2018/03/03 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区 路地裏」にジードさんが現れました。
ジード > 貧民地区の中でも一層治安の悪い路地裏の片隅。
ちょうど平民地区と貧民地区とを繋ぐ裏道に当たる路地に怪しげな露天が構えられていた。
とはいっても場所が悪いのか訪れる人影もほとんどなく店の様相は閑古鳥。
繁盛していないのは一目瞭然。

「さて。普段なら訳アリが結構通りかかるんだがなあ。こっそり娼館に出かける人、とか」

はて、と声を上げながら間昼間から騒々しい繁華街のある方角に目を向ける。
そういった手合いを当て込んでの商売場所であるが興は当てが外れたらしい。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区 路地裏」にラエルノアさんが現れました。
ラエルノア > 昼下がりの貧民地区の片隅、細路地の一つを歩む少女の姿。
迷路じみた路地も、この界隈に住まう者なら目を瞑っていても歩ける。
夜になればそれなりに賑わいを見せるこの地区も、今は静かなものだった。
静か、というよりもうら寂れているとでも言った方が合っているやも知れない。
そのどこか白茶けたような光景の中、その店は馴染みつつも目立って見えた。

「繁盛してるみたいね。少し見せてもらっても?」

その店へと立ち寄ろうと思ったのもほんの気まぐれ。
自分の「店」の姐さん連中の世間話の中でこの店で扱う品について聞いたことがあったが故。

ジード > 「いっそ店を畳んで何か食べに行こうかな。
 そういえば昼何も食べてないし…ああ、肉が食いたいかも」

一人でしばらく静かな中にいたものだから自然と独り言が口をつく。
何せしゃべってなかったら死んだも同じという稼業だけに文字通り口が減らない。
そんなだから客の接近にかなりの間気が付かなかったが気が付けば切り替えは早かった。
咳払いの一つすらなく相手に視線を向けて顔見知りかどうかを確かめた後、笑顔で迎え入れ。

「やあ、お嬢さん何かご入用かい?
 身を着飾るものから夜のお供まで、一通りそろってるよ…ってね。
 お陰様でお店出す場所を本気で間違えたかと考え込んでたよ」

前半の口上は真面目ぶったものだった割にすぐにそれを崩して御覧の通り、と左右を示す。
相手が感じた通りまさに閑古鳥というのがよく形容として似合うありさまだ。

ラエルノア > 「本当ね。こんなに品揃えが豊かなのにお客が寄り付かないなんて勿体ない。
もっと大きな通りで商ったらどうかしら? ここじゃ来るお客も知れたものでしょ?」

にこにこと営業用の笑みを浮かべながらに返すのは此方も同じ。
品数の多さ、質、それなのにこんな場所で…。
褒めるようにも疑問を向けるようにも聞こえる言葉に含ませるのは、果たして此処が本当に姐さん連中の言っていた店かを確かめるための『カマ』。

「夜のお供、なんて。欲求不満なお金持ちのマダムなら喉から手が出るくらい欲しいかもだけど。
……そうねぇ…」

考える風に軽く腕を組み、片手の指先で自らの頤を支え。
相変わらずの笑みを唇に浮かべたまま、軽く首を傾いで見せる。

「……いい夢を見てぐっすり眠れるようなお薬はあるかしら?
何せこの辺りは夜が賑やかで、眠れない人も多いでしょう?」

ジード > 「まさか、大通りだったらこんな目立たない店は皆素通りしちゃうさ。
 それだったらこういう抜け道を使う、それでいて羽振りの良い人たちをお客にした方が何かとお得でね。
 君がそう言うお得意様の一人になってくれたらこれ以上はないけど?」

笑いながら膝を叩いて言い返すのはまたぞろ打算を隠しもしない言葉だった。
最後の一言は茶化すように笑って投げかけながらもオーダーを聞けば少し考えるように顎に手を当て。

