2023/07/16 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にシルニアさんが現れました。
シルニア > 雨上がりの平民地区のとある栄えた道。未だ暑い街中を涼しい風が吹き抜ける。
飲食店は店仕舞し、酒場もそろそろ喧騒が消えてくる頃。

「夕飯、すっかり食べそこねちゃいました…。」

冒険者ギルドでの依頼を終えて、帰路につく頃に降られたにわか雨を凌ぐため、ギルド内で時間を潰していたらこんな時間。
野菜がよく実るが食べ物が腐りやすいこの時期に、自宅に蓄えはない。
きゅう、とお腹が鳴る。誰に聞かれた訳でもないけれど、恥ずかしくてお腹を手でおさえた。

酒場で軽食を摂ろう。比較的トラブルが起きやすい場ではあるので、少し敬遠していたけれど。料理や飲み物の質は悪くない店も多い。
気分転換にお酒を飲んでみるのも良いかも知れないし。

「うーん、っと…。」

次に立ちはだかる問題は、どこの酒場にするか、だ。
食事する店を選ぶのは、どうしても苦手だ。食事体験は栄養摂取と見做してこだわない人も一定数いるけれど、私はせっかくの食事を楽しみたい。
故に、好みの店を選びたいところだけれど…。

ふらふら、きょろきょろ、あちらへこちらへ足を進める。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」にヴィクトールさんが現れました。
ヴィクトール > 食事処や酒場が並ぶ通りへ、半目閉ざした面をしながらやってくると懐中時計を取り出し、時間を確かめる。
そろそろ酒場も店じまいが近い頃合いか、業務報告をしなければらならない立場上、仕事後の飲みに参加しそこねる事もしばしば。
今日もそうなりかねんかと溜息を零したところで、何だか可愛らしい音が聞こえたような気がして顔を上げる。
そうして丁度、向かい側から歩いてくる姿を見つければ、久しい顔に先程の不機嫌はどこへやら。
満足げな笑みを浮かべながら、彷徨う小さな影へと近づいていく。

「今日はなんのお使いだ? シルニア」

こうして顔を合わせるのは数年ぶりだろうか。
覚えていてくれればいいがと思いつつ、にっと悪どい面とは裏腹な明朗な笑みを浮かべつつ軽く手を振って、挨拶代わりの問いを投げかける。
酒を嗜むようにも見えなければ、夜遊びするタイプにも見えず、小さな彼女がこんな時間をうろついているのも、少々気になるところだった。

シルニア > 向かいから歩いてくるとある人影に、既視感を感じ、首を傾げた。
最初は既視感程度しか感じなかったけれど、それが既知の顔だとぼんやりと理解し始める。

「ひゃい!ヴィ、ヴィ、ヴィ、ヴィクトールさんっ!お久しぶりなのです。」

さらに近付く彼が、ぼんやりと頭に浮かんでいた人物本人で間違いないことを、声掛けによって確信した私は、同時に当時の体験を思い出して、裏返った声で吃り彼の名前を呼んだ。

「えっ、えっと。ギルドで雨宿りしていたらご飯を食べそこねちゃったので、軽く食べられる場所を吟味していたのですが…。
ヴィクトールさんこそ、どうしたのです?」

"良い店を知ってるですか?"という問いは喉元まで出て、引っ込んだ。
──だって、それじゃ私が誘ってるみたいじゃないですか!

どうしても前回のことが脳内にちらついてしまう私は、慌てて会話をそらそうとした。

ヴィクトール > 「お、おう……なんでそんなキョドってんだ?」

声を掛けた瞬間、素っ頓狂な声で返事を返され、思わず目を瞠りながらこちらも言葉に詰まる。
こちらとしては、あの時はとても良い思いをさせてもらったとしみじみ思うところではあったが……そこは慣れの差なのかもしれない。
一瞬、まばらにいた周囲の人間から視線を受けるも、何でもねぇよと言わんばかりに睨みを聞かせて散らしていくと、改めて彼女へ向き直る。

