2023/04/23 のログ
■エレイ > やがてカーテンが開いて客が現れれば、男は立ち上がり笑顔で迎え入れ──
ご案内:「九頭竜の水浴び場 マッサージ室」からエレイさんが去りました。
ご案内:「中庭」にフィリさんが現れました。
■フィリ > 【お約束待ちです。】
ご案内:「中庭」に影時さんが現れました。
■フィリ > 「素人目とぃぃますか、やはり、外の人間からぃたしますと。
…シックとぃぅか。確かに、ぁまり華美にはならなぃ――ならなぃよぅに、纏めてぉられる、と。そんな印象を抱くのです、はぃ。
物寂しさ――とはまた。異なる…ミニマリズム、でもなく ……ぅぅん。どぅにも、上手ぃ表現が。浮かばなぃのですが――。
――はぃ、其処は……そぅですね。安物が、実は、とぃぅのは。大変浪漫が有りますが。
その逆を行くのは――商家として。何とぃぅか、こぅ…――プロの意識に反する、と。思われるの…です。
流石に、それをしてしまぅと。信用とぃぅ重要な下地を、失ぅ事になる、のでして。」
こちとら客商売で食っているのである。その客を失うような真似は、絶対に出来無いのだ。
…そして。トゥルネソル商会は何処までも、間口が広いのである。上は富裕地区のお貴族様から、下は市井の冒険者から奴隷まで。
実利主義とリアリズムという平等な価値基準を維持し続けなければ、とてもではないがやっていけない方針なのだった。
――えらい方ばかりに、山吹色のお菓子をばらまいて。その分一般の顧客達に損を強いるのは。はっきり言って商売的には下策だろう。
きっとそういう殿様商売は長続きしないし、ひょっとしたら恨みを下に、始末されるのではないか――例えば。
例えば、彼のような。闇に忍ぶ者達に。
そして宗教という手合いも。権力と同様に危ぶまれる――というかこの国は特に、宗教と権力の繋がりが深い。
王国の国境ばかりを知っていると、仏の道やら慎ましさやらや、なかなか想像出来ないのは仕方ないだろう。
取り敢えず…裁かれたり捌かれたりするような商売は行うまい。今はそう考えておこうか。
「そもそも、芸術とぃぅのは――元々。投資対象でも、ぁります…し。はぃ。
普段使ぃでぁれ、ステータスとして。見せる事も出来ますし――磁器の中に、そぅぃぅ価値を載せるのは。当然の流れなの、です。
私としては後者…ぇぇと。ただ、触れずに飾ってぉく見せ物としてよりは。
使ってぃただきたぃ、見てぃただきたぃ、と思われるのです――が。
――学院で、とぃぅのには。大変興味がぁりますし、年頃の女子等、需要も見込めそぅでは、ぁりますが――
……それこそ、部活動、等…に留めるしか。なさそぅなのは、残念なので、す。
もし購買や食堂で――と、考ぇだすと…どぅしても。量が無ぃですし、仕入れが困難ですし……
ぅぅん。漆の際にも思ぃましたが。此方の気候でも、栽培する事が。出来ると、良ぃのですが、ー…」
悩む。言いだしておいて難だが大いに悩む。
ブームという前提条件が有ったから、シェンヤン絡みでは上手くいったが。果たして何処まで便乗出来るだろう。
初期の費用対効果が見込めないようでは、商売として踏み出すのは難しい。宣伝費というのは、人件費と同じように、決して馬鹿に出来無いのだ。
そして何よりのお金の掛かるのが、材料費――もしくは輸送費。
改善するならやはり地産地消が必須となってくるのだが、さて。
…何となく周囲を見回すのは。魔法の触媒すら育つこの庭なら、庭師諸子の腕なら。もしかすると上手く行かないだろうか、と。
――魔術に用いられるような薬草毒草と、小豆の並ぶ菜園というのも。不思議な光景になりそうだが。、
「……こほ、ん。ぃぇ、流石に直ぐ…は大丈夫なの、です。
もぅ一杯くらぃはこの侭、ぃただけましたらと――」