「さてね、眠れるようにする薬なら沢山あるけど…情事の最中に嫌な相手の顔を見たくないって用途でなし、
 そうなるとあまり強くて即効性のあるのはお勧めしかねるね。
 

効果が数瞬程度で体感時間を飛ばせるような睡眠薬求められたときに
思わず胡乱なまなざしを向けて問うた返答を口に出しながらも、
真剣な様子で薬のいくつかを見繕い。

「そうだね、いわゆる導眠剤ってやつはどうだい?
 寝る前に軽く運動したり風呂で体を温めれば尚効果があるって代物だ」

言いながら黒い丸薬として加工された薬の入った瓶を持ち上げて見せ。

ラエルノア > 「まさか」

彼の口調を真似して肩を竦めて見せる。

「こんな界隈に住んでいるのに、羽振りの良い人たち並のお得意様になるにはどんなことをしたらいいのかしら。
それこそ、余程羽振りの良い人を掴まえでもしない限りは難しいわね」

あっけらかんと笑ってから、彼の言葉には笑んだままに頷きつつ耳を傾け。
暫し考える風に目を細める。

「本当にいい夢を見てぐっすり眠れるのなら、それでもいいわ」

使うのはどうせ自分ではない。
仕事はラクが出来るのに超したことはないし、そのためにも「いい夢」は見て貰わねば困る。
娼館の売れっ妓達はよく客を酔い潰させ、翌朝になってから一夜を興じた風に演じるものだが。
それをもっと容易く出来るならしない手はない。

「……それは、おいくら? 少しはおまけしてくれる?」

声にも目許にも媚態を滲ませる。
無意識のように見えて、意図したもの。
それが通じる相手であればしめたもの、という程度の思惑でしかないが。

ジード > 「おや、そう思うかい?こういう界隈は結構な頻度で外からの裕福なお客様が紛れ込んでる物さ。
 女漁りでこっちまでくるってのは人間の欲望は大したもんだよね。
 そういう輩を引っ張ってくれれば玉の輿も夢じゃないかもよ?ま、楽しくはないと思うけど」

そういう手合いの話もよく聞くのがこの界隈である。
世の中何がどうやって出くわすのかよく解らないというのがよく解る話だ。
大体不幸になるのはひっかけられた男の側なのもまたよくある話だが。

「なるほど、じゃあそうだな。少し強めのもついでにで――おまけ、おまけか」

言いながらも値段を示して見せればそれこそ娼婦たちがよく用いる避妊薬の類と同等か、それよりも少々程度の値段である。
そのうえで相手のほうに瓶を差し出す様に見せかけて軽く指を絡めて手を引き寄せて顔を覗き込んでしまおうとし。

「例えば、一晩相手してくれるならタダでもいいけどね?」

からかうように笑いながら言い放つが、目は本気の様相。
その手の事で攻め込んでいくのに躊躇がしない質である。

ラエルノア > 「玉の輿、ねぇ…。
オークションと同じで、競り合う相手が居てこそ、玉の価値も上がるのよ。
その玉で飾られた輿に乗る者も同じ、でしょ?」

自分の価値を吊り上げて見せるのもそう簡単なことではない、とでも言いたげにひょいと肩を竦め。
瓶を差し出されると何の疑いもない風に其方へと手を伸べ、そこで手の動きが止まった。
否、自分の意思で手を動かすことを封じられた。
指を絡めたままに手を引き寄せられ、数度瞬いた後に覗き込む相手の顔を見上げる。

「……それじゃあどちらがおまけをしているのかわからないわね?
私の一夜の値がこの程度だとでも?」

にこりと邪気のない笑みを返し、傍らの商品棚へと軽く手を伸べる。
指先に触れたのは透き通った大きな薄青い石がトップを飾るネックレス。
それなりの値段の値札に目をやってから、薬の瓶の首にシャラリとそれを掛けて相手の目を覗き返した。

「その石が紛い物でも構わないわ。それなりの値段がつけられる程の紛い物なら、ね」

例え紛い物の一夜でも安くはないと。
けれどもそう告げる声も口調も飽くまでも冗句めかして楽し気なもの。

ジード > 「なるほど、確かにそれは道理だ。
 高く売りつけようにも価値の解らん奴じゃあ意味がない、
 自分で価値を高くつけさせるくらいじゃないとね」

商売というものがよく解ってると思わず手を打って笑いながらも、
一瞬きょとんとしたような跡の相手の反応に至極痛快とばかりにのどを鳴らし。

「違いない、確かにそれは俺の落ち度だね。
 商売をするなら正当にやらなきゃならないな、対価が釣り合わないじゃ面白くない。
 お名前を聞いてもいいかいお嬢さん?俺はジード。見ての通りの行商人だよ」

