2023/01/02 のログ
ご案内:「王都貧民地区/魔具店『シャイターン』」にアシュベールさんが現れました。
アシュベール > ―――もういくつ寝るとなんとやら。

一年が終わり、また新しい一年が始まっためでたい日。
そんな日の、夜。

「……んーぁ。…………寝過ごしたなぁー。」

おそらく書き入れ時。店の前で東洋の「モチ」や、色々なそれっぽいアイテムを販売すれば売れたかもしれないタイミング。
そう、この魔具店の店主が何をしていたかと言われれば……眠っていた。そりゃもう熟睡であった。

「バイトさんに教えてもらったけどー……"キンガシンネン"っていうんだよねー……。」

結果、この時間まで開店している。
扉には何故か洋風の店舗には見合わぬ「謹賀新年」と無駄に達筆な札が貼られていたりして、一応お正月ムードなのはわかれど、冬物コートやマフラーなども並んでるせいでどこかチグハグ。

「ふぁ……ねみ。―――けど、流石にこの日にノーお客っていうのも、ねー。」

普段ならすでに閉店してそうな時間に動いているのは、そう。一応、商売人として。
売れそうなタイミングには売っておきたいのである、まる。

アシュベール > 「そういやー……先日はミルクも売れたし、食べ物系も充実させてみるべきかーね……。
 よっこい、しょー……。」

そう思い立った瞬間、足元でぱかぱかと開閉を繰り返すミミックの口からずるっ!と取り出すのは、真っ白な板のようなもの。
そう―――皆様御存知。「モチ」である。

「放置しとくとすぐ固くなるんだよねー、これ。作り方教えてもらったは良いけど。
 お陰でミミっくんの中から出せないしー……なんか個包装でもしてみるかねー……。
 味は美味しいんだけどねー……。」

そう告げ―――スッ。指輪を輝かせ、一瞬だけ発動させた風の刃が餅の一箇所を適度な長方形に切り揃える。
所謂切り餅状態になったそれを一つ、取り出す鉄串に突き刺し、指から灯す焔を使い、しゅう、しゅう……焼いていく。

部屋中に広がる香ばしいなにかの焼ける匂い。

「焼けるの、時間掛かるけどねー……うへへ。待つのは苦じゃあないってねぇ……。
 あー……昼間に外で実践販売とかも……やー、寒いな……外、出たくないなぁ……。」

ちり、ちり。適度に焔の勢いを調整し、浅く餅の表面に切れ込みを入れ、ぷくっ!と膨れる餅の様子を眺め続ける……。

アシュベール > 「おー……とと。出来た出来た。うへへ……いい感じ。」

そして、数分もせず。文字通り、きつね色の焦げ目が出来た表面から香ばしい匂いを醸し出し、
割れた箇所からは膨れ、萎みを繰り返した焼き上がった餅が2つ完成した。
ミミックの中から取り出すのは小瓶。大豆から作り上げた特性の調味料を出来た割れ目部分に数滴垂らし、準備万端。
鉄串に刺したまま―――。

「いただきまーす。……やー……夜はねぇ。静かに食べたいものを食べれるのがいいよねー……あ、む。」

まずは、ぱりっ!と焼けた表面が歯に合わせて割れたかと思えば、染み渡った醤油の味ともちもちとした中の食感とのコントラストを生み出す。
さく、ざくっ、もち、もち。噛みしめる度に口に広がる米特有の甘みと醤油のしょっぱさ。

「あー……うん、これは売れる。絶対売れるー……。」

アシュベール > 「んー……明日辺りはこれ、全部カットしてー……。
 個包装にでもして、売ってみるかな……ミミっくん。ビニールってあった? ……あー、あるか。よかったー。」