懐の痛みを知るのに併せて、足の痛みも追加されるのは御免被りたいが。こういうのは、雰囲気も味わうものだ。
きちんと、とまでは行かずとも。それっぽい空気も含めての体験である。
足指を解して多少、破滅を先送りしたのだろう。ちょいちょいと指を伸ばし齧歯類と戯れながら。
器を差し出し、もう一杯いただく事が出来たなら。其方を嗜む事に。
…なるほど。ゲスト任せで済ます筈がなく。きっと、家令さんも何かを用立ててくれている。
何が出て来るのか、つい愉しみになってしまう――その位。かの御仁の腕前については信が置けるので。
■影時 > 「評価の仕方、物の感じ方は個々人次第である以上、良いともさ。
思うがままに言うことに、何の咎めも下らねぇよ。
いわば観念の世界を表すにあたって、ひたすら華美と余分を排したら、こうなった……って云うのかね、あれは。
水墨画を見る機会が在れば、恐らく相通じる処はあるかもしれんか。
ははは、いや、割と居るというかあった話でな。
目利きが足らぬといえ、怒った武将やその直参の侍どもが売り込んだ奴を手打ちにしたとか、色々とな。
信用を無くすのが先か、それとも生命を無くすのが先か――なオチ、顛末よ」
世話になっている商会の生業、取り扱いをよくよく見る、俯瞰する機会が何かと多い。
兎に角、そう。間口が広いのである。頻繁に世話になる範囲、箇所が全てではない。
故に隅々まで気を配る必要があると云えるのは、確かにと頷ける処である。
寡占に胡坐をかくようなものではなく、同業他社等の競争原理も働く。生き抜き続けるには営業戦略も欠かせない。
その範囲には、闇に隠れるような武力の応酬だって起こりえないとどうして言えるだろう。
――ああ、あんな奴らも居たなァ、と茶の味の合間に思い返す事例、事案も数ある。
冒険者ギルドを介しない、暗躍者たちの仕事の類も己は良く知る。
何より、己自身も王国の国境をひょいひょい搔い潜って、魔族の国に赴いているではないか。
国境守備を任務とする者たちが知れば、それだけで善くは思われない類の者である。
「実用品である以前に工芸品である、となりゃァ、そうなるわな。
……貴族や王家御用達の“ぶらんどもの”とかが、良い例か。
フィリの気持ちは分からんでもないが、使いでに困る奴は多いぞ? 例えば、ラファルの身の丈位ある極彩色の花瓶とかな。
……紅茶なんぞある以上は販路、もとい、仕入れ元はあると思うが、特注になりそうだなァ。
紅茶は確か茶葉を醸して乾かすんだったか。抹茶は茶葉を粉に挽いて作る。
故に茶の木の栽培ができれば……たァ思うが、漆と茶、さて。どっちが見込みがあるンだろうなこりゃ」
子供の身の丈ほどもある巨大な壺、もとい、花瓶を見たのは王城に入った時のことだったか。
彩色もそうだが、網目めいた加工やら繊細な造形やら、実用というよりは観賞用。
だが、壺の体裁を持たせたのは、やはり使うためか? では、何を活けるのか?と数刻考え込みそうになった覚えがある。
売り込みの狙い目としては、部活動的な貴族の子女への体験は切り口とはなるだろう。
そのあとの確保の問題は厄介である。摘んだ後の茶葉を抹茶に加工する場合、日を置きすぎるのは不味い。
乾燥の過程を経ない以上、日持ちの問題が心許ない。
己の故国と王国の間を空輸するにしても、其れに耐える竜が他に何体、もとい、何人か。
栽培云々はそれこそ自家消費の範囲になるのではないだろうか? 周囲を見回す姿に、己も釣られて見回す。
魔法的なあれこれがあるならもしかすると、かもしれないが。
餡団子を食べ終え、茶かわりの温めの白湯を小さな碗で飲み干し、くぷぅ、と息を吐く齧歯類の二匹を視界の端に捉えつつ。
