2019/05/04 のログ
ご案内:「王都マグメール ホーレルヴァッハ邸」にギュンター・ホーレルヴァッハさんが現れました。
■ギュンター・ホーレルヴァッハ > 御約束待機中です
ご案内:「王都マグメール ホーレルヴァッハ邸」にクレマンスさんが現れました。
■クレマンス > 恋人が何を考えているかは分からないが、驚いて戸惑ってほしかったのは事実で、聖女は満足そうに。
彼女の行動は子どもじみた憂さ晴らしと言える。
完全な子どもであれば相手の事情はすべてすっ飛ばし素直に甘えるはずなので、
我慢しなくてはならないと思いながら拗ねる聖女は一番面倒な性格かも知れない。
だが相手はそれを叱ることもなく、むしろ折れるような形だ。
言い方がいかに傲慢に聞こえたとしても、それが決して命令ではないことは分かっている。
「……はい」
意表を突かれた顔をしたが、すぐに調子を取り戻すと右腕を彼の左腕と体の間に差し込み、腕を絡ませようとしながら寄り添う。
そして当然、疑問を口に。
「どこにお付き合いするのですか?お部屋ですか?中庭ですか?」
■ギュンター・ホーレルヴァッハ > 満足そうな表情を浮かべる聖女に、敵わないなとばかりに小さな苦笑いを零す。
とはいえ、それが特段不快という訳でもない。仕事に忙殺されて彼女の相手が出来ていなかったのも事実なのだし。
火急の案件も終わったのだし、少し時間がある間くらいは、彼女と共に過ごす時間を作っても構わないだろうとスケジュールを組み立て直す。
「……そうだな。天気も良い事だし中庭………いや、取り合えず執務室へ戻る。先程淹れたばかりの茶もあるからな」
こんな穏やかな日は中庭でのんびりするのも良いだろう、と思ったのだが、使用人や部下達の目がある。と言うよりも、見られるのは構わないのだが、外に出ていては何時仕事の話が振ってくるか分からない。
取り敢えず当面誰も来る予定の無い執務室で一息入れようと考え直し、腕を絡ませた彼女を連れて出てきたばかりの執務室へ戻ろうとするだろう。
とはいえ、折角良い天気なのだから彼女が望むなら中庭なり何なり何処でも構わないかとも思ってはいるのだが。
■クレマンス > 「まぁ。ギュンター様はお仕事が余程お好きなのですね」
軽口叩きながら、絡めた腕に引っ張られるようにして執務室へ戻る二人。
休憩を挟んでいるとはいえ再開されればまた忙殺されるのだろうし、外へ行っては戻って来る時間のロスがある。
理解があるのかないのか分からない聖女は特に嫌がることもなかった。
無論――ここですぐに仕事を始められれば、またムッとするのだろうが。
執務室にあまり入らないため、絡めていた腕をするりと抜くと観察するように見回した。
来てもう二日。未だ二日。一通りのことは把握しているが、不充分なことも多い。
教会の常識は世間の常識ではなく、己が自覚していなくともズレた言動は多いのだろう。
「そういえば―――、ギュンター様。私たち、ここへ来て未だ一度もしておりませんわ。キスを」
窓辺に近付こうとして振り返りながら、ズレた言動第一が発動された。
誘うというよりは、それこそ本気で真面目に考えた顔で。
「恋人というのは、毎日キスをして気持ちを確かめるものなのでは?」
完全なる何かの恋愛指南書の押し売り。
これを同じく恋愛初心者の少年にまともにぶつけるのだから、前途多難。
■ギュンター・ホーレルヴァッハ > 「毛嫌いはせぬが、時と場合によりけりだな。休む暇も無い程に押し寄せられては、此方も些か気が滅入るというものだ」
彼女を引き連れて舞い戻った執務室は、未だ喧騒と激務の残照が残っている。
幾分数を減らしたとはいえ、未だ重厚なデスクには堆く資料の山脈が積み上げられ、予定を記す為に壁に掲げられた魔法仕掛けの巨大な黒板はスケジュールが詰まっている。
とはいえ、今は彼女と過ごす貴重な時間。それらを一瞥する事も無く、窓辺に近寄る彼女に歩み寄り――
「……む?いや、まあ、それはそうだが…」
彼女の言葉通り、屋敷を訪れてからキス等していない――というよりも、そんな暇も無かったが――とはいえ、それがどうかしたのだろうかと首を傾げる。
しかし、次いで彼女から投げかけられた言葉には、疑問符と驚愕が入り混じった様な表情を浮かべるのだろう。
「…そういうものなのか?いや、確かに俺はそういう事に詳しいとは言えぬ故、市井に詳しいお前の方が正しいのだろうが…」
初心者どころか、チュートリアルもこなしていない様な己では、彼女の言葉を疑うという事すらない。
と言うよりも、彼女とて嘘をついている訳では無いのだから疑いようがない。恋愛初心者が二人揃っても、指南役がいなければ間違いを正す者もいない。
「……そもそも、恋人がする様なキス、というのも良く分からぬのだが…。まあ、行為そのものに意味があるのだろう。なあ、クレマンス?」
クスリ、と小さく微笑むと、ツカツカと彼女に歩み寄って窓際に追い込もうと。
それが叶えば、己より僅かに背の高い彼女の肩を抱き寄せて、そっとその唇を奪おうとするのだが――