2016/10/03 のログ
レティシア > (深夜の山の中、柔らかな女の歌声が聞こえてくる。
獣道を辿って、歌声を追って行けば、闇の中に白い湯気を浮かび上がらせている秘湯へと辿り付く。
こんな山中には不釣り合いとも言えるドレス姿の女は、靴を脱ぎ、両脚を脹脛まで湯へと浸からせ。
女は月のない夜空を見上げながら、唄を口ずさんでいる。
その歌声は、まるで獲物でも誘うかのように、耳にした者を惹きつける魔力の唄――。
時折、女の歌声に呼応するかのように、遠くで獣の遠吠えも聞こえてくるが、魔族の女は勿論、気にする様子はない。
呑気に湯の中で両脚をユラユラと動かしつつ、女は唄い――)

ご案内:「九頭龍山脈 山中にある秘湯」にエクシオさんが現れました。
エクシオ > 虫の鳴き声や獣が草を踏み歩いて進む音程度しか聞こえて来ない夜の山中。こんな時間に暗闇の山中を進む者と言えば魔物、賊がまず筆頭に挙がるだろうか。だが、そんなものが怖くて旅なんて出来てたまるものか―

神聖な騎士でも、闇に与する魔族のどちらでもない一介の人間風情は、草木の禿げた道をそのまま進んでいたが、聞き慣れぬ歌声には足を止める。

「……おぉぉ?」

聞こえてくる心地よい歌声には、思わず興味を惹かれる。その声の発生源に対して、おのずと体が振り向いていく。この歌声が、聞き手を惹きつける力を秘めた歌であるなど、彼は知る由もない。

声が聞こえる方向への道は深い茂みで遮られていたが、今いる位置よりも少し進めば声の聞こえる方向へと伸びる獣道を発見。実に親切なことに、声の発生源までの道のりは至って分かりやすく、迷いなく声のもとへと土を踏みしめて男が歩み続ける。男が足を進めるたび、彼が身に着ける装備品が鳴らす金属音が小さく響き、此方の存在を声が聞こえる向こうへ知らせるかもしれない。

そして、歌声に誘われるがまま向かった先には、聞いた事もない秘湯が広がっており、そこに足を浸けて歌い続ける女性が一人。歌声の主を前にして、身なりに気を遣わぬ筋肉質の男性が背後より

「へぇ、アンタなのか。聞こえてきた歌は。…もったいねえな、舞台の上で歌えば稼げただろうによ」

後ろ姿ながら、目の前に映る女性はたいへん魅力的であったのか、男はどこか卑しく口角をあげて楽しそうな口調で話す。

レティシア > (辺りに聞こえるのは、己の歌声と夜風が森の木々を揺らしてゆく音。
そこに、草を踏みしめる足音と何やら小さな金属音が混ざったのが、魔族の耳に聞こえてくる。
女はクスリと笑いながら、唄声を止める事はない。
暫くして、とうとう、この場所へと相手が辿り着き、背後からかけられた声に、女は唄声を止めて)

――こんばんは。あら、ありがとう……ん、でも、余り、お金を稼ぐとか、興味がないのよ。

(クスリと笑いながら、男へと言葉を返す。
両脚を温泉へと浸けたまま、肩越しに男を見やる。
菫色の瞳を細めつつ、男へと向ける視線は値踏みをするようなそれで)

エクシオ > 男は少なくとも魔力に対してそれ程精通している訳ではない。
故に、この歌声が目の前の女が何者かを誘い寄せる事を企ててのものであるなど知る由もなかった。

むしろ、彼視点では無防備な美女が余裕こいて有象無象の蔓延る危険な山中で襲ってくれと言わんばかりに隙を晒していた風にも見えている模様。

相手がこちらの呼びかけに応じたことを確認すれば、そのまま進んで女との距離を少しずつ詰める。

「なぁ、綺麗なねえさんよ。アンタ、この辺どんなところか知ってるか。湯浴みするとこだったのか、もう終わったのか知らねぇけど、アンタみたいのがそんな風に無防備で居ればこの辺に巣食ってる賊に、エライ目に遭うぜ」

