2019/01/27 のログ
ご案内:「ドラゴンズネスト」にフィリオソリスさんが現れました。
ご案内:「ドラゴンズネスト」にダグラスさんが現れました。
ご案内:「ドラゴンズネスト」からダグラスさんが去りました。
ご案内:「ドラゴンズネスト」にキルドさんが現れました。
■フィリオソリス >
「すー……すー……」
ダンジョンの最奥、豪華なベッドの上
その場所には似つかわしくはない少女が一人、穏やかに寝息を立てている
このような場所にたどりつけるようには見えないほど華奢で
かといって供物といわれるにはあまりにその扱いは丁寧だった
それもそのはずである
彼女こそこの巣の主でありダンジョンを作った本人だからだ
今は人の形を取り人里でしったベッドの感触に埋もれている
ついに完成したダンジョンに満足しつつも、しかしながら誰一人最奥に到達する者がない状況につい眠ってしまったのである
有り体に言って、たいへんに暇だった
■キルド > ――コツコツコツ
音がなる。靴と、地面が鳴らす音。
ゴシャ――ズズン……
何かが潰れる音と、地面が震える音
そうして、出てきたのは……
「――はぁ……」
ひどく、ひどく青い顔をした少年であった
優美に、軽々楽勝で、汚れもせず、なんて。
そんなことができるほど――”コレ”は、異常でもないし
コレは、それほど優秀でもない。
ただ――気力だけが人外であるだけである
「――……」
そしてようやくたどり着いた最奥であるというのに。
そこで待っていたのはなんと――
眠り姫だと、誰が思ったであろうか
「……――」
きょとんっと、しながら。一歩一歩、足を進めていた
■フィリオソリス > 来客が現れようとも眠り姫は眠りから覚めることはない
もちろんキスを待っているわけでもない
生態系の頂点として君臨する彼女ら龍にとって眠りを妨げるほどのものがほとんどいないのである
これが少年ではなく猛獣だったとしてもきっと反応は変わらなかったことだろう
少しよだれを垂らしつつ緩んだだらしない
おそらく顔をのぞき込むほど近づけようとも目を覚まさない
そんな顔をしている
もしかしたら彼女がだらしないだけかも知れないが――
「ふふっ…もう食べられんのじゃムニャムニャ」
そんな定番の台詞も聞こえてくるだろう
それほど完全に眠りに落ちていた
■キルド >
さて。やってきたのはいいのだけど――
ぐっすり睡眠する彼女は、やはりキレイだと言わざるを得ないもので
「おきて」
ぷにっと、頬を指でつついた
■フィリオソリス >
「いやじゃー」
眠りを妨げる不届き者
その出現に、スッと拳が振るわれる
寝返りと共にふるわれた裏拳が後頭部に打ち下ろされようとするだろう
別に迎撃だとかそんなたいそうなものではない
もっと寝ていたいとなんとなくふるわれる、本当にただの寝返りである
しかしながら龍の膂力を持ってふるわれる裏拳
その質量も含め、人の頭をかち割るには十分な威力を持っていると気付くだろうか
■キルド > ぞくっと、寒気が走る
まずい、死ぬ――それがわかる、動きである。
殺意に反応とか、そういうものではなく。
ただ、純粋にそう思った。なので
すっと、距離をとった
「――……」
青い顔がずいぶんとまた、青くなった
■フィリオソリス > 振るわれた拳は少年の頭をかすめ、そしてベッドにめり込んだ
ドゴンッ――とそのかわいらしい手には似つかわしくない音を立て
そのまま石でできたベッドをまるで砂糖菓子でも砕くようにあっけなく打ち抜いた
もちろんその上に敷かれたマットレスも完全に粉砕されている
無残に砕かれ傾いたベッドからごろんと彼女も放り出され
そして、ゴチンと何とも鈍い音を立てた
「な、なんじゃ?」
突然の衝撃に覚醒する
頭をさすってはいるが痛かったわけではないだろう
ただ、何が起こったのか周囲をキョロキョロと見回していた
■キルド >
「寝返りを打って、ベッドが粉砕された」
指を指して――危なく死ぬところだったとか。喚いたりはせず――
「もう少し、寝相を、良くしたほうが、いい。よ?」
怪我はないようで、安心だ
自分も、彼女も――だが。
「おはよう」
■フィリオソリス >
「ん?んん?