相手の行動を咎めるどころか称賛しながらに、
名乗りを上げて指をするりと引き抜いて一礼して見せる。無駄に所作が優雅なのだが身なりのせいで台無しだ。
そのうえで改めて右手を差し出して正面から見据えて楽し気に反応を眺め。

ラエルノア > 「価値がわからないからこそ高く買う人もいるでしょうけど」

相手が喉を鳴らす様には、僅かにのみ拗ねたような表情を覗かせるも、すぐに作った笑みに塗りなおし。
一礼をする様、そして名を告げる様子に、此方も腰を僅かに落とす優雅な礼を返した。
まるで社交の場でダンスを求められ、それに応えるかの所作は、この路地では全くに不似合いではあるけれど。

「……ジード。私はラエルノアよ。見てのとおり、……、とはいかないわね」

彼を真似るも、今の自分の姿では一目で商売等はわからないだろう。
尤も場所柄や駆け引きで知れる部分はあるだろうけれど。
首を竦めるようにしてつい吹き出してしまったが、そんな表情は年齢相応に見えることか。

「―――商人さんなら『品物』の扱いはきっと慣れているわね?」

幾分強気ではあるが嫌味ではない口調で告げ、差し出された手に左手を重ねる。
夜毎の駆け引きとは幾分異なり、だからこそどこか面映ゆげにもくすぐったげにも見える表情を滲ませつつ。

ジード > 「そういう手合いの相手はあまりしたくないねえ。
 商売としては確かに楽ではあるかもしれないが」

イマイチ好みではない、等と嘯いて見せる辺り享楽家な所が見え隠れ。
しっかりとした所作で返礼されると思わず感嘆の後に手を打ちかけてかろうじて押し止め。

「何、凡そはわかった気がするけどね。それではラエルノアお嬢さん、
 ここは少々無粋だし場所を移すことにしましょうか?」

笑いながらそう言い返したかと思えば取られた手を軽く引っ張り、
己の胸の内に少女の体を抱き込んでしまおうと力を籠める。
直後、どこからともなく取り出したステッキで地面を打てば広がっていた店が浮かび上がった文様と共に、
一つのカバンの中へとあっという間に納まってしまい。

「勿論、損はさせないさ。どんなものでも手に入れたからにはしっかり使いこなして見せるのが信条でね?」

どこか挑発的で意地の悪い調子を混ぜながら、
それとなく楽し気な相手を見やってかばんを手に取ってその場から歩き出すのだった。

ラエルノア > 「……っ…、―――。」

不意に手を引かれ、次の刹那には相手の胸に抱かれていた。
声を上げなかったのは一瞬のこと過ぎたのと、ささやかな矜持の故。
が、目の前で店がカバンの中へと納まってしまう様を目にすると、流石に瞬きを繰り返すのを隠せなかった。

「なるほどね。どんなマジックを見せてくれるのか楽しみにしておくわ」

強がり交じりの言葉を返し、驚いた表情を辛うじて笑みの中に押し隠す。
彼に手を取られたままにその場を後にすれば、何事もなかったかのようないつもの路地の光景だけが残るのだろう。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区 路地裏」からジードさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区 路地裏」からラエルノアさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 公衆浴場」にボブさんが現れました。
ボブ > (修練所で槍の鍛錬を積み、その脚で公衆浴場へとやって来た褐色の肌の男。
まだ日が暮れる前という早い時間という事もあり、男以外の入浴者は居らず、男は洗い場でたっぷりかいた汗を
洗い落としていけば、広い湯船を独り占めしていて)

「はああぁぁ~~~、気持ちいいぃ~~っ!
やっぱり身体を動かした後の熱い風呂っていうのは本当に堪えられない気持ち良さがあるよな」

(湯船に浸かり、両の手を器状にしてお湯を掬い、顔に打ち当て、顔を洗うようにしながら
男の口から風呂の快感に対する言葉が漏れだしていって)