2019/01/13 のログ
ご案内:「王都マグメール/平民地区/図書館」に王都マグメールさんが現れました。
ご案内:「王都マグメール/平民地区/図書館」から王都マグメールさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール/平民地区/図書館」に幻鏡の迷宮さんが現れました。
幻鏡の迷宮 > ――眠らない図書館

王都マグメールに点在する図書館の一つ。

特徴は24時間休む事無く運営しており、貸し出しを含めて全てが魔力を動力源とした人を模した人形が対応している。

特に禁断の魔導書があるとか、呪われた書物があるとか、そんな事は全く無く、極普通の図書館であり一番多い蔵書の種類も絵本だとかで、夜子供が寝付けない親がこっそりと絵本を仮に来る事さえある。

広さも一般的な図書館と同じで広くも狭くも無く、書架も複雑に並べられている、なんてことは全く無い。

そんな極普通の図書館である、筈であった「眠らない図書館」、今宵は両者の対応を行う人形達が妙に静かであり、普段なら賑やかに聞える人形達が動くたびに図書館に響く軋んだ音もしていない。

だがそれ以外は今だ何も起こらずに居る「日常」

しかし、其処には災いの種がさも己も日常だといわんばかりに混ざりこんでいる。

その種は蔵書の貸し出しカウンターに鎮座している。

燻した銀の如く、艶めかしくは有るが輝きの無い金属の呼鈴、隣には勿論正常な動作を行う金で出来てた人形達を呼びつけるための魔力を宿した呼鈴もある。

――魔力を感知できる者が見れば判る事だが、図書館内の魔力は全て二つの呼鈴のある貸し出しカウンターに吸い上げられている様にその魔力の流れは見える筈で、銀か金、どちらが吸い上げているかまでは判断しづらく、どちらが正常な動作をする呼鈴かは判断に困るかもしれない。

だがどちらを手に取ろうと燻した銀色をした呼鈴は日常を歪め、呼鈴を手にした人間を悪夢へと引きずりこむだろう。

正統な対価を有し、引きずり込んだ人間に希望も与える迷宮であって迷宮にあらず、されど根底は迷宮である幻鏡の迷宮、それは今静かに図書館に存在する魔力を吸い上げながら、その時を待っている。

幻鏡の迷宮 > 図書館で忙しなく仕事をこなしていた魔力を動力源とした人形達は『彷徨いの呼鈴』が貸し出しカウンターに鎮座している限り、その魔力はその燻した銀色の色合い艶やかな呼鈴にじわじわとだが確実に吸い上げられ、動くだけの魔力が無くなった人形達は言葉通り糸が切れた操り人形の様に図書館の床に崩れ落ちていく。

でも、それは幸せな眠り方の方。

最悪なのは己の魔力を吸い上げる『彷徨いの呼鈴』の力に感応してしまい、人を模した姿がすらりと伸びた四肢が作られたが故に整った相貌が歪み捻れ、見るもおぞましき姿となってから、ガランッと音を立てて図書館に床に崩れ落ちた人形達も存在し、それが存在するだけで日常を歪めてしまう事は図書館を迷宮化させなくても一目瞭然である。

だがしかし、魔力を蓄え始めたその原因である『彷徨いの呼鈴』を見分けるには吸い上げ始めた魔力の行く先を探知するだけでは難しいのは変わらず、次第に魔力は図書館全体に霞の如く不可思議な薄紫色の煙を持って広がっていくのだった。

それがまた魔力を失って崩れ堕ちた人形達から僅かな魔力でも吸い上げる触手となり、霧はまた図書館の中にある僅かな魔力の有る本にまでその触手を伸ばして取り込んでいく。

その霧は迷宮化もしていないのにおぞましく、恐ろしく、一見して日常を繰り広げる図書館を霧と言う姿で歪めていくだろう。