2016/07/20 のログ
ご案内:「シンビジューム商会 とある一室」にファルコさんが現れました。
ファルコ > 他の従業員に、仕事について聞くと、手渡された大箱を抱えてやってくる。
部屋に入り、換気のために窓を少し開けると、夜の闇に月が浮かんでいるのが見えた。

「しかし、この書物と骨董と貴金属が一緒くたになっているのは、もう少しどうにかならないものかね。
依頼人ごとにまとめる都合、仕方ないかもしれんが」

そうっと中身を取り出し、大きな机の上に広げてため息をつくと、
道具箱に入った、大小さまざまな紙包みを、一つ一つ確認しておく。

「さて、勤めをするとしよう。
古文書は後回しだな、解析に時間がかかりそうだ。
そうなると、高価そうだが判断のあいまいなもの、価値不明なもの、これらを見てみるとしようか」

ファルコ > まずは円筒状の包みを開けると、中から硬い材質の品が現れる。

「ほう、これは片手でつかめるほど小さいが、精巧な作りの彫像だな。
衣装や髪型、顔の形などからするとどこぞの女神か、何かしらの精霊か」

白い仮面の奥で、赤い眼が光る。
像に繋ぎ目は見当たらない。それはつまり、幾つかの部品をつなぎ合わせたのではなく、一つの材料から彫り出したものであるということ。ここは素直に感心すべきか。
続いて青い眼を灯し、そのまま何気なく目線を動かすと、端正な顔や豊満な胸、慎ましく閉じられた股などの付近に、何かの液体がかかり、後で拭きとったような跡が見られた。この目をもってすれば、かかった液体の正体を探ることも可能だが。

「……うむ、吾輩の目には何も映っていないな」

よく見れば彫像は、悩ましげな表情で身をくねらせているようにも見える。
ふと浮かんだ考えを追い払い、虚ろな表情で鑑定書に表面上の結果を記しはじめる。見積価格が当初より何割か安くなっているのは、きっと罪悪感からのものであろう。