2016/06/11 のログ
ご案内:「ルミナスの森 城の周辺」にアーヴァインさんが現れました。
■アーヴァイン > 集落が賑わうようになってから、ポツポツと話を聞くようになった森。
山脈の南側にあるというエルフとミレー族の村の話を聞けば、この慌ただしい中ではあるが、無理を押しても行く必要があった。
諜報班の手練を数名引き連れて、城へとやってきたのは何も忍びこむわけではなく、他の組合員と変わらぬ格好をした部下たちは、来客と纏わりつく子どもたちの相手をしている。
「領主を探してくる、暫くここら辺で待っててくれ」
仲間達に告げると、城の中へと歩を進める。
さて、何処に行けば会えるやらと思いながら広いホールを抜けて中を歩き回る。
案内係でもいればよいのだが…と見渡すかぎりには見つからず、思案顔で暫し足を止めた。
「…そこらを歩き回れば見つかるかもしれないか」
城にいる人間なら中を散策すれば見つかるだろうと考え、更に進む。
ホールから狭くなる廊下を歩けば、庭の様子が窓から覗ける。
部下達はミレー族もいれば人間もいる。
子どもたちから色々と質問攻めされている様子を、うっすらと微笑みながら眺めつつ、奥へと進んでいく。
ご案内:「ルミナスの森 城の周辺」にレイカさんが現れました。
■レイカ > 「………だから、その話は断るっていったはずよ…。
そもそも、貴方…人間の世界に行ったエルフなんてと、何年か前に貶したはずよね。
ならば…私とは縁がなかった。それだけよ……。」
私がミレー族の集落にいたころ、別の集落に住んでいた青年。
どうやら、私と交際を求めているらしいけれども…あいにく、私にはそんな気はなかった。
集落を出るとき、実は言い寄ったのは私のほうだった。
『一緒についてきて欲しい、私を支えて欲しい』と告白した……けれど、彼の答えはノーだった。
そればかりか、人間の町に行くエルフに興味なんかないとこっぴどく断られてしまった。
その彼が言い寄ってくる、そんな都合のいい話に靡くほど、私は軽い女じゃない。
そもそも、私は今日、ここにはあるものを取りにきた。
――――そう、あるものを。
「はぁ……まったく。」
男は人間でもエルフでも変わらない。
そんな、あきれた顔のままの私が、ちょうどアーヴァインの目の前を通ることになるのはきっちり10秒後のことだ。
■アーヴァイン > 歩けば歩くほどに広く感じる。
これは大人しくホールで待っていたほうが懸命だったかもしれないと、苦笑いが零れた。
しかし、戻ろうと決めたところで目の前の廊下を一人のエルフが横切る。
領主か、もしくは関係者だろうと思えば急ぎ足で彼女の方へと近づいていく。
「すまない、ここの領主を探しているんだが…知らないか?」
うっすらと笑みを浮かべながら呼びかけたのはいいものの、近づいて気づいたことだがどうにも不機嫌そうである。
これはタイミングが悪いと心の中で呟くも、後の祭りだろう。
■レイカ > 「え………?」
ぶつぶつと文句を言いながら歩いていくと、声をかけられた。
確かに機嫌は悪かった。気が無いのに言い寄られるし、主は見つからないし。
ここに預けた、私が騎士団の現役時代に遣っていた装束。
精霊の声を聴くためにいつも愛用してつけていた白羽の耳飾。
それを取りに来たのだけれども、領主が見つからずにいろいろと歩き回っている。
そして、彼に見つかってかれこれしばらく話をしていて―――。
「……アーヴァインさん?」
その、見知った彼をこの場で見つけて、私は思わず立ち止まって目を見開いていた。
