2019/01/14 のログ
幻鏡の迷宮 > 崩れ落ちる者、歪んで朽ちる者、どれもが動かず笑わず喋らず、眠らない図書館を一層不気味に妖しく染め上げて、更に其処に薄紫色の霧が人の足首程度まで包む込む、此処は日常なのか非日常なのか、迷宮化はついに曖昧な境界線を越えて現実を日常を浸蝕し始めた。

数多の書架は人形たちが触れていないのにゴゴゴゴとやかましく唸り声を上げながら迷宮たらんと壁になり、通路をふさぐ壁となり、どちらの役割に堕ちた書架もその高さは人の背丈を容易く越えて、天井に届かんばかりと為る。

所蔵されている本などは見知らぬタイトルの本や読めぬ文字の本までもが何処からとも無く書架に収まり、絵本を手にすれば内容は色欲に歪んだ不気味な物へと本の内容すらも歪に歪み堕ちていくだろう。

――迷宮化した図書館。

平常時と同じ様に扉は鍵が掛かる事無く、迷宮に踏み込んでしまう犠牲者の到来を待ち、ほんの僅かだけ開いて図書館の前を通る人間を誘う。

一歩でも踏み入れその身に恐ろしいほどの怖気が走り、その後に扉は音を立てて客人を歓迎し、入るに容易く出るに難しく、外と中を日常と非日常を繋ぐ境界線を閉じて鍵をかける。

幻鏡の迷宮 > 図書館を迷宮化させ蹂躙しておきながら、今宵は直ぐに迷宮化現象は収まる、だが何時もと違い今宵は存在していたという証左を確りとその場に残している。

濃い魔力、崩れ落ちた人形達。

是が噂になるのは何時の日か?
それともただの人形の動作不良で終わるのか?

迷宮は今宵は静かに消える。

誰に見えられることも無く……だ。

ご案内:「王都マグメール/平民地区/図書館」から幻鏡の迷宮さんが去りました。