「心得た。まァ、キツかったら抱えて運んでやりゃいいか。少し待ってくれ」
指を伸ばされれば、茶の毛並みの二匹は挨拶するように顔や額を擦り付け、じゃれていくことだろう。
牡丹餅を飲み干したあと、差し出される器を受け取けとり、再び茶を立てよう。
しゃかしゃかと渋茶を立て、そのあとに膝を伸ばして重箱の段を一つ外し、その下の中身をあらわにする。
見えてくるのは、大きく二つ。
先ほどの牡丹餅の外と同じような薄黒色の半透明状の四角いものと、仕切りの反対側に薄紅やら白色の花型や星型に成形されたものが並ぶ。
羊羹、そして落雁と呼ばれるものだ。先に二色の菓子を皿に乗せ、それを差し出そう。そのあとに熱い茶を供して。
■フィリ > 「実用的な焼き物とぃぃますのも、それはそれで。気を惹かれるとぃぃますか――ぅぅん。
それこそ、余分を廃した侘び寂びの、美しさ?に。通じる物も御座ぃます、し。
本当に実用性の無ぃ、純粋に芸術としての品物でしたら、それはそれで……
ぁー…でもその。大きすぎる、割れ物とぃぅのは。何とも、取り扱ぃに気を遣ぅのが…っ。
なので、栽培出来ると。此方で用意出来るよぅになるとぃぅのが、やはり効率的なの、ではと。思われます。
…もしぉ心当たりが有られましたら、栽培につぃても、知識の有る方をご紹介してぃただきたく――とはぃぇ。
気候や土壌は、どぅしても別物なのでしょぅから。何処まで際限出来るのかは、なかなかに難しく……ん、ん、ぇ?
っぇ、ぇー…はぃ。はぃ、はぃ!そぅですそぅなの、です。低木でしたでしょぅか、植ぇる事が出来ましたら――」
まぁ、値段が上がる理由の一つに。大きければそれだけ原材料費も上がる、という身も蓋もない物が有るのは。確かだろう。
勿論小さな中に精緻な細工が施された、手間暇と技術とが値段を左右する場合も有るのだが。やはり大きい事は良い事なのだ。
ましてや華美且つ巨大ともなれば、相乗効果で倍率ベストマッチである。実用性には…まぁ、目を瞑っておくとしよう。
昔々。鐘に隠れた僧侶やら、壺に隠れた武士やら居るというので。案外そんな緊急避難の要素も有るのかもしれないし。
さて。思案めかせていた口調が、一瞬やたら普段以上にテンパったのは。
此方で育てるなら――と彼の言い出したのが、茶葉とその木についてだったからである。
確かに紅茶とも、元はと言えば近しい所に端を発しているのだから。其方で当然と言えば当然だったのだが…
どうしても小豆の方。甘い物の原材料の方に、意識が囚われていたのだった。
世の女子生徒達にウケるかどうか、等と言いつつも。少女自身、立派にその中の一部であるという事か。
「………ぅぉ、ぉぅ。流石に、そぅはならなぃよぅに――注意したぃもの、なのです」
少し遠い目。師匠の師匠に、けれど抱き上げられて運ばれるというのは。
修行の場所となっている別荘でならともかく、本日花見の舞台となっている本邸では。出来れば避けたい事案だった。
元来彼の弟子であるラファルだとか――少女にとって本来の師匠である竜胆だとか。彼女等に目撃されると、それはそれは。面倒になりそうで。
後はまぁ何というか。万が一運ばれるとすると、それは必然、少女自身の部屋となってしまう。
流石に、成人男子の殿方に自身の中身を晒すにも等しい、蔵書と魔法具とその他諸々で足の踏み場も無い自室を目撃されてしまうのは。
避けたくても当然、という奴なのだった。
という事で――次の抹茶を頂いた所で、お言葉に甘え。足を崩させて貰うとしよう。あくまで、裾を気にして少し横座りに移行する程度だが。
そうすると栗鼠とモモンガとがそれぞれ。膝の上を行ったり来たりする。
彼等の頭を撫でてみたり、次に差し出された菓子の内――甘さが割と控え目な落雁の欠片を、与えてみたり。