私が通っている、チェーンブレイカーの組合長の姿を見て、私の思考はしばらく固まった。
■アーヴァイン > こうして間近で視線が重なると、こちらも彼女だと気づいて少々驚きが浮かぶ。
王都か集落にいるはずの彼女がここにいるとは思いもしなかったからで。
動きが固まった彼女にうっすらと苦笑いを浮かべるつつ、言葉を続ける。
「レイカだったのか…こんなところで会うとは奇遇だ」
思った通りの言葉を紡ぎながら、改めて軽くあたりを見渡すが、人影は彼女しかない。
眉を顰めて笑みつつ、彼女に問いかけることにした。
「ここの領主を探していたんだが…レイカは知らないか? 組合との話で相談をしたいんだが」
ここでの勝手なら彼女のほうがよく分かるだろうと思いつつ、改めて問いかけるも、別の疑問が一つ。
「それと…レイカは何故ここに?」
里帰りか何かだろうかと思いながら、少々不思議そうに問いかけた。
■レイカ > 人間であるはずのアーヴァインがここにいると言うのも驚いたが、彼の立場を考えれば納得がいく。
ミレー族の保護という観点、そしていろいろな事業を手がけている彼ならば、確かにここの領主にも顔が利くだろう。
ようやく思考が動き始めて、私も少し頬をかきながら苦笑していた。
数少ない、私がちゃんと表情を表に出せる相手だ。
「ええ、本当に奇遇ですね…。領主?」
彼の質問に、私は鸚鵡返しに尋ね返した。
「…アーヴァインさんも領主を探していたのですか…。実は、私もなんです。
多分私室にいるとは思うんですが……。」
ここの領主には、昔何かと世話になった。
何しろ、精霊の声を聴くためのアイテムを作ってくれたり、私に弓のノウハウを教えてくれたのは彼だから。
「………ええ、昔ここに預けたものを取りに…。
逸れに……ちょうどよかった。」
―――実は、アーヴァインにひとつ、言いたいことがあったのだ。
■アーヴァイン > こちらは去年ここらに集落と拠点を構えたばかりだが、ここの森はそれよりも古い歴史があるだろう。
ポッと出の新参者が挨拶をしないのはよくない…といった、任侠じみたものではなく、今後の協力を得るための相談だ。
ほぐれていく彼女の表情にこちらも、薄っすらとだが優しく微笑んでいる。
「あぁ、領主だ。……そうか霊かも領主に用があったのか」
私室にいるのだろうという答えに、それならあまり邪魔するのは良くないかと時間を検めることにした。
ちらりと庭の様子を見やると、そっちへ行こうかと促そうとしたところで、彼女の言葉にそれが引っ込んでいく。
「じゃあ…… ん? 何かあったのか?」
丁度良かったと、なにか意味深な言葉に軽く首を傾けつつ、その先を問いかけた。
■レイカ > 森の歴史は古いだろうけど……あいにく、私は幼いころに両親と死に別れて、ミレー族に引き取られている。
森とかかわったことなどほとんどないし、その歴史の重さも実はよくわからない。
ただ―――ここの領主とは少しばかり仲がいいというだけだ。
「まあ、そんなに時間は取りませんよ。…騎士団時代に遣っていたものを返してもらうだけなので。」
私室にいて何をしているのかまでは分からないだろうけど、どうせまた長老たちから小言を受けているだけだろう。
それを助けるという意味でも、少し速めに彼に合いたいところだが―――先にこっちを済ませよう。
「……ええ、先日の捜索隊と狙撃班の女の子が殺された件について…私なりに、少し決心したことが。」
私は、少し息を整え――――。
「…ゲストとしてではなく、私もチェーンブレイカーに入れてくれませんか?
