2023/03/12 のログ
カジャ > メグメール(喜びヶ原)街道。
王都マグメールからゾス村に向かい道中。
冒険者や商人或いは兵隊が移動するために踏み固められた道ではなく、その街道の脇にある森に今宵も不気味なモノが蠢く。

何時ぞやは大きなナメクジに似た異形であったが、今宵這い回っているのは通常なら有り得ない水棲生物であるタコであり、その大きなナメクジと同じ呪詛の塊であるカジャと呼称される存在である。

大ナメクジのときと同じ個体かは誰も知らぬが、タコでありながらその足の表面は微細なヘビの鱗に包まれ、タコであるなら目のある場所は落ち窪み、代わりに胴体である筈の部分のど真ん中にルビーを想像させる煌びやかに輝く魔性の瞳が有り、誰が見てもそれは正常な生物でないと理解出来る。

そのオオダコが今宵は生存本能の赴くままに地面を這いずり、木々の間を抜けて、何かを探すように動き回っている。
昨夜とは違い何かを咀嚼する音は非常に小さく、代わりに重たい粘り気ある音が森の中に響く。

ずる、ずる、とか、ずり、ずり、とか獲物を求める不気味な音はたえず動き回り、森のあちこちにヘビがのたうったような痕が残り、幾つか地面がむき出しの場所さえある。

もし森に詳しいものであれば、其処には毒草が生えていた覚えが或いは痕跡があり、カジャと呼称された生物は毒草を貪りながら徘徊していると知れよう。

今宵はその毒草を貪るカジャと遭遇してしまう者はいるだろうか、或いはそのカジャを討伐する為に森に踏み込む者がいるだろうか。

カジャ > ――…いないのであればカジャは彷徨い続けるだけ。
その腹部に毒をたっぷりと溜め込んで何れ使うときの為に毒草を貪り続けるのだった。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道傍」からカジャさんが去りました。