2017/08/17 のログ
■ルーフェン > 似ているのか、と彼女に視線を向け問われれば少し力なく笑う
「こんなに優しいのは初めのうちだけじゃがな…
冬の始まりにこんな風に雪が舞うのじゃ」
スノードームの雪が沈む。さらり、と水の中で揺れて
細工の山小屋が雪と同じように白く崩れてしまわなかったから少しホッとした
そうして、商品を戻そうとすれば彼女の声に手を止めて
「…火龍なのに雪が良いのか…
本当に変わった娘じゃな、火棘…」
くす、と小さく笑えば店主を呼び代金を渡しスノードームを受け取る
受け取ったそれを、彼女の手に自分の手を添えるようにすればそっと掌に乗せて渡し
「小さいし、作り物じゃがわしの故郷じゃ、火棘が大切にしてくれればわしも嬉しい」
にこり、と笑って手に添えた自分の手を離す
その腕を持ち上げてぽふん、と軽く彼女の頭を撫でれば、手を引っ込めて再び歩きだそうと彼女を促す
■火棘 > 「キラキラしているし、なんだか可愛い、それにルーの居た場所に似てるのなら…
これでいい、これがいい」
ミニチュアの世界だけど、雪をイメージさせる作りは精巧にも思えた
はじめてみたスノードームだけど、彼の故郷を思い出させるものならばと
店主に代金を払い、自分の手の中にくると
大事そうに袋に入れて仕舞う
「次は、本を探そう」
再び歩き出すのに手を伸ばして、先ほどのように肘のとこに添えて並び歩き
■ルーフェン > 「…まあ、火龍は寒いのにも強そうじゃしな…」
炎を自在に操り、同じ寝台に眠ればそれだけで暖かな彼女であるから北の雪国もきっと平気な気がする
降る雨に身体を濡らさぬ事すら出来る彼女だから、雪も舞い落ちる前に彼女のそばできっと蒸発するだろう
…寒さに凍えなくて済むのは少し羨ましい、そう思えるほどに自分の生まれた土地は凍てついた土地であった
「うむ…文字が書いてあって読み甲斐があれば内容は問わぬ…
安くて厚い物が良いな…出来る限り文量が欲しい」
そんな希望を述べて並んで歩いて行く
そこかしこに並ぶテントや露店から良い香りが漂ってきてもグッと堪える
あのこんがりと焼けた串に刺された肉塊も脂が乗りじゅくじゅくと焼ける魚にも目をくれず、歩く
…食欲に打ち勝ち、しばらく歩けば雑貨を売る店の前に古く表紙もぼろぼろになった本が何冊か並べられており
それが視線に入れば足を止めて…一冊ずつ、手に取ればぱらぱら、と捲っていく
「……これで良い『マグメール名店百選 第三巻』、『カルネテル年代記』、『隻腕騎士 第二章』
店主、この三冊、全部包んでくれ…あと、三冊買う故、まけよ」
1つは王都に点在する名店を紹介したもの…ただし古い
1つはカルネテル王家の歴史について記したもの
最後は隻腕の騎士が冒険し大活躍する冒険譚
…てんでバラバラなジャンルのものを三冊選び出せば店主を呼び、代金の交渉を始める
あーでもない、こーでもない、と繰り返ししばらくすれば、ほこほこ、と満足顔で商品を抱えて戻ってきた
■火棘 > 「わからぬぞ?炎さえも消してしまうような氷もあるかもしれぬ」
炎が最強なわけでもなく、何があるかもわからない
しけった火竜などただのトカゲのようなものだから
少し歩いて、いい匂いも漂うなか
見つけた古書のテント
なかで選ぶ姿を、店頭で待っている
重ねられた本をいくつか手にとっては戻したり
このあたりの言葉、読める単語はあるけど文章となると彼よりも理解は低いだろう
文字からして違うのだから
少し待ってると、本を抱えるようにして出てくる姿が見えた
「嬉しそうな顔をしておる…いいのを見つけたのだな
じゃあ次は、そろそろ時間だ、ちょっと寄る」
本を戻しながら本を抱えてない側に回り、腕を添えて
夜市から隣の通りにある、ボロっとした看板の細工屋を目指そうと
■ルーフェン > 「…ううむ…あまり想像できぬな…」
うん?と彼女の言葉に首を捻る
水をかければ火は消える。それが道理だと思っているからか、想像がつかぬが…とぽそり、と零した
ただ、何かの本で読んだが想像もつかぬようなことが起きるのがこの世の中と言うものらしいので、
彼女の言うとおりひょっとしたらどこかにそんなものもあるのかもしれない、と納得させる