やはり……ここまでかかわっておいて無関係は…通したくないんです。」
今まで、私は逃げているだけだった。
騎士団から、そしてまた見殺しにするのではないかという恐怖心から…。
だけど、やっぱり―――私は誰かを護りたい。そう思った…。
だけど、それにはやっぱり組織という力は、とても心強い。
■アーヴァイン > 「騎士団時代の物を…?」
おそらく、自分と同じく現役時代に使っていた品物を遠ざけていたのだろう。
強すぎる力や利便性の強いものは、嫌でも争いを引き寄せることがある。
しかし、それを手に戻す理由も自分は知っている。
例えその混乱を引き寄せるとしても、貫く為の力を欲したからだ。
だから、彼女の用事というのもとても重たくなると予想しながら、神妙な面立ちで見つめている。
「あれは残念だった……。 本当か?ありがとう、とても嬉しいよ」
思ってもいなかった嬉しい申し出に、満面の笑みで迎え入れる言葉を紡ぐ。
出会った頃は、善を尽くすことに罪悪感を覚えていた様子があったが、彼女の言葉からは確固たる決意を感じさせられる。
それと少しだけだが、ここに来た理由を満たすことにもなった。
「改めて歓迎するよ、レイカ。これからもよろしく頼む」
微笑みながら握手を求める掌を彼女へと差し出す。
言葉の通り、ゲストではなく、仲間として一緒に歩むことを歓迎する。
その気持ちの現われとしてだ。
■レイカ > 私は、現役時代は弓矢だけでなく短刀を使うこともあった。
潜入、内部工作。それらは確かに私の任務だった。
そのために、風の力を使うこともあり、その声を聴くためのものを、私はあえて遠ざけていた。
もう、戦いたくない―――。こんなことはしたくない。
だからも、風の声を聴くのは…。精霊の声と、力を借りるのは辞めにしよう。
そう思い、私は母からの贈り物だった『精霊の耳飾』をここに預けた。
もう二度と、この力を使わないようにと決心して。
だけど、その考えは一変した。
ドラゴンフィートに訪れた魔族の手のもの、そしてミレー族部隊の壊死。
この二つが、私にもう一度戦う勇気と覚悟を与えてくれた―――。
「……ええ、それと筆跡で、一人―――リーゼロッテさん、でしたか。
あの人の生存だけは確認できたそうですね…。」
手紙の出所はわからないものの、彼女の生存だけは確認できたらしい。
そのことの報告もあわせてしつつ、私は差し出された右手を―――軽く横から叩く。
勿論、握手を断るという意味ではない。此れが、私なりの握手だ。
「……班分けは自由にどうぞ、最悪、ストークで慰安婦でも私は構いませんよ?」
そんな、冗談なのかわからないような言葉を返しておいた。
いや、勿論冗談だけれども…。ただ、出来るならば前線で戦える舞台に配属はしてもらいたい。
■アーヴァイン > 「あぁ…リーゼの件か、リトルストーム達は知らなかったみたいだが、俺が契約しているサンダーバードは…リーゼに何が取り付いたかは察したみたいだ」
筆跡からリーゼロッテと分かったものの、ザムが彼女を見つけられず、そして証明書を届けた時に僅かに混じった暗い気配でこちらの隼は予測をつけた。
合っているかまだわからないが、予想通りなら危機は脱したと見ていいが…色々と思い浮かぶ情報に表情が曇っていく。
握手の手を代わりにハイタッチの様に掌を弾かれば、笑みのままその手を引っ込めていった。
「駄目だ。ストークで娼婦なんかされたら、レイカに集中して他の娼婦達に文句を言われる」
冗談のような言葉に緩く頭を振ってから、冗談っぽい否定をするも、エルフというだけでも価値があるのだから、あながち間違いでもない。
王国軍第十七部隊といえば、小規模部隊による奇襲を得意とした部隊だ。
そこの元隊長であれば、給仕と補給以外なら何処に宛てがっても十分な仕事をしてくれそうである。
しかし…これは自分の気持ちもあるが、彼女に所属して欲しい班が一つあった。
「偵察、防衛、遊撃、戦闘…どの班でもいいが、レイカが痕跡を残さない飛び道具を使えるなら…諜報班に来てほしい。隠密行動を主体とした班だ」
彼女なら諜報班でも十分通じる隠密スキルを持っていると見込んでの要望だった。
■レイカ > 「………ええ、わずかにですが私も風の声を聴くことができました。『死告鳥』……ですね。」
