2016/12/17 のログ
ご案内:「逢魔が湖」にフォークさんが現れました。
フォーク > 「はじめてですよ・・・・・・この俺をここまでコケにしたおバカさん達は・・・・・・」

こめかみをピクピクさせながら、フォーク・ルースは呟いた。

「ぜったいにゆるさんぞ雑魚ども!!!」

魚が釣れると評判の湖にやってきた男。
うきうきと釣り糸を垂らしてから早、3時間が経過した。
しかし男の釣り竿は一度も動かなかった。
では魚がいないわけではない。湖を見渡せば魚影が見える。
それが腹立たしかった。

「ここまで粘ってまるで釣れないなんて、こんなことあるかね?」

一匹くらい「そういった事情ならば私が」と湖から飛び出る義侠心に溢れた魚がいないものだろうか。
いや、いるまい。

「・・・・・・ま、休息と思えばいいか。でも腹減ったなあ」

昼飯は焼き魚としゃれ込むつもりだったので食料は一切持ってきていなかった。
空腹も男がいらつきを加速させていた。

フォーク > 「まったく釣れずに帰るのはみっともないな」

この男、湖に向かう道中に出会った顔見知りみんなに、釣りに行くと話しているのだ。
いっぱい釣れたらお裾分けするぞ、とまでビックマウスを叩いてしまったのだ。
言うことが無駄にでかいのが、この男の癖だった。

「いざとなれば伝家の宝刀を抜けばいいだけの話ではあるが・・・・・・」

男はチラリ、視線を横に移す。
そこには大きな岩が転がっていた。男の背丈ほどもある大岩だった。
この岩を使うのは、あくまで最終手段だ。今はまだその時ではない。

「それにしても綺麗な湖だな」

水面には青空が映っている。湖の周囲は木々の緑。
風光明媚とはこのことだ。しかし・・・・・・

「んなこたどうでもいいんだ。魚だ、魚!」

男は釣り竿を揺さぶり、水面を大きく波立たせるのである。
風流を感じるには心に余裕というものが必要だ。
今の男に余裕なぞあるわけがなかった。

フォーク > 「そぉーれい!」

男は大岩を湖に沈めた。淵に近い所に転がったからだろう。岩は半分までしか水に浸らなかった。
ペキリ、と男は拳を鳴らす。
そして全力で岩をぶっ叩いた!!

岩を殴った衝撃が、湖に広がっていく。

しばしの静寂が流れた。
風が吹いたと同時に、湖の魚が白い腹を見せて浮かんでいく。
水中に強い衝撃を流すことで一時的に魚を気絶させたのだ。

「さすがに全部は獲らねえよ」

男は湖に入ると『必要』な分だけ魚を魚籠に入れていく。
そしてへこんだ腹を撫でながら、帰った。

ご案内:「逢魔が湖」からフォークさんが去りました。