ああ、あのときの小僧か、久方ぶりの気がするのう」
まだ頭が回転していないのか、少し寝ぼけているようにも見える
「いや、いや、おぬしここまで来られるほどに――ん!?」
記憶を探る作業で頭が冴えだしたのか、ベッドの惨状に気付く
一瞬、彼女の感情を表すように髪が赤くきらめいたように見え、そしてすぐに意気消沈したように鎮火する
そして
「あー……」
となんと言ったらよいかわからないような声を出した
■キルド >
「また買い物、しないと、だ」
うんっと頷いて。
「久しぶり」
ようやくというか、なんというか――
「――とりあえず、食べる?」
持ってきた荷物を下ろす。王国で買ってきた、食べ物だ。
好みのものがあるかはわからないけれど――甘いものが多めである
■フィリオソリス >
「んー…んー…
まぁよい」
それまでベッドだったもの蹴り上げると、それはパカーンと小気味よい音を立て壁まで吹っ飛ぶ
そこには同じようなガラクタが積まれていることだろう
このようなことは一度や二度ではなかったようである
「それよりもなんじゃ?
ここまで来て茶会か?
わしは別にかまわんが――」
と大理石だろうか、綺麗に切り出された椅子とテーブルをずいっと押し出す
そこにトカッと座ると脚を振り上げるように組み
「わしの身体が欲しいとかではないのか?」
と妖艶に微笑んだ
■キルド >
豪快に処理する姿を見れば、ぉぉっと、驚いたように息を漏らし
「――でも好きでしょ? 食べ物」
テーブルに食べ物を並べていく。一度、外に顔を出したときに覚えたことである
「――身体?」
首をかしげる。再度――
「身体は、いらないよ」
■フィリオソリス >
「ふーむ――欲のない奴じゃのう
なんでもわしの目玉一つで城が建つらしいぞ?」
ダンジョンの製作に人を雇い意匠をこらすほどである
貨幣について学んだ彼女にはその価値がどれほどかわかる
「まぁ、もちろん代価に命をかけてもらうしのう
それができんというのもわかるはなしじゃ」
物騒な話をしつつもその目は並んでいく菓子を追っている
菓子もまた人里におりて知った誘惑である
その力は大変に強い
■キルド >
「そういう趣味はない」
グロとか、そういう意味で本人は言ってる模様であった。
容器に淹れてきた、お茶を陶器に淹れつつ――
命をかけると、いうからには彼女は抵抗するということであろう。なおかつ、ここにいるという意味はなによりもその実力を意味するものであるし――
「――食べてもいいよ?」
どうぞ、なんて
■フィリオソリス >
「それでは……」
ひょいパク、ひょいパクとクッキーやマシュマロとつまんでいく
「ん~甘味はいかん、とまらん」
尊大な態度に反して、はしたなく指を舐める仕草はまるで少女そのものである
「ほれ。お主もたべんか
わしだけ食べておったら気が引けるじゃろうが」
といいつつもその手は止まる気配はない
■キルド >
「いいよ。キミのために持ってきたものだし」
自分はお茶だけを飲みながら。
ちゃんと、目の前の少女用のお茶も渡しつつ――
「よかった」
食べる姿を見ながら、薄く口端があがった、気がした
■フィリオソリス >
「いいから、ほれ」
と、つまんでいたクッキーを素早い仕草で口にねじ込む
先ほどペロペロしていた指であるが彼女自身がそういうのを気にしないタチなのであろう
恥ずかしがることも悪びれることもなくたずねる
「どうじゃ?」
と、その顔には笑顔が浮かんでいることだろう
あまり見たことない顔だったかも知れない
■キルド > 口にねじ込まれれば。もごもごとしたあと――
ちゅぴっと、貴女の指を少し、しゃぶってしまった
自分の意志ではないのだけれど――
「ん、美味しい」
自分の選択が間違ってなかったのだと安心しながら
少女の表情を見れば――呆けてしまった
■フィリオソリス >
「じゃろう?
