2023/01/08 のログ
ご案内:「貴婦人と一角獣」にリレイさんが現れました。
■リレイ > 「は、ぁあああああああ……つっかれたー…」
貴婦人と一角獣
そのオーナールーム兼、リレイの部屋
書類が積み重なった机の上でぐってりと男は力を抜いている
正月は挨拶やら何やらで忙しく、多少お祝いはしたものの休みは無かった
従業員にはお休みを出して、来年…つまり今年に向けての仕事を済ませていたというわけだ
頬杖を突いて、部屋を見渡す
応接間も兼ねているため、革張りのソファと少し豪奢な低机
左右には本棚。奥には休むためのベッドルームがある
(はぁ…もうちょっと計算が早ければもう少し楽になるはずなんだけど…)
接客等でも邪魔になるため、裏方に回っているが
正直働きすぎで自分が役に立っているのかわからなくなってきた
エイプリルさんが居れば自分が居なくても何とかなるのではないかとか微妙にネガティブなことを考えて
「いや、だめだめ。オーナーが弱気だと皆に伝染しちゃうからな」
今日はまだ店自体はお休みにしてある
明日から営業予定だが、その前に色々整えておく必要があるため
気合を入れて、書類に向き合っている…
ご案内:「貴婦人と一角獣」にエイプリルさんが現れました。
■エイプリル >
通い慣れたオーナールームの扉を、とんとんとん、と軽い音でノックする。
手元には少し大きなトレイに、幾つかのお茶菓子と、ティーセット。
おまけに暖かなポテトのポタージュスープ。
「――オーナー、お疲れの所失礼します。
暖かいものをご用意しましたから、いかがですか?」
そう、普段と違う装いで、普段と同じように声を掛けて反応を待とう。
■リレイ > 聞きなれた声が扉の外から聞こえてくる
その声にはっ、とすればもう日が暮れ始めていることに気づいた
「あ、ああ、ありがとう、エイプリルさん。入って……………、え?」
体も冷え切っているから、温かいもの、というのは素直にうれしかった
彼女の気配りに感謝しつつ入室してもらえば
その姿にぴき、と背筋を伸ばしたまま固まる
いつもの格好も綺麗でついつい見とれることも多いのだけれど
何故か今、エイプリルさんはシェンヤンから流れてきている衣装の一つを着ていた
髪とほぼ同色の淡い桃色と異国の花があしらわれ、更にはいつもは流している髪を結わえて…
「え、エイプリル、さん?ど、どーしたの?」
寝ぼけていた頭が急に覚醒して椅子から立ち上がってしまう
何かイベントあったっけ!?などと慌ててしまって
■エイプリル >
「失礼しますねー」
そう言って部屋に入ると、とっても動揺するオーナーの姿。
予想はしていたものの、予想以上に驚いてくれた様子に、ついつい笑ってしまう。
「くすくす、いえ、年末にお客様からいただきまして。
シェンヤンの、さらに東方の国ではこういう装束をしているみたいですよ。
着物、と言うみたいです」
と、一年ほど前にやってきた行商人に依頼していた物が届いた、と言うのは内緒にして。
「どうでしょうか、似合いますか?」
なんて微笑みかけながら、テーブルの上にトレイを置いて。
「どうぞ、ポタージュです。
少しお腹もすいてる頃かな、と思いましたので」
少し大きめのカップに入ったポタージュスープを、両手で支えてしとやかに差し出す。
■リレイ > 「へ、へぇ…。足が出てるのはよく見るけど…
その、そういうのは珍しいね」
知らない、とは言わなかった
商家に生まれた身として、色々な国の衣装を目にする機会は多かったからだ
けれど、いつも見ている相手がその衣装を纏うとまた違った衝撃がある
思わず深呼吸をしてから、ポタージュを両手で受け取る
手を触れるのすら緊張しそうで、特に露になっている首筋をちらちらと横目で見てしまいつつ、ポタージュを一口
「あちっ…、あ、あーえっと、お店お休みだし、ゆっくりしててもいいんだよ?