ねっとりと柔らかな羊羹にも。穏やかな甘味だがどうしても喉の渇く落雁にも。どちらにも合う熱い茶を。ちびりちびり、吹き冷ましつつ。
多分その飲み方は、茶の道ではあまり宜しくないのだが…許してくれると思っておこう。
■影時 > 「あぁ、分かる分かる。絵の類も嫌いじゃァないが、どっちかと言えば器物を見る方が俺も好きだ。
あとそれとな、経験あるかもしれねぇが、デカい焼き物は重くてな。その意味でも扱いに困る。
こっちで言う魔法やら何やらを介して扱う方が、気楽かもしれねェなあ……。
茶葉は何かと使うからなぁ。自家栽培できたら云うコトなしなのは同感だ。
さすがに茶の木の扱いまで知見のある知り合いは、……――ないワケじゃないが、向こうだなぁ。
ラファルに紹介状託して使いに出すのは、いや、アレらに俺の所在が知られるのも、厄介か。
茶の木自体は、低木の類だな。茶摘みをやる以上、大体低くなるように刈り込むわけだが、……望みだすと悩ましいな。
砂糖と蜂蜜はまだ手に入れられなくもないとしても、小豆も米もとか、な」
美術品の鑑賞の趣味はあるけれども、実用品の、それも侘びやら寂びやらを好む萌芽に思わず目尻を下げる。
この時分はもっと可愛いもの、華やかなものに興味を示しそうだが、否、示しつつも理解があるのか。
その手の品の鑑賞会にでも連れて行けば、さぞかし興味津々となりそうな予感に口元が緩む。
己の場合、刀剣という器物の方にも生業柄興味が向くが、絵画よりは工芸品の方がずっと眺められる感はある。
大きすぎる壺は、ついつい壊したくなるとは口には出さない。敵が隠れている事例はよく見たものだ。
しかし、だ。茶葉やら米、小豆等々、と。
この野点を開くにあたって仕入れたものを、地産地消的に生産、または確保するとなると、考える点は多い。
砂糖や蜂蜜以外の甘味料として心当たりがあるのは水飴だが、あれも原材料としていたのは米だ。
己が故郷にあったものが、他所の土地にあると思うとはよくよく思うが、手に入れられたとなれば、欲目も出る。
今更郷愁を覚えるにはこの地の暮らしが長いが、それこそ土地の開墾、または農家に委託から始める処になるのか。
「まァ、あの姿勢はな。慣れていても辛くなるコトもある。早めに崩しておいた方が楽だわな」
弟子や雇い主を含む弟子の姉等、目撃云々は今更気にしても居られない。
正座というのが一種の拷問のようであると譬えた、筆記した識者やら何やらも居なかっただろうか。
運ぶ先は客間か、それとも本人の自室か。
後者については見てみたいと口にしたい好奇心もあるが、今はひっそりと押さえておくのが大人の嗜みだろう。
さて、落雁の欠片を与えられたら「お嬢様からもらったー」とばかりに小躍りして、頬張る一匹の姿が目に入る。
与えすぎはいけないが、適量であればきっと大丈夫だろう。
「知ってるかもしれねェが、これらは羊羹、落雁と云う。
どっちも型に入れて成形しやすいから、勧めてみたんだが……よく出来てるなあ。落雁はクッキー型を使ったらしいが」
物の紹介をしつつ己が茶を飲み干し、新たに立てなおす。
その際、器を回し動かす所作を見せて一服し、自分ではなく家令が講釈に沿って作ったものを皿に取る。
この国に来て思うのは、水飴の確保が難しくとも、砂糖をふんだんに使える余地が多いということだ。
焼き菓子も冷やし菓子の文化があれば、それらの道具を転用できる菓子作りは難しくない筈。
食べ方、飲み方についてはとやかく言わない。楽しんで、味わって呑めるのであれば、それで満ち足りる。
■フィリ > 【継続いたします。】
ご案内:「中庭」からフィリさんが去りました。
■影時 > 【次回継続にてっ。】
ご案内:「中庭」から影時さんが去りました。