2023/05/06 のログ
ご案内:「辺境の村」にアスリーンさんが現れました。
アスリーン > 王都から続く街道から離れた、辺境の小さな村。
特産物があるわけでもなく、村の人口もそう多くはない、何の変哲もない村。
近くにダンジョンがあるので時折冒険者が来るようだが、それ以外は小さな教会があるだけだ。
その村の名を知るものは、王都でもそう多くはない筈。
偶然迷い込んだか、あるいは何かしら用があったか、貴方が此処を訪れた理由が何にせよ、貴方は村の広場に、悍ましい光景を見るだろう。

────蚕の繭のような形をした何かが、広場のあちこちに無数に置いてある。
それは天使の羽で出来ており、ほのかに発光して、生物のように脈動していた。
魔物ではない。
中をこじ開けるならば、そこには生まれたままの姿、全裸の村人たちが、淫蕩と多幸感に満ちた幸せそうな表情で眠っているだろう。

常軌を逸する光景の先には、この村の教会がある。
小さく古びた教会は、礼拝堂と、宿泊用の狭い部屋しかない。
その扉の向こうから、貴方の耳にも聞こえてくるだろう。

悲鳴、嗚咽、そして嬌声、獣のような雄たけびの中にある快楽に堕ちた人の絶叫が。

その扉を開け放つならば、ステンドグラスから差し込む月明かりの下に座る、巨大な女を見るはずだ。
半透明の六対の純白の翼をもつ銀糸の髪を束ねた、愛らしくも美しい顔をした、2メートル半を優に超えた巨女の天使。
彼女の周りには広場にあったものと同じ繭がある。
その彼女の腕の中に、恍惚の悲鳴を上げる村人がいる。

さあ、その光景を見て、貴方はどうするのだろうか──。

ご案内:「辺境の村」にソルトさんが現れました。
ソルト > ホームタウンに戻る途中のこと。
少年は、偶然立ち寄った村で奇妙な光景を見る。
大きな繭のようなものが、いたるところに散見され、入れ替わったように村人の姿が見えない。
近くで見ると、多分鳥の羽の塊に見えるけれど、光り、脈打っている。

何か起きたとき、こういう村は一番大きな建物に人が避難して集まる。
ここの場合は、教会か。
この異常事態の答えを持っている誰かが、教会にいる可能性を考えて。
少年はそこを目指す。
近付いて行くと、段々声が聞こえてくるようになる。
悲鳴、鳴き声、なんだかわからない雄たけび。

何が起きているのか?
少年は、教会の扉を音をたてないように開く。
思わず息を飲む。
わけがわからなかった。
眉と、そして伝承にある天使のような姿をした女。
といっても見上げるほど大きい。
巨大な天使が、村人を抱いている。
少年に出来たことと言えば、少し進んだところで混乱のまま立ちすくむことのみ。

アスリーン > 天使の腕の中にいるのはまだ年若い青年だった。
例外なく全裸になって天使の腕の中で暴れるように悶絶している。
その表情に苦痛はなく、常軌を逸した快楽の波に飲まれ、幸せそうな顔で泣きじゃくり、叫びながら、あられもない姿を晒している。
その村人を、とてもとても愛おしそうに、我が子を抱くように見下ろす天使。
六枚の羽根で守るように、あるいは閉じ込めるように包み込み、抱きしめている。

やがて青年の意識が落ちた。
操り人形の糸が断ち切られたように、失神した村人は幸せそうな顔でビクンビクンと痙攣しながら、天使の手によって繭の中に優しくしまわれた。
この繭が、天使によってつくられているのだと貴方は理解するだろう。
繭の中身が村人であることも。

半透明に輝く翼を広げ、座していても立っている人と目線が合うであろう巨躯をした天使は、つい、と視線を入口に向けた。
そこから貴方がまだ逃げ出していなかったのであれば。
天使は優しく微笑んで、貴方に掌を向けて、誘うように手招こう。

「まぁ、可愛らしい貴方。そんなところでどうしたの?
 こちらへいらっしゃい」

天使の声は鈴を転がしたように心地よく、貴方の鼓膜へ届いただろうか。
まるで遅くなった我が子を迎える慈母のように、優しい微笑で貴女を迎えようとしている。
この場においては、酷く異質で、異常な光景だが。

ソルト > 天使が抱いているのは、全裸の男性だった。
一瞬死んでいるのかと思ったが、そうではなく、何とも表現しようのない顔を見せている。
その表情は一言で言うと、幸福の絶頂という感じだ。
すぐにそのまま意識を失ってしまった青年が、眉の中に閉じ込められる。

この村中の眉を作ったのは、この自分の二倍はありそうな巨大な女天使だ。

少年はすぐに理解した。
一体何が目的で? 
村を襲った人型のモンスターか何かか。
だが、しかし………意識を落とし、繭にされた青年の顔。
あれは、犠牲者の顔だったろうか?
控えめに言って、悦楽にどっぷりハマった人間の顔だったと思う。
それをもたらすのは、《敵》なのか?