お腹すいたら自分でなんとかするし…。ほら、東方だとそれを着てお祈りとかするんじゃなかったっけ」
ついつい冷ますのを忘れて、慌ててふー、ふー、としてから
たまには自由にしても…と促しつつも嬉しくて仕方がない
少年のように高鳴る胸をなんとか抑えようとしながら少し上ずった声で話を続ける
■エイプリル >
「あまり露出が露骨なのは、好みじゃないかとおもったので」
そう言って笑う。
もちろん、目の前のオーナーの好みに合わせてのチョイスである。
装束も、髪形も、オーナーの青年が、時折こぼしたり、視線を向けたりしているところから分析した結果なのだ。
「んー、ゆっくりしていても、なにをするわけでもありませんから。
それに、年末は決算で慌ただしかったですし、お店のお掃除に、点検に、住み込みの子たちの面倒も見てあげないとですしね。
それでも、普段より時間が余っちゃって困っちゃいますね」
左手を自分の頬に当てて、困ったように笑う。
オーナーの少し子供っぽい仕草を楽しそうに見守りつつ。
■リレイ > 「ぐ……な、なんで好みを…。んん、エイプリルさんも、そのー、体がちょっと丈夫なのは知ってるけどさ
女性なんだから、あんまりそういう勘違いさせるようなことは…」
なんて言いながらもちらちら
持ってきてくれた食事を胃に納めながら視線は外せない
正直なところ滅茶苦茶綺麗だし、自分も健全な男だ。感じないものがないはずはない
「いや、例えばその仕事以外とか…
プライベートな事、してもいいんだよ?本当にさ」
無理をしていないのは最近分かってきたけれど、それでも気になることは気になる
少し労うように、肩に手を伸ばしてぽんぽん、と触ろうと
■エイプリル >
「勘違い、ですか?」
はて、と不思議そうに首をかしげる。
いつも頑張っている青年を労おうと思っての事だったのだが、なにか間違えただろうかと。
「折角ですから、オーナーの息抜きになればと思ったのですが」
うーん、となにか考えるように顎に人差し指を添えて。
「プライベートと言われましても――皆さんのお手伝いやお世話をするのは楽しいですし。
普段から好きなお料理もさせて頂いてますし。
うーん――お仕事に関わらない事、って難しいですね」
そう、苦笑しつつ。
「お気遣いくださって、ありがとうございます」
と、肩に触れた手に自分の手を重ねて微笑んだ。
■リレイ > 「い、いや…息抜きっていうかすごい、その嬉しくはあるんだけどさ
疲れてるし、あー、その…簡単に言うと興奮しちゃうというか…」
確かに息は抜けている
この姿のエイプリルさんが隣に居るだけで何日でも働けそうだ
それとは別に。ここ数日は他の娼館に勉強と息抜きも兼ねて行けていないため
端的に言うと溜まってしまっている
そんな状態で手に触れられると気まずそうに眼を逸らして
「~~~…あーー…従業員を気遣うのは当たり前でしょ
だから、その…襲われたりしないように気を付けなきゃだめだよ。できるだけ守るけどさ、怖いことも、多いし…」
ふい、と目を逸らしつつも手は握り返して
大事な人であると同時に…女性として見ているという絶妙な天秤がゆらゆら揺れている
■エイプリル >
「え――あ、ああ!
すみません、気づきませんでした!」
正直に言う青年に、こちらもまた正直にあらま、という様子で口元に手を当てて驚く。
「でも、ダメですよ?
私を女の子としてみても、オーナーの為になりませんし――」
と、また眉をハの字にして苦笑する。
「――あ、その事なら大丈夫です。
たぶん、ですけど。
私はそれなりの冒険者さんよりは強い、と思いますし」
力比べしたことはないですけど、と笑いながら握り返された手をそっと撫でる。
いつも一生懸命な青年の手は、なんだかとても愛らしく、自然と表情が和らいでしまう。
■リレイ > 「為とかじゃなくって…いや、逆に見ないほうが無理だよ、俺には
エイプリルさんは、とっても綺麗な女性だ。だから無理」
はぁ、と
なんでこの人はこんなに自意識が低いのか、と思いつつ
特殊な体が原因だろうか?と予想はするけれど
それでも目の前の人は魅力的な女性だと言って
「それも聞いたけど、その…力じゃどうにもならないこととかあるしさ
薬とか魔法とか。…本当に、心配してるんだよ?」
なんだかその視線に慈愛が籠っているのを感じて
男の事より自分のことを、と…もう片方の手も重ねて握り返す
■エイプリル >
「綺麗と言ってもらえるのは嬉しいですけど――。
もう、困りましたねえ」
褒めてもらっても、困ってしまう。
お客様であれば、その場限りの対応もひとつ、考えには上がるのだが。
この青年にそんな対応をしてしまえば、今後の仕事にも影響が出てしまうだろうし、などと考えつつ。
「んー、薬も魔法も、多分効かないと思いますよ?
