スゴいや…
誰かに今度、おしえてもらおっと」

もったいなさから観念したように、とうとうマシュマロを焚き火にかざすのをやめて、
直接口の中に歩織り込む。

そのまま、火の面倒を見ながら朝までうたたねしようと…。

ご案内:「焚き火」からタン・フィールさんが去りました。
ご案内:「薬師のテント」にタン・フィールさんが現れました。
タン・フィール > 「まいどありーっ! また買いにきてね、
…来週も来てよね。―――死んじゃヤだからねっ」

購入した傷薬や毒消しを片手にひらひら笑って店を去る冒険者のお兄さんに、
軽口と本心の入り混じった送り出す言葉を掛ける、薬師の少年。
収入源が減り、顔なじみともう会えなくなるだなんて、何一つ良いことがない。
【無事に帰ってきて】という願いは、シビアな商売人根性にしても、冒険者たちに対する真摯な心配にしても、本物だった。

客足が落ち着いたのなら、少し今のうちに薬を補充しておこうと、
テントにインテリアのように吊るされた鮮やかな香草や怪しげな粉、
いかにもな、コウモリの羽や何かの尻尾などを窯にひょいひょい投げ込んで、のんびり過ごしながらエキスを煮出そうと。

「くぁ…っ おなか、へったぁー… なんかないかな。」

具材を鍋に入れていると、小腹が減ってきたのを感じる。
なにか常備していた食べ物はないか机や食料庫を漁るが、めぼしいものがみつからない。

タン・フィール > 「~~~…このへんのは、お酒飲むオトナだったらたまんないって、誰かが言ってたっけ…」

素材の棚から取り出したのは、
シェンヤン産のマンドラゴラ類をリンゴの蒸留酒で漬け込んだ薬酒と、
死後100年蠢き続けるというイカとサメが混ざったような海魔の干物。

高い度数と飲みやすさで悪酔いをせず、血行を促進し、どんな料理とも合う酒に、
干物の状態から口に含んで噛みしめれば、唾液で戻った海魔が新鮮に蘇り、僅かに活造りのような味わいを楽しめる酒と肴は、
あらゆる意味で少年には早すぎる珍味で、
さすがに今、コレで小腹を満たす気にはなれなかった。

「ボクがほしいのは、ハチミツたっぷりのアップルティーに……
バターとクリームをたっぷり使ったお菓子ってカンジかなーっと…」

ごそごそと、しばらく放置していた品物の整理も含めて棚を漁る。
次々と出てくる珍品の数々は、正しく求めるものからすれば喉から手が出るほど欲しいものばかり。

タン・フィール > きらびやかな極彩色の宝石や、黄金色に輝く真珠など、
見るからに高価そうな品物も乱雑に出てくる。
宝石類を粉末にして処方されるシェンヤン地方の薬学の素材だが、
王都の目が利く宝石商などが知れば、卒倒するような珍品とその扱い。

今は、甘味に飢えた少年にはその価値は普段以上にピンとこない代物で。

「お…? これなんか、ちょっと…いいかも。」

そのなかで興味を惹かれたのは、マグカップほどの大きさの琥珀色の石。
古代の飴細工が更に化石となったもので、毒でない事は判明しているが、詳しい薬効が分からないままだった。

「ふふーっ、いいもの、みつけたかもっ どれどれ…?」

ごしごしと表面を拭き取って、少しだけ舐めてみる。
目を宙に泳がせて味わいを確かめる。
カラメルを柑橘類で割り、香料やフレーバーを足したような……
簡潔に表現するならば、【コーラ味の飴細工】といった感想で、
子供舌の少年にはぴったりだった。

「んっ…! おいしいっ…♪ なんか、元気も出てきたし…っ!」

お昼時で少しウトウトし始めていた少年の目が、シャッキリと冴え渡っていく。
……おそらくは、なんらかの強壮作用もあったと思われる古代の飴は、
少年の血行を促進し、体温を上げ、脳を昂ぶらせ… 僅か、汗ばんでくるほどで。

「んっ… んんっ…? あ、ぁれ、だいじょぶなやつ、だったよね…?」

と、汗ばんできた額を拭いながら、体調の変化に少しだけ不安を覚えてくる。

タン・フィール > 暑い、と感じるのはテントの中で煮込まれてる鍋の熱だけではないだろう。

ぱたぱたと上着をはためかせて少しでも外気を取り入れつつ、
飴を少しだけ砕いて欠片を顕微鏡で眺めたり、他の薬剤に混ぜて反応を調べて…。

出てきた薬効は、興奮・発汗・代謝向上・運動能力向上・筋力増強などの作用。

「…なるほど、戦士のヒトとか、体を動かすヒト向け、ってわけね…。

うー…、眠気まで、覚めちゃうみたい?」

濃いめのコーヒーをガブ飲みしたような、胸が高鳴ってくるタイプの興奮感。
インドア派な少年らしくもなく、テントの中で準備運動めいたストレッチまで初めてしまって。
このまま外をジョギングでもしてしまいたくなるほどの運動衝動。

タン・フィール > 「―――よしっ…」

矢も盾もたまらず、薬屋の看板を「休憩中」につけかえて、
テントから飛び出し、駆け出してしまう。

…とはいえ、3キロも走らぬ内に汗だくで帰還したとか。

ご案内:「薬師のテント」からタン・フィールさんが去りました。