長老様に聞いたことがある。神の声を聴く鳥と対を成す黒い死の鳥の話。
…もしもそれと契約したとしたら、事態は思っている以上に深刻なのかもしれない。
彼女を早く見つけてあげたいところだが――いかんせん居場所がまったくつかめない。
此れはもう少し情報を集める必要がありそうだ。
「……あら、やっぱりもう少しグラマラスでないと勤まりませんか…。」
冗談っぽい否定だけど、私も言葉遊びのように告げる。
…久しぶりに、素の自分を出している気がする。少し、楽しく思えてきた。
あの日、私についてきてくれていた部下は皆、別の部隊に異動させられてしまっただろう。
仲がよかった騎士団員も、今はどうしているか皆目見当が付かない。
何しろ、もはや近づいてすらいないのだから。
「……隠密、ですか…。」
なるほど、とても理に適っている配属だ。
隠密部隊、それは確かに私にとっては昔取った杵柄といっても過言ではないだろう。
あいにく、痕跡の残さない飛び道具は扱えないし、魔力をまったく持ち合わせていないため、魔法銃も使えない。
だけど、私にはミレー族より培った身体能力がある。十分こなせるはずだ。
「……わかりました、お任せください…。
…ところで、正式に組織に入ることになると、やはり組合長と?」
■アーヴァイン > 「あぁ、アイツが言うには同族の神の使いらしいが……死を齎す力を危ぶまれて、現世と切り離された森に幽閉されたらしいんだが…何故かリーゼと契約して現世に現れたらしい。そのせいでザムもリーゼが何処にいるかわからないみたいだ」
二つの人格があり、それぞれの人格と契を結んだとまでは察しつかなかったが、何かあるのだろうとは思っていた。
しかし…と一言呟けば、少しだけ安堵した表情を見せる。
「腐っても神の使いだから、リーゼを殺したり、酷い目にあわせることはないと言っていた。今は見つかるのを待つしかない」
偵察班や関係者の情報網に何か引っかかるのを待つしかないが、最悪な事態は避けられたと、今は思うしかない。
「…いや、レイカの美しい姿とほっそりとした体躯は十分過ぎるほど魅力があるとおもうが?」
冗談じみた言葉だったが、魅力という点を言葉にされるなら素直に思った通りのことを喋ってしまう。
もっと妖艶な体付きがいいという人間もいるだろうが、細く起伏のなだらかな姿は造形美の趣を感じる。
そこまでは言わないものの、真面目にそう思うが故に答えてしまう。
「王国軍直々の仕事だけを引き受ける、勿論悪党相手だけだ。あとは…俺の外出時に護衛としてついてきて貰ったりか」
そこにいるのがそうだと窓の向こうを指差せば、ミレー族の少女が二人と若い人間の男が三人が見えるだろう。
子供達の相手をして楽しげに騒ぐ声も、僅かだがここまで聞こえる。
「こちらこそよろしく頼む。そうだな、俺の部下ということになる」
諜報は彼が仕切る隠れた班、仕事がある時は彼の命があったときぐらいだろう。
あとは偵察などの仕事の手伝いもお願いされるだろうが、そこは余剰戦力として臨機応変な立ち回りといったところか。
■レイカ > 「……ザムさんとの契約は打ち切られたわけではないですね…。ならば少なくとも生きてはいる…と。
ならば、いるとしたらおそらく切り離された森でしょうね…。なにがあったのかは解りませんが…。」
少なくとも、殺されたりすることはないという話ならば、私も安堵した。
まあ、神のみ使いとされる鳥だ、契約を重んじているならばそう簡単に殺すことはしないとは思う。
「…そうですね、私も独自の情報網がありますので…そっちも当たって……ってぇっ!?」
廃墟地区、私はそうよんでいるマグメールの誰も知らない場所―――いや、アーヴァインはしっているか。
以前、奴隷市から逃げ出してきたミレー族を引き取ってもらった場所、あの場所にいるミレー族は耳が早い。
もし、何かあったらすぐに知らせる―――と、言おうと思ったけど、アーヴァインの率直な意見に、私は思わず顔を赤らめた。
「………っ…。し、失敬……。」
わざとらしく、咳払いを一つ…。
「…私もそのほうが動きやすいですね……。解りました。」
彼の護衛もそうだけど、偵察やうん蜜の依頼なんかはむしろ願ってもいないことだった。
