2017/11/30 のログ
ご案内:「王都郊外の教会」にクトゥワールさんが現れました。
■クトゥワール > 厳かな声が聞こえる。
多数の人の気配もある――紅色の視線が石壁をなぞる、教会の中から。
式典、というにはささやかな規模の、追悼が行われていた。
戦時であれば珍しい事でもない。戦場で命を落とした者達の縁者や上官であろうか。
年も性別も様々な者達が時折、悼ましげな表情で扉を潜っていく。
己は、この戦争に縁などない。静かに佇む教会と広がる墓地に行き着いたのはたまたまであり、しかしながら何となしに離れがたくその場に居残ることにしたわけだった。元より、うろつく宛などあるわけではないのだから。
『参列者の方ですか?』
木立に背を預けるその姿を気にかけたのであろう、聖職者と思しき者に声を掛けられ首を振る。
ならばなぜここに居るのか。一瞬怪訝な表情を浮かべた相手は、しかしそのような暇もないとばかりに一礼の後、建物の中へと姿を消した。
やがて慰霊の歌が響き始める。
雲ひとつ無い、嫌味なほどに元気の良い日差しが今ひとつ場にそぐわない気がした。
「こういう時も、良い日和と言うのだろうかな。」
大抵の式典に良い日柄というのは歓迎されるものだが、こういう時にはどうなのだろう。
独り言を、皮肉っぽい笑みで飾り。暫く歌に耳を傾けている。