「良いかどうかは判らぬが、しばらく退屈はせんで済みそうだ
店主との交渉も上手くいったしのう……うむ、火棘の用事、とやらに付き合おう」
彼女が腕を取り再び歩きだす
今度は彼女に案内される形でやや彼女に腕を引いてもらうのだが、ふと気になることがあった
「火棘、指はどうしたのだ…?」
ぐるぐる、と巻物のなされた彼女の指
先程とは反対側の腕を彼女が取ったから見つけることが出来たのだが
「―――よもや、誰かに傷つけられたか?」
声のトーンが落ち、空気がピシ、とひび割れるような緊張感が走る
人の姿をしていてもそこはドラゴン、足下より只ならぬ気配を生じさせながら彼女に問う
■火棘 > 「私もわからぬ、でも、世のこと…
なにがあるか全て知りもしていない」
知らないことのほうが多い、だから、この目で見聞をと外に出たくらい
いろんな可能性が地上にはあるのだろうと
「ルーが読み解ければ私にも聞かせてもらう」
自分で読む気がないということ、彼に話して聞かせてもらおうと考えたから
歩きながら、指のことに気づかれて隠してもいなかったけど…
「ぁ…ん、まあちょっとだ、誰かにされたわけではない
…ほらココじゃ、ちょっと待ってて」
隠すつもりもなかったけど、説明よりも先に店の前についてしまった
空気が代わる様子に、平気そうに口元に笑みを浮かべたまま店内に入る
ついてくるか、わからなかったから扉はあけたまま
■ルーフェン > 「…全てを知るには竜の生涯は短すぎるかも知れぬなあ」
隣人たる人間の営みにすらまだまだ自分の知らぬ事があるのだから
きっとこれ以上に世界には自分の理解の及ばぬことが満ち溢れているのだろう
彼女の言葉にわしもそうじゃなあ…と、頷いて
「…そこは自分で読み解く努力をせよ…」
聞かせてやっても全然構わないのだけども、この辺りの文字を読み書きできても損はないだろうから
と思い、微苦笑を浮かべて
「…なんじゃ、不埒者がおったわけではないのか…」
誰かに何かされたわけではない、と聞けばふしゅー、と緊張感やら只ならぬ気配が霧散する
彼女の口元に笑みが浮かんでいたからという側面が大きいが基本的に彼女の言うことは
信じるチョロいドラゴンである
そんなだから、彼女の後に続き扉をくぐれば後手で扉を閉めて
店内に視線を向けてキョロキョロとしながら彼女のそばまで歩み寄って
■火棘 > 「世界は広いのであろう?種も多様にいるのであれば
その種の世界も広いものであろうし…」
竜だけで成り立つ世ではなく、いろんな歴史もあるだろうこと
種族の数だけ時間が深くあると思っている
「…傍で読んでるのだから…そのくらい」
ケチーとは言わないけど、文字を文章を勉強しているのであれば
便乗しょうと思っただけ、それでも楽しげに
「ん、自分でした」
サラッと自分でしたことを伝え、ちょうど仕上がったというものを確認し
満足そうにしては皮に包まれ受け取る
店内は、いろんな細工に素材にが棚高くまで乱雑重ねられてる
オーダーメイドでモノ作りをしてくれる店
加工の代金を支払い彼のもとへもどってくる
「用事は終わった、今夜はルーの宿に泊まりにいこう」
街に出てきたときは、彼が滞在しているとこを寝床に
外で出会えなくとも用事が終われば訪ねるつもりではいたから
「それと、これは…ルーに渡すもの」
今受け取った皮の包ごと差し出して
中身は…少し形の変わったナイフのようなもの、
曲線の赤茶色の刃と茶色の皮を巻きつけて柄にしてある
そのものと、指の巻物で彼ならば気づくだろう
竜の爪の先で作ったものだから
■ルーフェン > 「それなら、隣で一緒に読めば良かろう…」
彼女がどれほどこの辺りで使われている文字に精通しているかわからないけれど
専門的な用語でなければある程度は彼女に説明もできるだろうから、とそんな提案をしてみる
「…馬鹿者め」
さらり、と言ってのける彼女にむ、と眉間にシワを寄せる
しかし、理解できないのはどうして自分で自分を傷つけるようなことをしたのか?その点であった
一体、何がそうさせたのか…思い当たるフシは無いが、自分が何かやらかしてしまったのだろうか?