激しく混乱する少年に、天使が手招きをする。
その声は、この状況が何ら異常ではないと言わんばかりの穏やかなもので、しかも、耳に心地いい。
まるで、その声で囁かれる言葉に対して疑いも敵対心も持つことが馬鹿らしくなるような。

あんなに優しい顔つきをしているではないか。
その周囲に人を閉じ込めた眉があるのに……少年は、ふらふらと天使のもとまで歩いて行ってしまう。
自分ではその無軽快な行動をおかしいとは感じることができないで。

アスリーン > 貴方の聴覚を侵蝕する天使の声は、貴方が好む音で出来ている。
そうやって脳が錯覚する。幻聴の一種とも言えば分かりやすいかもしれない。
ふらふらと近くまでやってきた小さくて可愛い貴方。
その青紫の髪を、天使の大きな掌は優しく撫でた。
子供をなだめる母のようで、あるいは飼い猫に無条件で愛情を注ぐ主のよう。
どのように捉えようと、天使は貴方に一切の害意はない。
傍に来てくれた貴方に嬉しそうに微笑んで、愛おしそうに両手で頬を包むのだ。

「かわいくて愛おしい貴方。お名前は?」

優しく問いかけながら、貴方の地肌を撫でる天使の掌は、心地よいと感じる温もりを伝えるだろう。
この手の中に身を委ねることは極楽なのではないか────貴方の触覚をそう錯覚させる、幸福の侵蝕。
そしてまるまると猫のようにつぶらな、より深い青と紫を宿す瞳。
その視線と天使の視線が交われば、貴方の視覚を見るだけで幸せに思うように、侵そうとするだろう。

手を振り払い、視線を反らし、耳を塞いで逃げ出せばまだ間に合う。
けれどそれをせず、この天使に身を委ねてしまえば、先ほどの村人のように逃げられない翼の檻に閉じ込められる。
その周囲に散乱する繭が、貴方の近い未来だ。

ソルト > 気に食わない顔や声、というのは確実に存在する。
そういう相手が言うことやることは気にくわないものだが、逆はどうか。
当然ながら素直に聞き入れやすくなる。
それは動物にもあると言われるプリミティブな仕組み。
それにしては効き過ぎだ、とは今の少年は思わない。
多くの魔法使いが精神に作用する魔法のほうが、物理的な破壊をもたらす魔法より恐ろしいという。
精神効果というものの、ハマった時の圧倒的な力が垣間見える。

天使に頬を挟むように触れられ、少年は自然と目を細めていた。
母親に対する思い入れがあれば、母親を想起していたかもしれない。
少年が感じたのはどちらかというと、人間と言うより大きな快適な自然に包み込まれたかのような感覚で。
視線が絡まり合うと、大きな存在に包み込まれる安心感、幸福感がさらに強まる。
甘く蕩けるような、それは侵蝕だった。

少年は、声をきき、触れられ、見詰められた時点である意味選択肢を失っている。
ぽーっとした表情のまま、翼が自分を包み込んでいくのを見るともなく見る。
頭の片隅の危機感を司る部分がもう一人の自分となって、動け、と言っている気がしたが、聞き逃す。
そして、何事も無くこの村を離れる最後のチャンスを失う。

アスリーン > 「あら、あら。かわいい子」

問いかけにも応えられなくなってしまう程、貴方の中に侵蝕した幸福は速やかに、貴方の脳を支配しに行ったようだ。
それでも構わない。名前を聞ければもっと深く愛せたけれど、知らなくても天使は貴方を愛することに変わりはないのだ。
幸福信号が貴方の頭の中で溢れ出している。
視線を合わせて、リラックスしたような表情で天使の手を受け容れる貴方。
天使が頬から華奢な肩へ、腕から脇の下へと手を差し込んで、貴方を猫のように持ち上げる。
あるいはそんな風に扱われることも、"貴方"ならば違和感を感じないかもしれない。
そうして腕の中に抱けば、貴方の半身は豊満な乳房の谷間へと埋められることになるだろう。
柔らかくて暖かい、陽だまりのにおいがする。そう、錯覚するかもしれない。
貴方が好きな匂いが、鼻孔から貴方の嗅覚を侵蝕していく。

逃げられなくなった貴方を見つめる天使の目は、愛情に満ちて優しく貴方を見つめ、顔が近づいていく。
貴方の唇に、天使の唇が重なる。
さあ、口を開けて、と。声なき指示が貴方に送られる。
口を開き、舌を差し出すなら、天使の舌が、唾液が、貴方の口いっぱいに注がれるだろう。
それは、貴方の好む味。貴方が口にした時、幸せだと感じる味に近しい。
味覚からの侵蝕を果たせば────貴方に状態異常、"幸福付与"が行われる。

体力増強、精力増強、精神強化、生命力強化、心身負荷無効。
感度上昇、思考力の低下、性欲増強、リジェネ。
貴方の脳を幸福状態にするそれは、貴方から思考力と抵抗を奪うことになる。

「可愛い貴方。さあ、わたくしに身を委ねて。
 ────貴方に快楽(しあわせ)を与えましょう」

天使は優しい笑顔と優しい声で、貴方に囁いた。

アスリーン > 【移動します】
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