「あぁ、そいや降ってたな……だからって、シルニアみたいなちっこくて可愛いのがウロウロしてると、乱暴されちまうぞ?」

クツクツと笑いながら、冗談めかす内容もまた、先日のことを彷彿とさせるだろうか。
こちらの理由を問われれば、あぁと少しバツが悪そうに苦笑いを浮かべていたのだが、その理由はいうよりも先に”やってきた”
近くの酒場からぞろぞろと男達が出てくると、一様にこちらを見ている。
隊長? なんて言葉を言いかける若造もいたが、近くにいた彼と同い年ぐらいの男に口を塞がれながら引き寄せられている。
そして、彼らの一人がこういって去っていくのだ。
俺等ぁまだ飲み足りねぇので次行くんで、お構いなく、と。
その様子に軽く肩を竦めながら、苦笑いで見送ると彼女へと視線を落とした。

「まぁそういうこった。あれは俺の部下つぅか、仲間でな。俺は事後処理で飲み遅れたんだが……ちゃんとシルニアをエスコートして楽しんでこいって言われたわけだ」

そう告げると、軽くかがむようにして目線を合わせていった。
そして、先日と変わらぬ無骨な大きな掌を彼女へと近づけていく。
届けばそのまま頬を優しく撫でようとしていき、猫のように可愛がろうとする。

「どっかで軽く飯食って、その後暇なら付き合ってくれ。この間のが気に入ってくれてればってなりそうだけどよ?」

カラカラと笑い声を交えながら、冗談めかした誘いを重ねていく。
そして、どうだろうかと確かめるように金色の瞳は楽しげに碧玉を覗き込んでいた。

シルニア > 「ら、乱暴って…!」

吃って挙動不審になってしまう私の心情を知ってか知らずか、からかうような彼の言葉にさらに顔を赤くして戸惑った。
そんな初心な反応をする私や彼が、通る人からの視線を浴びてしまっていることに気付けば、羞恥は尚増していく。
そんな人達の視線とはまた別の、酒場から出てきた男性たちの視線と、彼の返す視線に気付けば…

「なるほど、なのです。遅くまでお疲れさまなのですよ。
そ、そうですね。ご飯と──」

続く彼の言葉に労いの言葉をかけた。心情乱れていても、そんな気遣い程度はできる。
だけれど、彼が屈み、私の頬に手を当てれば、そんな僅かな余裕すらも無くなる程の状態に。

「──??????」

頭の中が軽くパニックになり、話し言葉の途中の口を開けた表情のまま数秒、固まった。
私と彼、異性の経験に差がありすぎる。彼は恥ずかしがる私を見て意図的に私をからかっているのか、それとも単に女遊びが好きなだけ?
…さっきの酒場から出てきた男性たちの様子を見るに、これが当たり前なのかも。

「~~~!!ご飯だけ!ご飯だけなのです!!
えっちなことはしないのですから!!!!!!」

思考が再起動された私は、一歩身を引き、両手を突き出して遠慮することを示すように手を振る。
ヤケになるあまり"えっちなことはしない"なんて恥ずかしいセリフが、大きな大きな声で街に響く。

ヴィクトール > 「それだけ可愛いってこった。意外と悪いやつに目ぇ着けられていたかも知れねぇしな?」

真っ赤に茹で上がる様子にクツクツと笑いながらも、瞳を細めながら瞳だけを動かして周囲を見渡す。
彼女のように幼く青い娘が一番好みという輩は、一定数いるもの。
一夜の戯れならいいが、閉じ込めて貪り尽くして、人形にしようとする悪党も存在する。
それらに対して、牽制を掛けるかのように視線を向けるものの、今宵はいなかったのは幸いか。
そんな事を考えつつも、いつものように悪戯を楽しむ悪い男として振る舞っていく。

「ありがとうよ、まぁお陰様で疲れてるわけだからな。美味い飯と酒と、いい女を楽しむのは、一日のシメとしちゃ最高なんだよ」

気遣いに乗っかりながら、一日のご褒美を彼女へ強請る。
いい女、そのフレーズと共に頬を触れていけば、あの頃と変わらぬ絹肌が楽しめそうか。
優しく撫でていくと、そのままするりと首筋を擽るように指を這わせ、肩へと重ねていった。
何やら硬直している様子に、はて? と訝しげに眉を寄せながら童顔を覗き込む。

