2018/08/05 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区/繁華街」にカインさんが現れました。
カイン > 騒々しい平民地区の繁華街の真っただ中、
露店で買ったらしい飲み物を片手に道行く人を眺めている男が一人。
誰も彼もが随分と忙しそうに立ち回っていく様子を何処か他人事のように眺めていた。

「相変わらずこの辺は騒々しいもんだ、
 仕事で来る分にはこの騒々しさが厄ネタだがオフなら気楽なもんだな」

どこか上機嫌に漏らしながらもどこかで騒動が起きたのだろう、
聞こえてくる怒声の方に視線を向けてヤジを飛ばす始末。
仕事らしい仕事もなくたまには休みと位置付けての散歩の最中だけに、
普段用心棒をしてる時の飯のタネも気楽に楽しめる余裕がある。

ご案内:「王都マグメール 平民地区/繁華街」にティエンファさんが現れました。
ティエンファ > カインが目を向けた方向には人だかりができていた。
もう少し足を向ければ、改めてカインが脚を向ければ、現れたい丈夫に野次馬が道を空ける。
大通りに出来上がった急造の人垣の広場。 その中央には、ならず者たち5人に囲まれた、異邦の青年の姿。
ならず者たちの手には大小の刃物、青年の手には使い込まれた色をした木の棒だけであった。

カイン > ふと起きた騒動に目を惹かれ、歩いていくとよくあるといえばよくある光景が見て取れる。
とはいえ貧民地区程治安の悪くないこの近辺の往来でとなればやはり珍しい。
他にも多数の野次馬が騒動の顛末を覗いている様子を左右に視線をやって眺めた後、
顎に手を当ててしげしげと様子を眺め。

「…うむ?こりゃまた、面倒そうなことになってるな。
 おい、兄さん。助太刀は必要かい?」

用心棒仕事であればどちらも叩き伏せるか放置する案件だが、
今は手持無沙汰のただの暇人である。興が乗ったとばかりに人数の少ない方に陽気に声をかけ。

ティエンファ > 口汚く罵るならず者の言葉を聞いて居れば、どうやら、露天商にいちゃもんつけていた男達の一人を青年がのしてしまったようだ。
よく見れば、青年の足元部突っ伏したまま動かない男の姿がある。

「いや、格好つけてるつもりはなかったんだがよ こう、気に入らないからぶん殴っただけだしな」

呵々と笑う青年は、ぼろけた帝国風の長衣に、黒髪、左腕の刺青。 流れの者とわかる。
数人が襲い掛かろうと身構えた所に、カインの声。 視線だけ向ければ、ちょっと驚いた風に目を瞬かせる。
それから、に、と口の端を上げて見せ。

「酒瓶一本」

報酬を口にすれば、カインの登場で気勢を外されていたごろつきの一人に飛び掛かる。
無駄の無い動き、拳の一撃。 ごろつきの一人が声も無く膝を折る。 その頃には、既に青年は2人目に襲い掛かっていた。

カイン > 「勿論上物なんだろうな?ま、いい。乗った!」

短く帰って来た返答に喉を鳴らしながらも、結局は道楽である。
あっさりと頷いて見せれば男たちの中でカインに最も近いものが怪訝な様子で声をかけてくる。
それに問答無用で近づいたかと思えば、徐に首筋に一撃入れて意識を刈り取って見せた。
すぐさま反応した一人が手にしたナイフで襲い掛かってくるのを、
反対に踏み込みながら一撃を躱し逆に腰の剣の柄を突き出す事で鳩尾に一撃入れて見せる。
もんどりうって倒れ、もがく男を一瞥しながら最後の一人の処理の見物とばかりに襲われていた青年の方へ向けた。
こっちの仕事は終わったとばかりの様相である。

ティエンファ > 「働き次第だな、なんてな 多謝」

カインよりも年下だろう青年は、生意気な口を叩きつつも礼の声を返す。
口よりも早く動かす手足は、二人目の脚を刈り転倒と同時に男の鳩尾に棒を突き込む。
その動きに躊躇いは無く、しかし、カインの目であれば加減をしているのが分かるだろう。 場数を踏んでいる。

瞬く間にごろつきを倒した二人に顔色を悪くするのは、残った一人のごろつき。
それに対峙する青年は、丁度カインに背を向ける位置。
それに気づいたごろつきが、カインに必死の声を向ける。

「…酒で雇われたなら、こっちのごろつきはそれに女と飯もつけるってさ
 中々良い手だぜ、ごろつきのおっさん …どうするね、兄さん?」

ごろつきがカインを買収しようとした条件を繰り返せば、ふむ、と鼻を鳴らす青年。
ゴロツキに素直に褒め言葉を向け、肩越しにカインに視線を向ければ、楽しむように目を細める。
確かに、ここでカインが裏切れば挟み撃ちの形になる。

カイン > 「ほう、北方の出か。ちょっと前まで揉めてたってのにな、
 もう旅人が来るようにはなったか」

相手の特徴的な言葉に感心したような声を漏らす。
その騒動には自分も覚えがあっただけにどこか考え深げですらあった。
離れしている様子には何となく察しはついていただけに改めて認識はしたものの、
聞こえてきた言葉にクックと喉を鳴らして返し。

「女は口説いてなんぼだろう。宛がわれた女をどうしろというのか?」

面白くもない、と足元で悶絶している男に追撃の一撃を食らわせて黙らせれば肩が揺れ。

「それとも、他にやりあう理由でもあるか?
 俺はお前さんに恨みはないし恨みを買われた覚えもないな」

クックと喉を鳴らしながら大仰に手を広げて笑って見せる。

ティエンファ > 「最近は多いぜ まあ、俺は元々国籍無しの拾い子だけども
 何だい兄さん、昔を思い出す爺さんみたいな目をしてるぜェ」

荒事のど真ん中に居るのに、二人はまるで世間話をするような軽い口調で言葉を交わす。
当事者であるのに茅の外にされた挙句に、美丈夫からあっさりと交渉を拒否されれば、やじ馬の人垣から失笑が漏れる。
真っ青だったごろつきの顔が、羞恥に真っ赤になれば、怒り心頭。 よそ見をしている青年にナイフを抜いて襲い掛かる。