女が特に離れたり警戒する様子がなければ、そのまま遠慮なしに脚を浸からせる女のすぐ傍まで近づいて腰を下ろし、その容姿を間近で捉えんとする。

貴方からしてみれば、近づいてくる男はちょうど大人になりたての若さながら、どこか野性味を感じさせる風貌だ。
ところどころほつれたり破けたりした無地の服の上に、革の胸当てと肩当てとそこらの山賊よりはましといった出で立ちで、どちらかというと「ケダモノ」にほんの少し近い印象を受けるかもしれない。

レティシア > (相手が己との距離を詰めようとしても、女は気にするような素振りは見せない。
足湯を愉しんでいるらしい女は、面白げな表情さえも浮かんでる。
男から、かけられる窘めるような言葉に、女は口元を指先で押さえ、クスリと笑いながら)

…ご忠告、ありがとう。…でも、あたしが出会ったお前は、その辺の賊とやらではないのでしょう?

(男の恰好やら、表情をしげしげと見つめ、そこらの山賊とは違うだろうと女は見抜く。
己の直ぐ傍に腰を下した男に、ポンポンっと己の隣を示してみせて)

――お前も浸かったら、どう?山道を登ってきた足には、気持ちが良くってよ。

(やはり魔族の女には、警戒心も何もないのか、呑気に初対面の男に足湯を勧め。
腿までドレスをたくし上げた白い両脚を、湯の中でユラユラと動かしていて――)

エクシオ > 馴れ馴れしく近づいても女は逃げる様子も距離を開く様子もない。
この時点ではまだ、肝のすわった女だな 程度の認識が浮かばなかった。
見た目と先ほどの歌声が焼き付いて、彼女の素性についてまるで探る気など起こらぬままでいた。

「ああ、違うね。…でも、アンタちょっと変わってるぜ。なんか、全っ然賊なんて怖がってねぇもんな」

オレの言った事嘘なんかじゃないぜ と念押しし、まるで意に介していないのか余裕然とした女に首をかしげながら女の顔やら肢体をちら、ちらと眺める。
女の凹凸はっきりとしたボディラインには、女好きの彼が反応しないハズがなく、「おぉ…」なんて間抜けな声が漏れ出た。

「―――…!あ、ああ。ありがとな。んじゃ、ねえさんの言う通り…隣、邪魔するぜ」

女の身体へと向けられていた視線が、焦りを帯びて女の顔へと戻れば、女に示されるがまま隣へ腰かけ、靴をぐいぐいと力任せに脱いで己のすぐ脇へと雑に置けば、女の脚に目移りしながら唾を飲み、そっと秘湯へと筋肉質な両脚を浸ける。

「―――かぁ…!!!…キくなぁ、こりゃあ。脚だけじゃなく、全身浸かればもっと気持ちいいぜこれっ」

レティシア > (こんな深夜の山奥で己と出会えば、己自身が相手から警戒されるのが常なのだが、
目の前の男は、己に忠告めいた言葉さえも向けてくる。
己を変わっているという相手の方も変わった男だとも思いつつ)

…嗚呼、それ、よく言われるわ。…でも、そういうお前も変わっているわね…。
ん、こう見えても、強いのよ、あたし。

(己の表情を指さしながら、にっこりと笑みを向け。
己に誘われる儘に両脚を湯へと浸からせる相手の様子に、女はクスクスと笑い。
内心、これがもし罠だとしたら、どうするのだろうとも呆れもしつつ)

あら、だったら、全部、浸かれば良いじゃない?誰も見ていないのだから、遠慮なんてしなくて良くってよ?

