2015/11/22 のログ
ご案内:「王都マグメール 夕暮れの市場」にエレミヤさんが現れました。
エレミヤ > 夕暮れ色に染まる市場は活気に溢れていた。
様々な種が入り乱れ、威勢の良い声を張り上げ、ひとの手から手へと物が動く。そんな情景を小路へと入る角の手前に置かれた樽に座り込み、飽きもせずに眺め続ける少女が一人。
傍らの果物やの主に声を掛けられ、微動だにしなかった体躯がのそりと動き。

「……飽きないわ。見ていて面白い。」

館に売り飛ばされてからの3年間も、こんな風に店の前に座り込んで通りを眺めている事は多々あったけれど、そこで眺めていた景色とは全く違う。然し、少女の現在の境遇を勘違いしてしまったらしい店主は苦い顔を浮かべながら果実を一つ、少女へと放った。「これでも食べて元気だしな。」と強面を優しげな表情へと変えながら告げられ、思わず頭を捻りながらも果物は有難く頂戴して。

ご案内:「王都マグメール 夕暮れの市場」からエレミヤさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 夕暮れの市場」にプラセルさんが現れました。
プラセル > 手渡されたそれは自身が山で暮らしていた時にもよく食べた物だった。
ほんの少し酸味の利いた、蜜を多分に含む果実。
外の薄皮の部分を服の袖で軽く擦って磨けばつやつやと光を反射して輝く。

「いただきます。」

小さく、呟くようにして紡いで、果実へと齧りつく。
掌に収まるサイズとは言え、流石に一口で食べきるのは難しい。しゃり、しゃり、と音を発てて一口、二口と咀嚼する。

プラセル > 広がる甘酸っぱさも、風味も、あの頃食べていたそれと全く変わらない。懐かしい味だ。
美味しい。けれど、何かが違う。
何が違うんだろう。取り留めのない思考の渦に入りかけた矢先、再び店主に声をかけられる。何やらまずかったか何か入っていたかと心配しているようだ。小さく頭を左右に揺らして否定を示し。

「とてもおいしい。―――昔、よく食べたから、」

懐かしくって、と淡く告げれば店主のほっとしたような顔が見えた。
つくづく、気の優しいひとだ。首に嵌る物が見えない訳ではないだろうに。

ご案内:「王都マグメール 夕暮れの市場」にアーヴァインさんが現れました。
アーヴァイン > (仕事を終え、市場を抜けていく中、金の髪を揺らす小さな影に気づく。仕事の買い物とは違うようなと、その様子を見やりつつも、少女へと近づいていく。柔らかな表情と言葉、この街では珍しい人間だと、二人の様子から彼も同じことを思う)

こんばんわ、かな。

(こんにちわでは遅いだろうと思えば、うっすらと笑みを浮かべて曖昧気味な挨拶の言葉を掛ける。)

プラセル > けれど、それをあえて口にする程不躾ではない。言葉にはしないまま、黙々と果物を食べていれば不意にかけられた声。
そこで漸く相手が近付いてきていた事に気付いた。ゆっくり顔を上げ。

「――こんばんは。アーヴァイン、何してるの。」

寧ろこれは相手の台詞だろう。真面目な顔で問いかけた。
果物屋の店主は訝し気に相手の事を見ている。

アーヴァイン > (西洋人形を思わせるような可愛らしい少女が、静かに果物を齧る姿は、どことなく小動物の食事姿みたいなものを思わされて、愛らしさに頬が緩む。)

ちょっと仕事帰りに通りかかってね…宿もそうだが、今はもう一つの方が忙しいんだ。

(宿とは別に運営を行っている人材派遣の仕事、傭兵業のようなものだが、昨晩もそれで店にはいなかった。店主の視線に気づくと、苦笑いで振り返り)

…失礼した。この娘の買い主だ、うちの娘に優しくしてくれてありがとう。

(首輪のデザインは可愛らしいものだが、それでも首輪に変わりない。奴隷である少女を気遣う店主へ、思いのままのお礼を告げると、軽く頭を下げた)

プラセル > 「もう一つの方。」

相手の言葉を繰り返し呟いて、それから、「ああ、」と納得した声が出る。
宿では無い方だ。理解したとばかりにひとつ頷いた。
店主はと言うと、己の首輪の主だと分かれば青年の言葉も聞いているのかいないのか、はたまた勘違いしてしまったのか強面な顔を一層顰めて「あんちゃんよお、こんなちっけえ娘っこに云々」と婉曲な文句を告げ始めてしまった。
はっとした顔になり――

「おじさん、私これでも16歳よ。」

相変わらずの真顔である。