2019/03/08 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区/図書館」に幻鏡の迷宮さんが現れました。
■幻鏡の迷宮 > 此処は平民地区に存在する図書館の一つ、通称「眠らぬ図書館」、魔力を動力源とした人形達が歯車の音を響かせ世話しなく働いている図書館で、貧民地区の人間以外には日が昇り、日が沈み、再び日が昇るまで24時間運営している。
そのため禁書や魔法の掛かった本などは一切置いていない。
代わりに書架に並ぶのは絵本や小説などの娯楽本からレシピ集や簡単な教材などが無数に並んでいて、利用者も冒険者や一般人など老若男女問わず利用されている極有り触れた図書館である。
あるのだが、今宵は少し様子が違う。
普段であれば自動人形達が動き回る音、彼らの鼓動である歯車の音、本が並べられ、片付けられる音が図書館を彩る音であるのだが、今宵は無音、音もなく人形たちの姿が全く無いし、図書館特有の紙とインクの匂いも全く無い、貸し出しカウンターにも誰もいない……。
その代わり、貸し出しカウンターにはまるで司書を呼ぶ為のそれである様に鈍い燻した銀に近しい色合いの輝き無い金属の呼鈴が鎮座している。
見るからに怪しくそして妖しい何かをまとう極々普通に見えなくも無い呼鈴、それは今宵の静寂に満ちた図書館を生み出した災いの種であり、悪夢を呼び出す呼鈴である。
もし触れたら、触れてしまったら図書館の扉は条件を満たすまで開かれなくなり、後に鈴を揺らさなくても勝手に金属を引っ掻くような耳障りな音共に触れた者の聴覚を狂わせ、突如としてその腰に怖気による脱力を与えるだろう、それに耐えても耐えなくても、それは合図であり、幻鏡の迷宮は図書館を歪ませ、呼鈴に触れたものを歓迎する事となるだろう。
■幻鏡の迷宮 > 姿の見えない自動人形達は何処へ?
探せば直ぐに見つけられる筈、人形たちこそ「彷徨いの呼鈴」の動力源となり、迷宮の挑戦者が図書館に迷い込むまでのその者に代わり食われているのだから、書架の影や貸し出しカウンターの裏を見れば力なく倒れこんでいるのが発見出来るし、魔力を見る事が出来れば其処から人形たちの魔力が全てカウンターの上にある呼鈴に集まって吸い上げられているのが判る筈。
音と匂いの無い世界。
其処に色がつくとするなら、それは図書館に誰かが入り込む事である、がしかし、今はまだその気配も無くただただ図書館は時が止まったようになんの音も無く、匂いも無い。
――図書館と外界を繋ぐ大扉は少しだけ開いて図書館を照らす照明の輝きを零し迷宮の挑戦者の到来を待ちわびる、その者がそれを知っていようが知っていまいが、問わずに。