頭から煙が…というと言い過ぎだが、知恵熱が出そうな程に色々と考えているうちに彼女の用事が終わったらしく
彼女の声に我に返り
「うおわっ、う、うむ…壁の薄い安宿じゃな…」
ぴくん、と肩を震わせて彼女と一緒に店を出る
自分でした、という言葉にどんな店だったのか、既に覚えていないし、それどころではない
先に店を出て彼女を待ち歩きだそうとすれば彼女に呼び止められて
「うむ……?なんじゃ?
って、…火棘、お主…そういうことか…」
包みを開き合点がいった
赤茶色の刀身に巻きつけらた革。刀身は短いがこれと似たものを過去に何度か見たことがある
竜種と言うのは全身一切余すところなく価値がある、武器に防具に美術品、さらに術具に呪具…
市場に出回ることは希少であるが腐敗の進んだ死骸でも高値で取引される
倒すことが困難であるからその報酬もまた大きい、といった所だろう
「…これは大切に使わせてもらう
じゃが、これきりにせよ…痛かったであろう?」
大切そうに受け取った包みを革袋へしまえば、そっと巻物のされた指を手に取り、きゅ、と胸元に抱く
馬鹿者め、と柔らかな声音で呟けば、そっと、彼女の手を離して…
「…礼は言うが、宿で説教じゃからな!勝手に自分を傷つけおって!」
ふんす、と鼻を鳴らすと彼女の手を取ってずかずか、といつもの宿に向かって歩き始める
■火棘 > 「なるほど、それもいい…でも読むのはルーだから」
簡単な単語がわかるくらい文章としての繋がりはわからず
隣で一緒に読み聞かせてもらう気でいて
「レイカには鱗をやったからな
ルーには羽虫を捕まえる時にでも使えるであろう?」
竜の姿でならば爪の先だけど
ヒトになれば爪1枚分、すぐに生えると思ってたから
そのくらいは我慢できた
鱗をあげても、彼は使い道もないとおもえばヒトの姿で使える刃物になるべきもの
「切っ先は気を付けよ」
同じ竜だから知ってるはず爪の鋭さも、火竜である性質か
欠けた爪先でも、使うときは熱がこもり焼けるように切り取れるはずだから
例えば、羽根を切るようなことがあれば、焼け切るようになれるだろうと
指に巻いてるのは爪がないのは不格好なのもあり
痛みはもうなくて、優しい声のあとに怒られた…
なんでっ、と驚き少し不満に感じながら、宿での説教もおそらく…不満げに聞くのだろうけど
■ルーフェン > 「…まあ、それくらいなら構わぬが…」
果たして2人で読んで面白い書物なのかどうかは疑問に残るわけだが
彼女がそうしたい、というなら自分には断る理由はない…むしろ、積極的に文字を覚えるべき、とは思うが
「羽虫になど勿体なくて使えるものかよ…
だいたい、あの程度、武器など使わぬでも十分じゃ」
相性なのかなんなのか、自分が人の作り出した武器を使おうとすると武器の強度が竜種の力に耐えきれず、
粉砕してしまうことがほとんどである…しかし、このナイフであれば、同じ竜の一部で出来ているから
やすやすと壊れることはないだろう…なんせ、自分の身体もまた竜なのだから
……とはいっても大切に思う相手の身体の一部
おいそれ、と使う気にはなれない…しばらくは、お守り代わりにベルトに結ばれているはずである
「…だいたい、想像がつく
火龍の属性を持っているのであろう?
わしは火が使えぬから、そちらのほうでむしろ役に立ちそうな気がするわ」
火種にしたりとか…それでも尚、大切に大切に使うのだろうけれど
不満げな声に、なんでもじゃ!と返せばぐいぐいと彼女の細い腕を引いて人混みを掻き分けていく
宿の部屋に付けば不満げな彼女においそれと身体を傷つけるでないわ、とかそんな説教をしたはずで――――
ご案内:「平民地区 夜市」から火棘さんが去りました。
ご案内:「平民地区 夜市」からルーフェンさんが去りました。