でも、心配して頂けるのはとても嬉しいですね」
ふふ、と笑って。
二人で手を握り合ってるのを見て、また可笑しそうに。
「もう、だめですよ、オーナー?」
そう言いながらも、振り払う事はしない。
ただ、少し困ったように微笑んでいるだけで。
■リレイ > 「…俺には、それが…本当に大丈夫かどうかわからないんだよ」
本人が大丈夫だと言っても、自分にはそれを確かめる手段は無い
だから、信じるしかないのだけれど…不安になって、心配してしまう
仕事の面もそうだけれど、精神面でこれほど頼りになる人も居ないと思っているから
「…っ、あ、ごめん。あはは、やっぱりちょっとおかしくなってるみたいだ。
綺麗なエイプリルさんを見て、変になっちゃったかな」
困ったような微笑みを見て…慌てて、ぱ、と手を離そうと
同じく照れたように頬を掻いてからくる、と背を向ける
少し落ち着くまでは顔を直視できそうもない
■エイプリル >
「ええと、もう、『リレイさん』てば」
先ほどから、何度も綺麗だなんだと言われてしまえば、いくらエイプリルでも気恥ずかしくはなってしまう。
だからつい、宿を開く前のように呼んでしまった。
普段は意識して、オーナーと呼んでいるのだ。
「うーん――そうですねえ。
大丈夫な証拠も、根拠もありますけど。
オーナーにお話しすると、オーナーが困ってしまいそうですし」
困ってしまうというよりは、重く受け止めすぎてしまうと思うのだ。
この気が少し弱いが優しい青年は、自分の身の上を離したら、きっと自分に入れ込み過ぎてしまうだろうな、と。
エイプリルはそうなってしまうだろうな、と考えているのだ。
■リレイ > 「……っ、久しぶりだ、その呼び方」
ふーーー、と息を吐く
この人はほんとにズルい。いや、たぶん自覚は無いんだろうけれど
エイプリルさんと会って、一緒に宿を始めて
いつの間にかオーナー呼びに慣れてしまったが、改めて呼ばれると更にどきどきしてしまう
「困ることなんてないよ
むしろ、知らないほうが困る…かな。理由を知らないと、いつまでも心配しちゃうだろうし」
何とか息を吐いて向き直る
それからもう一度、手を握って
「…その、エイプリル……が!俺を頼りないって思うなら仕方ないけどさ
俺も、エイプリルさんを守りたい、って思ってるから…知りたい」
き、と少し赤い顔をできるだけきり、っとさせながら詰め寄る
■エイプリル >
「え、あ――!
あはは、久しぶりだと、照れちゃいますね」
名前で呼んでた事に気づいて、恥ずかしそうにはにかむ。
しかし、向き直った青年には、やっぱり、困った顔をしてしまう。
「オーナーは全然、頼りなくなんてありませんよ。
でも、オーナーの性格だと、私の事を知り過ぎたら、きっと入れ込んじゃうじゃないですか。
私もスタッフなんですから、ちゃんと平等に見てあげなくちゃだめなんですよ?」
と、詰め寄ってくる青年に、丁寧に言い聞かせるように話してみるが。
「その、守りたいって言ってくださるのも、知りたいって思ってくださるのも、嬉しいですけど――ね?」
そう、やんわりと口にする。
■リレイ > 「~~~~~~~…!」
確かにそうだ。
例えば、丈夫である裏に何かあるのだとしたら
その事が更に気になって、仕事がおろそかになる可能性もある
信用は、されていることはわかる
けれど…それでは足りないと思ってしまう