な!ほれ。くえくえ」
彼女が用意したわけでもないのになんとも偉そうにしている
呆けた少年を眺めながらダンジョンに潜っている間に冷めてしまっただろうお茶をそっと手で包む
するとカップのまわりが薄く輝き、すぐにポコポコと煮立つだろう
そして温まったのを確認すると、今更ではあるのだが――少し上品な仕草でお茶を飲むのであった
■キルド >
「――今更、そんなことしなくても」
上品な姿を出そうとする必要はあんまりない、ような気がした
結構もうすでに、いろいろわかっているのだし
加熱するのを、見れば。なにかの魔法かなとか思いつつ――
「ふぅ……」
青かった顔は、いつの間にか血の気を取り戻し。
ようやく一息ついたように息をついた
■フィリオソリス > なんとなく眉根が歪んでいるが不機嫌とかではなく、おそらく再加熱した紅茶が不味くなってしまったのだろう
風味が飛んでしまっているそれをさっと飲み干し、急にはじまったお茶会はゆっくりと終わりを告げた
今まで血色が悪かったことにも気付いていないようで、お茶会は世間話のようなものに移り変わっていくだろう
「うむ、美味であった。満足じゃ
――そうじゃな、ここまで来たことだし適当にその辺の宝を持っていっても良いぞ?」
上機嫌に言い放つ
彼女が龍の姿に戻っても十分に暴れられるであろう広さを持った部屋の隅に目をやれば
いわゆる金銀財宝と言われるような貴金属類や果ては魔法の武器のようなものまで転がっている
あんにこれらの武器をつかってもまだ自分には及ばないと言っているようでもあり
私に挑んできなさいといっているようでもあった
ただ、本当にただのお礼と思っているだけなのかも知れない
もしかしたら、その全てであるのだろうか
■キルド >
「いらない」
ふぅっと、再度息を吐いて。楽しんでもらったのを満足するように
陶器をしまったりなんだりしていく
「美味しかったなら、よかった。次は、何を持ってこようか」
うーんなんて、考えるように腕を組み――
■フィリオソリス >
「ぬーん――?」
と腕を組んで首を傾げうなる
次のおみやげを何にしてもらおうかと考えているわけではなく――少年について思案していた
人間というのは金銀財宝や龍の素材、それらから得られる富や
龍を倒したという名声、そういった意味もない欲望に心血を注ぐ
そういう生き物ではなかったのか?
少なくとも彼女の故郷で共に暮らしていたジジババどもに聞いた話や
今までダンジョンに来ていた人間達はたいていがそういうものであった
この小僧は本当によくわからない
いわゆる平均から外れた個体なのだろうか
などという偏見まみれな事を考えながら
「お主は何がしたいんじゃ?」
耳に入るかわからない小さな小さな呟きがぽつりともれるのであった
■キルド >
「オレは――」
何がしたいと言われれば――とりあえずは
「恩返しがしたい」
最初ここで迷い込んだとき、彼女は自分に”時間”をくれたのだから
なら――
「報いるためにここにきた」
ある意味では、そういう欲をもっていると評しても可笑しくはない
■フィリオソリス >
「?」
聞こえていたのか、と驚きつつも
さらなる疑問がただ増える
恩という概念だって知っているし、それを返すという慣習も知っている
ただ、単純にいって恩を売った覚えがなかった
気まぐれであったのか、知らずに通り過ぎたか
全くもって少しもこれっぽっちも記憶になかった
首が一回転しそうな勢いでひねる
「よくわからんが、恩を感じる必要も無いし
そういう理由でならそういった土産もいらんぞ?」
等価交換や畏れからの供物、
人に恐れられる存在で、あったとしても交渉相手程度にしか見たことのない彼女にとって
あまり覚えのないそれら以外の贈り物に戸惑ってしまったのかも知れない
そんなことをぽそりと言った
■キルド >
「そうしたいんだ」
少年は、初めて――彼女の前で笑った。
淡い、笑顔だった――……
ゆっくりと立ち上がり。うんと頷いて――……
「したいことをしているだけだ。だから遠慮、しないで受け取ってくれ」
わからないなら、わからないのでいい。けれど、だからといって、報恩しないのは嘘だ。
だから――
「また、持ってくる。次は、何が食べたい?」
■フィリオソリス >
「ん…ぐ」
吹けば飛ぶような存在でありながら自分を恐れる風もなく
ただ、覚えのない、きっと取るに足らないだろう恩を返そうと近寄ってくる人間
ありが踏まれなかったからと象に恩を返しに行くだろうか
虎が腹がいっぱいだったからと兎を見逃したとして、恩を返しに戻ってくるだろうか
ワケがわからない
もしかしたら彼女が初めて感じたのは恐怖――だったのかも知れない
たじろいだ彼女は
「しょ・・・ショートケーキ」
とつぶやいた
■キルド >
「わかった」
頷いて。手早く、荷物をまとめ終えれば。
答えをもらえた満足感か、また一つ深呼吸――
「いちごがたくさん乗ったやつ、持ってくる」
またなと、手を掲げて、その場を後にした。
足取りは、軽いように見えた――
ご案内:「ドラゴンズネスト」からキルドさんが去りました。
■フィリオソリス >
「う、うむ……」
そういったときには少年は足早にその場を去ってしまっていた
ただポカンとするしかなく呆然と見送る
晴れやかに見える少年に対して、少女は何とも言いがたいモヤモヤした感覚を胸に抱く
「……
ベッドを作り直すとするか」
気を取り直した彼女が言えたのはその程度の言葉だった
ご案内:「ドラゴンズネスト」からフィリオソリスさんが去りました。