エクシオ > 変わってる そんな風に女を評する者は案外少なくなかったようだ。
生身の女性一人が何を根拠にここまで余裕でいるのかは理解しかねたが、自ら「強い」と称する女の自信を見せつけられて、合点が行く反面、戦闘技術を有している事に驚いた風な顔を浮かべる。

「へ、へえー…」

男の反応はこれが精一杯だった。信じてないような様子だが、これ以上は言及しない事にする。自身と似たような身なりの人物…には見えない出で立ちだった事が、引っ掛かりを覚えるのだが。

「オレが浸かる分にはそうさせてもらえると嬉しいね。んじゃお言葉に甘えてっと…」

そういうと、無地の服の上に身に着けた胸当てや肩当て、納刀された剣を鞘ごと外して丸腰に。装備品を靴と一緒にまとめて一か所に固め、今度は服を脱ぎ去ろう…とした矢先だった。

「ねえさんは、脚だけでいいのかよ?…あ、流石に男の前で裸になるのは嫌か?オレは嬉し……じゃなくて!!!気にしねーけど??」

相手は特に嫌がる様子なく全身浸かればよいと認めてくれたものの、自分だけ浸かるのも妙な気分だ。

ちょっとどころではない、明らかに邪な考えが見え隠れする旨の発言を女に向けた後、無地の服も乱暴に脱ぎ去って細かな傷だらけの鍛え抜かれた身体を晒す。

ズボンは…流石に様子を見たようだ。

レティシア > (己の言葉を明かに信じていないらしい男へと、女はただ、ニコニコと笑みを浮べているだけ。
全身、浸かって構わぬという己の言葉に、相手が身に着けているプレートやら、剣を外してゆく様子を、己の膝の上で頬杖を付きながら、瞳を細めて見つめている。
そして、再び、かけられた声に女は、キョトンと相手を見上げて)

あら、あたしと一緒に入りたいと…素直に仰いな?
…………ん?

(闇の中に浮かび上がる男の上半身に瞳を細めつつ、揶揄うような声音で言葉を返す。
ふいに、どこからともなく、ヒラヒラと瑠璃色の蝶が現れ、女の周りをクルクルと舞い出す。まるで女に何かを囁いているかのようなその動きに、女は耳を澄ましているかのよう。
己の指先へと蝶と止まらせると、「ごくろうさま」と一声かければ、指先に止まった蝶は光の塵のように霧散して)

…せっかくのお誘いだけれど、急用が入ってしまったわ……混浴とやらは、また、逢えた時にでも…ね?

(小さな溜息を一つ、零すと、女は湯から両脚を引き。脱いだ靴を片手に、闇の中へと消えてゆく――)

ご案内:「九頭龍山脈 山中にある秘湯」からレティシアさんが去りました。
エクシオ > 女の話す「強い」がどれほどのものかは見当がつかなかった。彼女の慢心なのか、それとも賊なんぞ虫をあしらうかの如き強さなのか。

ひとまずはその事から頭を離し、全身を浸からせるべく上から順に衣服を脱ぎ始めるが、女の反応にはぎくっ と図星なのか気まずい様子で。

「うわー余裕で気付かれたし。…そうだなぁ、ねえさんみたいなすげぇベッピンさんと混浴とか最高だしな!!つー訳で、どうよ??」

もしかして、と期待に胸を躍らせたのもつかの間、女は何かに気を取られた様子。自身も首をかしげ、女の返事を待つが、返事は残念ながら彼の期待とは反するものであった。

「え、えええええええ!!ちょ、ま…!!」

いやいやいや と止めようとしたのもつかの間、女は何やら用があると告げ、靴を手にして闇の中へと消えてしまう。

男はしばし、呆気に取られ……

「とりま…疲れ取ってこうか」

悔やんでもしょうがない と男は歌声なき無音の秘湯で疲れを癒す事にするのだった。

ご案内:「九頭龍山脈 山中にある秘湯」からエクシオさんが去りました。