「はっはっはっ、飯だけか、それは寂しいが……仕方ねぇな。それと、そんな声でえっちなことなんて叫ぶと、注目の的だぜ?」

脳内フリーズから脱したのはいいが、幼い声は人もまばらな通りによく響きそうだ。
邪な考えをしている輩からは余計に、性の視線を浴びせられそうだが、突き出された両手へ遠慮なく片手を伸ばす。
小さな手をするりと包み込み、指を絡めるようにして握り込むと、少しだけ力を込めてぐいっと引き寄せる。
そのまま不意打ちで抱き締めてしまおうという意地悪と、これは俺のものだというギャラリーへのアピールだ。

「まぁ、そういう間柄ってフリしてる方が安全だろうから、それっぽく引っ張られてくれよ。あと店は……飯が美味いところ知ってるから、そこでいいか?」

彼女のご要望に答える様な囁きを告げるが、言葉の罠でもある。
なにせ、エッチなことはしないという言葉に対しては否定も肯定も紡いではいないのだから。
にんまりと笑いながら、そんな意地の悪い部分は伏せているが。

シルニア > 「~~~~~!!!」

彼からの指摘によって自分の言動を知ることとなった私はピン、とつま先から猫耳の先まで立った。ついでに、ローブにくっきりと尻尾の形が浮くくらい、尻尾もピンと。
彼に手を引かれるまま、前によろめき、彼の胸にとん、と頬が当てられてしまえば、反射的に羞恥を誤魔化すために鼻先を彼の胸元に埋めた。

「……そこでいいのです。
……でも、今日はホントにシないのですよ。」

冷静になり、彼の思惑通りか、或いはそれ以上に都合よく動いてしまっていると理解した私は、しかし半ば諦めモード。
顔を彼の胸に埋めたまま、くぐもった声で呟いた。
えっちなことはしない、と返事をもらえていないので、念を押すことも忘れずに。

「それは、その、良かった、ですけど…。
先日は後になって恥ずかしくて仕方がなかったですし、おまたもジンジンしましたし、それに、あーゆーことは私の柄じゃないのです…。」

彼の顔を見上げ、ぼそぼそと小さな声で囁く。本当に断る意図であることを伝えるため。

ヴィクトール > 尻尾の形が浮かび上がると、抱き寄せた掌が静かにそこに添えられる。
少し不格好な抱き締め方になるものの、尻尾を腕で押しつぶすようにすれば彼女が何者であるかも悟られることはあるまいと。
自身が所属する組織柄、ミレーがどう思われ、扱われるかはよく知るが故のこと。
後は、やはり愛らしい子を抱きしめて密着するのは、ご褒美以外の何物でもないのだから。
胸に顔を埋めるなら、子供扱いに優しく背中を撫でるのだが、腕をずらせないので指先だけのタッチになり、少し擽る様になってしまうかもしれない。

「駄目なのか? それは少々残念だが仕方ねぇか」

素直な思いとすれば、あの夜のように可愛がりたいが、それは彼女が蕩ける様を見つめ、互いに心地よく交わるが故に楽しめるもの。
彼女が駄目とはっきりというのであれば、無理にとは踏み込む様子は見せない。
苦笑しつつも続く言葉に幾度か頷くようにしつつ、耳を傾けていく。

「良かったって言ってもらえたのは男冥利に尽きるってもんだな、初めてを痛いだの辛いだので終わらせたくはねぇんだ。まぁ……ガサツだからよ、一から百まで綺麗にとは行かなかったかもしれんが」

初めては、一度しか訪れない大切なもの。
それが彼女の中で良かったとなったことに、至極嬉しそうに表情を綻ばせる。
悪人面もかなり優しい顔立ちに歪むあたり、言葉通りの意味であると伝わるだろうか。
ただ、続く言葉には嗚呼と申し訳無さそうに眉をひそめて再び背中を撫でていった。

「恥ずかしいのは……まぁ、慣れだな。痛いのはスマン、もう少し解したり、和らげてやりゃよかったか。それなら、このまま手ぇ繋いで店まで行って、飯食って酒飲みの話し相手してくれるのは、シルニアの柄にあうか?」

こつりと額を重ね合わせ、金と緑を間近に寄せていく。
あまり怖がらせないように、不安にさせぬようにと気を配るものの、如何せん自身の風貌も声も悪党寄りだ。
あまり声が荒くならぬよう、静かにゆっくりと囁きかけながら、薄っすらと笑みを浮かべる顔は神妙さも交えつつ、彼女の赦しを強請る。