何かことが起きる前に未然にそれを防げるのは、非常に私としてもやりがいがある。
ただ―――行動を阻害されたくはないので、ひとつだけ。
「…依頼がないときは、自由に行動しても構いませんね?」
そこだけは確認をしておこう。
■アーヴァイン > ここで何が起きるのかと憂いても仕方ない、苦笑いを浮かべてはいたが、最悪なケースは避けられただけ良かった。
そして、彼女に率直な意見を紡げばあっという間に頬を赤らめるように、可愛らしさを覚えるのだが…何故恥じらったのかと少々分かっていないらしい。
どうした?と言いたげな、さもありなんな表情で彼女を見つめていた。
「いや……誰が見てもそう思うだろうから、もっと自信を持って笑うといい。さっきのような笑顔は心が温まる」
先程の冗談ぽく呟いた言葉と共に楽しそうな表情が見えた。
美しいエルフからあの表情が見えるなら、誰でも彼女を欲して踏み出すに違いないと思う。
意図せずとも追い打つような言葉を紡いで、静かに微笑んでいた。
「それなら良かった、今後共よろしく頼む。 勿論だ、自由にしてくれて構わないが…あまり無理はしないでくれ?」
多分、他のミレー族へ手を差し伸べたり、気になることに突っ込んで行ったりするのだろうと思えば、無理はしないようにとやんわりと釘刺しはしておいた。
そして…ここにきた本来の問題へと戻っていくわけだが、時間を置くべきかと思えば、庭のほうを改めて軽く指差す。
「領主の用事が済むまで、庭で待とうかと思うが…レイカはどうする?」
■レイカ > この男……どうやら時々天然らしい。
此れは少し気をつけないと、いきなり恥ずかしいことを言われそうだ。
スレンダーな体つきは別に気にしてはいないのだが…面と向かって綺麗だとかかわいいだとか言われると、やっぱり恥ずかしい。
居鳥とした表情をしている組合長に、少しだけ肩を落としつつ「なんでもない…」と告げておこう。
「……わ、私だって笑ったりはしますよ……。」
とはいえ、いつも仏頂面をしているのは間違いない。
そうでもしないと、小柄な私は結構見下されることがあるからだ。
「……私が勤めているお店のマスターの言葉ですが…『無理はしないが、無茶はします』よ。」
等と、笑って答えて見せた。
マスターが言うには、無理と無茶は別物であるらしい。
その違いがなんなのかは、説明されてもよくはわからなかったが…いつも私がしているのは、無理なんだそうだ。
「…ええ、気をつけます。……とりあえず、しばらくはリーゼロッテさんの捜索に当たりますが…何かあったらすぐ駆けつけますゆえ。」
おそらく、誰かが既に捜索を始めているかもしれないが。
たとえば、先日帰ってきたらしい薬氏の女の子、とか。
「…嗚呼、アレはどうせそろそろ助けてくれと思い始めてるころですよ。…いきますか、組合長?」
私室の場所は知っている。私は、このまま組合長を案内することにしよう。
■アーヴァイン > 無意識に口説くように甘めの言葉を吐くところもあり、諜報の仕事を教え込まれる際に異性相手のレクチャーは殆どされなかった。
教官曰く、お前はそのまましてればどうにかなる。
なんでもないと肩を落とす様子に、またその時のクセが出たかと気付けば、少々申し訳ない気持ちになって苦笑いに歪む。
「そうだな…じゃあもっと、レイカの笑みが直ぐに思い起こせるぐらい目にしたいものだ」
しみじみとゆっくりと紡ぐ言葉は、それぐらい彼女の良い面を見たいのだといいたいのだが、聞きようによっては全く別の言葉だろう。
「ちゃんと限度を見極めて立ちまわるなら…大丈夫だ」
自分ができる限界を完全に通りすぎてやってしまうか、ホンの少し踏み越えるか。
音やニュアンス程度の違いかもしれないが、言わんとしたことは伝わったらしく困った様に笑っている。
情報があればとありがたい言葉に頷くと、彼女に誘われるがまま歩き出す。
「そうなのか? 助けてくれというのは一体…?」
小言を食らっているとは思いもせず、案内されるがまま城の奥へと向かうのだった。
ご案内:「ルミナスの森 城の周辺」からアーヴァインさんが去りました。
ご案内:「ルミナスの森 城の周辺」からレイカさんが去りました。