2015/10/14 のログ
ご案内:「とある旅籠の二階部屋」にキスカさんが現れました。
ご案内:「とある旅籠の二階部屋」にルーキさんが現れました。
キスカ > .
~これまでのあらすじ~

自称王族のおねえさんに正体を見られたので口封じしよう。せざるを得ない。
                     ⇒ To be continued.


―――――。

折からの小雨に降られ、追われるようにしてたどり着いた宿。
その二階部屋の、窓辺の丸椅子の上。旅装を解きつつ膝を抱えて、慌てて行き交う人々を見下ろしていた。

その手のひらには真っ赤に熟れたリンゴがひとつ。
ローブコートの袂で磨いて、ピカピカに光る果実に歯を立てた。
さくり、と噛むたび瑞々しい甘さが広がり、かすかなえぐみを覆い隠して。

「ん。ルーキもお腹空いてる?」
「もらい物だけど、食べかけだけど。よければどうぞ」

噛みあとがついていない方を向けて、アンダースローで円い弧を描く。

ルーキ > 小雨に緩く服を濡らし、窓際の壁に寄りかかって相手と共に外を見下ろしている。
既に陽は落ち、街道にもちらほらと明かりが灯り始めた頃合か。

やがてその場を離れればベッドに腰を下ろし、両脚を投げ出すようにして一息吐く。
そこに弧を描いて飛んで来た林檎をキャッチして、思わず瞬いた。

「あぁ……ありがとう。いただくよ」

真っ赤に熟れたリンゴ。既に彼女の歯で抉り取られた箇所とは反対の、まだ身を残している部分に齧り付く。
じわりと広がる果汁と甘味に瞳を細めて、鼻先を擽る柔らかな香りをすっと吸い込んだ。

キスカ > 「ここは人目を避けられるし、隣に人はいないからどんなに暴れても大丈夫」
「ルーキは女の子が好きなんだ? でもって、ミレーの匂いとかも平気な人かな」
「変わってるよね。偉い人ってみんなそう」

からかい半分の笑み。もう半分は純粋な興味だ。
雨粒のついたローブが肩から落ちて、仄かに白く透きとおるような肌が露わになる。
その頭には丸みがかった獣の耳が表れ、ふつうの猫獣人よりずっと長い尻尾がゆったりと垂れた。

「だれも見てないならいいよね。ルーキはこれから口を封じられるわけだし!」

借り物の衣装がしわにならない様にと壁に掛けつつ、ぞんざいに放り出していた自分の仕事道具を漁る。
ほどなく小さなフラスコを抜き出し、金色の薬液を振ってみせた。

「これは見たものを目に焼き付ける薬」
「しばらくの間はっきり覚えてられるから、秘密を盗む時なんかに便利なんだけど―――」

コルクの栓を抜き、ぐっと呷って、頬を膨らませたままベッドに片膝を乗せる。
ふんふん言って身振り手振りをはじめる。どうやら口移しをしたいらしい。

ルーキ > 「色々な宿があるものだな。知らなかったよ」
「……匂いか。まぁ、わたしは気にしないさ。わたしの一族は皆そうだ」

変わってるといわれても気分を害した風は無い。むしろ口元に笑みまで浮かべて肯定する始末。
ローブが落ち、先程振りにお目にかかる白い肌に笑って、食べかけの林檎をベッドの脇、机に置く。

「おやおや。これでもわたしは口が堅い方と自負しているんだがな?」

とは冗談めかすようで、足を組んであくまで様相は余裕を呈す。
フラスコの中、金色の液体を呷る様に驚いたよう、眼を見開いたりもしたが。

「……それはまた。不思議な薬を持っているものだな。…仕事柄か」

身振り手振りに応じ、ゆっくりと顔を寄せる。
口移し出来るよう薄く隙間を開け、唇を重ねた。

キスカ > 「ふんふん、んん……」

薄く開いた唇から薬液を流し込み、舌をあてがってさらに深く粘膜を触れ合わせる。
即効性のポーションの例に漏れず、奇妙な薬酒のような味がして、視界に白い火花が瞬く。
ほんの一瞬だけ光を強く感じて、何度か瞬きするうち、再び薄っすらとした闇の帳が戻ってきた。

ルーキの首に腕を回し、そのまま体重をかけて押し倒そうとする。
喉が焼けるように熱を持っていて、薬液の味が馴染んで消えるまで唾液を混ぜあわせた。

「―――……ぷはぁ。これで条件は同じになった…はず」
「さてさて。ルーキはどこが弱いのかなー」

どちらかといえばタイトな装いは付け入る隙がないようで、まずは小手調べにくすぐりはじめる。
じゃれ付いた勢いのまま、胸から脇の下まで、肩から首筋まで、お腹から下腹部まで弱点を探し回って。

ルーキ > 「んん、っ、……ふ、ん……」

流し込まれる薬液と、続いて差し込まれる舌に広げられる薬味に思わず声が漏れる。
散った火花、そう間も無く戻ってくる夜の闇。
押し倒されればベッドや毛布の感触が背に伝わって、自らも腕をキスカの首に回した。

混じり合わせる唾液、それすら気にならぬ程に喉を刺激する薬液の感覚に一旦瞳を伏せて。

「――…っ、はぁ。……っと、ちょっ……はは、まて、わたしも脱ぐ、からっ」

擽りには、実はあまり強くはない。堪らず笑い声上げながら悶え回り――特に首筋に反応良く。
上半身を覆う衣服を脱ぎ捨てれば相手程でなくとも白い肌が露わになった。

キスカ > 二人の重みの分だけ沈んでいく身体の、露わになった鎖骨から上に舌を這わせる。

「みつけた。ルーキの好きな場所」
「私の舌、ざらざらしてるでしょ? 猫っぽい子はみんな同じなんだよ」
「この舌でさ。小さな肉のかけらまで剥いで、骨まで舐めて、それからやっとごちそうさま」
「まれびとの舌はそうじゃない。なんかぬるぬるしてるよねぇ……」

舌の先だけで首筋をなぞって、むき出しの喉に甘く牙を立てる。
このまま食いちぎってしまおうか、とそそのかすような考えがよぎる。

―――体重をかけたまま動きを止めて、緑の髪の女の肌が破れる寸前まで牙を食い込ませて。
ぷつり、と小さな血の玉が浮かんで我に返り、その傷を手当するようにちろちろと舐める。

「……ん。美味しそう…だったから、つい。ごめんね」

す、と距離を取れば重なりあって形を変えていた胸の、解放されて弾むさまに目を瞬かせる。

「へえ、脱ぐとスゴいんだ??」

誘われるままに吸い付いていく。今度は牙を立てずに、頂のそばに吸い跡を残す。