「それなら、もっと特別扱いする
そもそも、エイプリルさんはただのスタッフじゃない。この宿の共同経営者だ
ある程度、特別扱いするのは皆も理解してくれると思う
それに…」
決して一スタッフじゃないと
最初から一緒に色々やってきた、特別なのだと言って
そしてここからは…欲情に流されているのかもしれない
けれど、しっかりした自分の気持ちだ
「さっきも言ったけど。女性として、エイプリルのこと、好きだよ
…その、娼館とかに行ってる俺が言っても説得力無いかもしれないけど…。
そんな相手のことを知りたいって守りたいって思うのは…変かな?」
女遊びをしていると取られても仕方ないから、気持ちを伝えるだけで満足だ
手を握る力を少し強めていく
伝わらなくても、特別扱いしたいという理由くらいは納得してもらえると信じて
■エイプリル >
「え、ええ――」
言われてしまった。
特別だと、女性として好きだと。
青年が自分に対してそういう感情を、少なからず抱いていたのには、なんとなく気づいていたけれど。
それを実際に言葉にされるとは、少々ではなく予想外だった。
「すぅ、はぁ――」
ゆっくり深呼吸。
師匠に教わり、妹弟子に教えた、平常心を取り戻すための切り替えかた。
それでも、真っすぐに伝えられた言葉には、ほんのり頬が染まってしまうけれど。
「もう、リレイさんったら」
ほんの少し、寂しそうに微笑んで、握られていない方の手を青年の頭に伸ばして、優しく撫でる。
「そうやって思ってくれているから、私じゃだめなんですよ。
知りたいとも、守りたいとも思ってくれるのは、とっても嬉しいんですよ?
でも、私は、リレイさんを支えて、お手伝いする事は出来ますけど――幸せには出来ませんから。
そういう、女ではありませんから」
青年の気持ちは理解しているつもりである。
けれど、その上で――一時の感情、一時の関係でなく――愛し愛されようというのなら、エイプリルは青年を受けいるわけにはいかないと、そう思っているのだ。
■リレイ > 「…………。」
手を握りながら、しっかり答えを聞く
言ってしまえばフラれたわけだが、その理由に納得がいかない
結局フラれるのだとしても、む、と眉根を寄せる
「…だからわかんないって。何を理由にして、幸せにできないなんて言うの
誰が決めたんだ、そんなの」
青年には珍しく、少しの怒りを滲ませて
一度手を離し、再び両手を両手で包んで話を続ける
「俺には知識も経験も、全然足りない。けど…何があっても不幸せだ、なんて思わない
むしろ、何でも跳ね返すぐらいの気だから。……だから…無理だから、じゃなくて。…考えてくれないかな、エイプリルも
色々抜きにしてさ。そういう関係になりたいかどうか、って」
どちらにしても尊敬はするだろうが…お客さんと娼婦、という関係ならまだしも
今、エイプリルをただ単純な性欲処理相手にはしたくなかった
逃がさないようにしっかり握る手を強めて、目を見て話を続ける
■エイプリル >
「それは――その」
その理由を話してしまえば、きっと青年は自分に縛られてしまうだろう。
大事に想うからこそ――一時のカンケイでなければ、簡単に折れるわけにはいかないのだ。
「リレイさんてば――それ、ほとんどプロポーズですよ?」
少し険しい表情の青年に、いつものように困った顔をする。
「考えていないわけじゃ、ないんですよ?