しかし、青年はそちらに顔を向ける事すらせず、ひょいと棒を水平に下ろす。
軽い仕草で棒を跳ね上げれば、飛び掛かったごろつきの顎を弾き上げ、
そこからぐるりと体を回せば、僅かに浮いた男のこめかみを寸分違わず横から薙ぎ打つ。

吹っ飛んで地面に転がったごろつきは、声も上げられず昏倒する。
ごろつきの持ってたナイフが落ちてくるのを宙で取れば、カインに振り返り。

「他にやり合う理由…そうさな、良い腕の戦士とは、個人的には手合わせをしてみたいとも思うが
 一先ず改めて、加勢有難うな、兄さん! 俺はティエンファ、冒険者だ 街では護衛や用心棒をやってる」

カイン > 「ほう?まあ、どこの生まれかなんてのはそれ程大した問題でもないがな。
 ハッハッハ、多分お前さんよりは年を食ってるからな。そういうときもある」

笑い飛ばして言い返しながらも立ち上がろうとしている連中を押さえつけつつ、
目の前で展開された鮮やかな動きに拍手をして見せる。

「お見事。ほう、ご同業という訳か。俺はカイン、立場として傭兵という事になる。
 どこかに所属している訳ではないがな、まあ仕事で一緒になったらよろしくな。
 敵でも味方でも、お互いに楽しめるだろう?」

クックと喉を鳴らし返しながら肩を揺らして目を細めて見せた。
大げさに広げた手を下ろして腰の剣を軽く鳴らせば、
一通り片付いた様子を確かめるように周りを見回す。

「しかし殴るにしても天下の往来は可哀想だろうに。
 路地にでも引きずり込めばもうちょっと地味にやれたろう?」

そうしながらにニヤリと笑みを浮かべてからかうような声をかけ。

ティエンファ > 「色々経験してそうな兄さんが往来でそう言えるのが、今のご情勢だよ
 武者修行の旅をしている俺としては、動きやすい良い世の中だ」

カインの拍手につられ、暢気な野次馬からもパラパラと拍手が起こる。
どうもどうもとおどけた様子で手を上げる青年は、青年の名乗りに目を瞬かせた。

「味方なら頼りになり、敵なら心躍る 良い出会いだぜ、カイン よろしく頼むよ」

にやりと笑った口元に白い歯が覗く。 それは、先程のゴロツキよりも鋭く、獣のような笑み。
…しかし、からかう様にカインに向けられた問いに目を瞬かせる表情は、まだまだ子供っぽい色で。
何故か恥ずかしそうに視線をさ迷わせ、頭を掻いて。

「…悪くねえのに人数でいちゃもんつける奴が気に食わなかっただけさ」

もしかするとカインは、最近、ごろつきの無法をねじ伏せる正義の味方紛いをしてる若い異国人がいるという噂を聞いたことがあるかもしれない。
青年はぼりぼりと首筋を掻いてから、誤魔化す様に悪ぶった仕草で野次馬をねめつける。

「ほれ、見世物じゃあないぞ! 散った散った! カインも行くぞ、美味い酒を出す店があるんだ」

照れ隠しなのか、足早に歩き出す。

カイン > 「ま、そうさな。この国が治安のよかったと気なんてのはとんと記憶にないが」

ふと思い返してみればそれこそ百年単位で隣とは小競り合いばかりである。
国の常とはいえ飽きない物かとも思いつつ、顎に手を当てて肩を竦める。
最も、そのおかげで稼げている身分として何を言う権利もないだろうが。

「ああ、よろしく頼む。しかし――ま、ほどほどにしておけ。
 好き勝手やるのはこの辺じゃなくて貧民地区の方が適してる」

ともすれば騎士連中が出張ってくるのがこの辺りである。
騒動上等とばかりに我を通すならばと迂遠に言いながらも喉を鳴らし。

「ま、そろそろ行かないと余計な連中が出てきそうだからな。
 そうしよう、この街に来ては長いのか?」

ちらりと気絶させた男が目覚めそうなのを一瞥して頷いて返す。
しかし行きつけの店があるという様子に不思議そうに問いつつ歩き始め。

ティエンファ > 「難儀な国だな 荒事専門としては、稼ぎ口が多いのは助かるんだけどなァ
 …忠告は受け取っとくよ だがほら、見ちまったら素通りは出来ないだろ?」

大人に叱られた子供のように唇を尖らせる様子は、先程までの戦を楽しむ獣とは違う表情で。

「ああ、2年ほど前に来て、1年程離れてー…今は貧民街に宿をとっててさ
 今から連れてくところは貧民街近くなんだが、穴場なんだぜ? あんま広めてくれるなよ、カイン?」

歩き出すカインに頷き、軽く話しながら街を行くのだった。

カイン > 「まったくだ。おかげで食い扶持には困らんのだけは良いとしておこう。
 …若いねえ。そう思っちまうなら仕方がない」

呆れ半分からかい半分といった体で言葉を返しながら、
にんまりと笑いがてらに年若い相手と連れ立ち繁華街を後にする。
後に残ったのは騒動の後片付けをするべく訪れた店の者たちと、
死屍累々に転がされた男たちの残骸のみであったとか。

ご案内:「王都マグメール 平民地区/繁華街」からカインさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区/繁華街」からティエンファさんが去りました。