リレイさんは素敵な人です。
こんな時世で、とても真っすぐで純粋でいるなんて、誰でもできる事じゃないと思います」
握り込まれた手を見下ろして、ううん、と小さく。
この手に身を委ねてしまうのはきっと簡単で、そして――。
「――そんなリレイさんだからこそ、私じゃいけないんです。
そしてその理由も、お話ししちゃいけない――改めてそう思いました。
きっとそうしたら、私はリレイさんを縛る枷になってしまいます」
うっすらと切なげな微笑みを浮かべたまま、静かに。
「いっそ、一時の関係で求めてくださったなら、懸念なく一夜を過ごせたと思います。
ですけど、リレイさんはそういう人じゃ、なかったですもんね」
ああ、こまったなぁ、と。
切なく、ほんのりと胸が痛むのを感じる。
こんな一生懸命な人だから、支えたいと思ったのだった、と。
「――この場所は、素敵な場所になりました。
まだまだ、沢山課題はありますけど、それでも、笑顔と安らぎのある場所に、リレイさんが目指した場所に近づいています。
だから、これからリレイさんには、もっともっと、沢山の出会いがあるはずなんです。
この場所が夢に近づけば、大きくなれば、それだけ沢山の出会いに恵まれていくんです」
それは間違いなく訪れる未来。
青年が懸命に頑張って、自身がその背を支えて。
そうして必ず辿り着かせてあげたい場所。
「そうして、いろんな人に、女性に逢って、気持ちを交わして――時には体を重ねて。
リレイさんは、これからそんな経験を沢山していくんです。
そして、そんなささやかで、大きな夢に辿り着くリレイさんのパートナーは、そんな沢山の経験の中から選ばれるべきなんです」
そして静かに、ゆっくりと首を振る。
「私は、違います。
たまたま、あの時、利益が一致しただけのビジネスパートナーです。
始まりに、たまたまいただけなんです。
それを――一生の恋にしちゃいけません」
そう、一言一言、噛み含めるように言って、いつものように柔和な笑みで、青年の目を見つめ返した。
■リレイ > 「――――――――……」
プロポーズであることは自覚している
いつの間にかプロポーズのようなことを言っていた、とかそんな初心な真似をするつもりは毛頭ない
だから、しっかり返事も噛みしめる
「ありがとう。聞いてくれて
…そうだね。それは、できない…」
仕事同士ならまだしも、プライベートとして求めている以上軽々に抱くことはできない
今も興奮はあるが、手を握る以上のことは、今はできそうにない
「……ありがとう、エイプリル「さん」
確かに、一時の感情だってことは否定できない
困っていたところを助けてもらったから、そう思ってるだけかも」
それでも、諦める選択肢は無い
情熱的で、一途だからこそ、お店が大きくなったその先の未来も口に出す
「ただ…ってことは、沢山人と出会って、沢山経験して…
それでも貴女を選んだら、受けてくれますか?
…もちろん、エイプリルさんも同じで」
彼女を縛りすぎるつもりは毛頭ない
彼女の心を射止める相手が出てくる可能性は十分ある
何か事情を抱えているとはいえ、気立ても良く、美人で優しい
惹かれない方が妙だともいえる
だからその時は、しっかり諦めようと思うし
自分に…パートナーとしたい女性が他にできたなら彼女の言う通りだったということだ
「どうかな。エイプリルさん」
じ、と。今はビジネスパートナーとして提案しよう
■エイプリル >
「――そう、ですね」
青年の言葉に、今度こそ自然な笑顔が浮かぶ。
「もし、多くを経験して、リレイさんが自分をしっかりと誇れるようになって――」
そんな青年の姿を想像すると、胸が温かくなる。
恋と言うほど甘くい感情ではないけれど――それでも、彼を支えたいという気持ちはやはり嘘偽りないもので。
「それでも、私が良いと言ってくれるなら。
その時は、私もちゃんと、この気持ちを形にしようと思います。
でも、その時は大変ですよ?
私――すっごく重い女ですから」
と、そう言って笑った。
■リレイ > 「じゃあ、約束です
お互いにしっかり、その時までに気持ちを整理しましょう」
古いおまじない。
手を離せば、小指を差し出して約束をしよう
「…俺もその時は、エイプリルさんを支えられる男になってるよ
どれだけ重くても」
ふふん、と…今は強がりの笑みを浮かべて
「さあ、俺は仕事の続きしますね。
エイプリルさんも、手伝ってくれますか?」
思いを告げる前よりは…素直にお手伝いをお願いする
気持ちを整理するとは、そういうことだと思うから
■エイプリル >
「はい、約束です」
そういって、小指を絡めて、名残惜しみながら離す。
「あら、でしたらもう少し体も鍛えてもらわないとですね。
うっかり潰しちゃったら大変ですから」
青年の強がりには、そんな冗談で笑って答えて。
「ええ、もちろんお手伝いします。
でもその前に、ティータイムにしましょうか」
そうして、用意していたティーセットで、互いのカップにお茶を注ぐ。
二つのカップの暖かなお茶は、今の二人のように混ざり合う事はない。
けれど、いつか――それは近い未来かもしれないし、まだまだ遠い日の事かもしれないけれど。
そんな日が来たら――そう夢想してしまう意外と乙女心のあった自分に気づいて、エイプリルは着物の袖で口元を隠すのだった。
ご案内:「貴婦人と一角獣」からリレイさんが去りました。
ご案内:「貴婦人と一角獣」からエイプリルさんが去りました。