ぱくり。ごくん。
焼きたてのそれを一つ完食すれば、行われるのは足元に居る魔物との密談。
これだけ美味なのだ。どうやって売るかを考えるのもまた乙というもの。
一枚だと大きすぎる。1つ1つだと乾いて食べられない。ならば、複数個を袋に詰めて渡せば良い。
おそらく平民地区でもそのように売られているだろう其れに思い至りつつ――。名案、と言わんばかりに口元を緩め……。
残り一つ。まだ熱を灯す餅を口に加えつつ……準備開始。

「んー。ふふー……。ふー……ぶご。」

取り出すのはチラシ。お世辞にも絵は上手くない。
然し、何を意味しているかはギリギリ分かる。と知人に言われるイラストを魔界の絵筆で刻んでいく。
膨らんだお餅(スライムみたいにしか見えない。)と個包装された切り餅(インゴットみたい。)のイラストを描き、
更に「お餅、販売中!」と絵とは裏腹に無駄に達筆な文字を刻み――カウンターにぺたりと貼ってみた。

「……ぷー。」

―――やり遂げ顔。

アシュベール > 「後は、餅を切って個包装してー……売る時になったらミミッくんの中から出せばよーし。
 よーしよし。完璧だーね。うへへ。」

―――そして出来上がった、お正月のお餅販売計画。はてさて、売れるか否か。それはまた別のお話、ということで。

ご案内:「王都貧民地区/魔具店『シャイターン』」からアシュベールさんが去りました。
ご案内:「設定自由部屋2」にトーラスさんが現れました。
トーラス > 冒険者は全ての責任を自身で担う個人事業主でありながら、
依頼を受ける際には一時的にせよ、継続的にせよ、徒党を組む事が多くある。
得意分野の役割分担による効率化に加え、生存率を格段に向上させる事が出来る為だ。
尤も、それは飽く迄も、経験や才能が近しい者達が組んだ場合の恩恵となる。
熟練が足手纏いの新米と組めば、当然、効率も生存率もへったくれもありはしない。

その不公平感を解消する唯一無二で、一番分かり易い方法が金、即ち、報酬の取り分だ。
他人の足を引っ張る半人前には、文字通り、半額の報酬しか支払われず、
熟練者や特殊技能持ちには二人前として、1.5倍や2倍の報酬を分捕る者も存在する。
そして、半人前同様、報酬の分け前を減らされる事が多いのが女性冒険者である。
これは性差別等ではなく、筋骨隆々の女は別として、怪我を負った際に自分を背負ってくれる男と、
まともに担いで走れない女、どちらと組みたいかと言えば普通は前者であり、需要が変われば値が変わる。
だが、そんな女冒険者でも等分の、或いは、それ以上の好条件の分け前を得る方法もあり――――。

「――――さて、飯も喰ったし、明日も早い。……そろそろ良いか?」

夜更けの森の中、焚き火に当たりながら、革袋の酒を呷っていた中年冒険者が傍らの女に声を掛ける。
相手は高額報酬の魔物退治の依頼を受ける際に分け前の等分を約束して一時的に行動を共にした女性。
その条件は、疲労やストレスを体で癒す事、即ち冒険中に肉体関係を結ぶという極ありふれたもので。

ご案内:「設定自由部屋2」からトーラスさんが去りました。
ご案内:「王都平民地区・露店エリア」にアシュベールさんが現れました。
アシュベール > 【~魔具店『シャイターン』出張販売中。正月用品から魔具、掘り出し物まで~】

そう書かれた旗を風に揺らしながら、露店エリアの一角。
体育座りで店番を行う少年の影が一つ。

そう、お昼に思いっきり寝過ごしたのだ。
結果、本来売るべきだったお餅やお正月用品を捌き切れず、これは店舗に引きこもっていては売りきれない!
―――そう考え、向かった先は自由に露店を開ける王都の平民地区のとある一角だったという。

そして、売り出した結果―――びっくりするほどよく売れた。
・ビニール袋に個包装された切り餅。(需要が多いので売れた。)
・本来大晦日にやるべきだろ!ってツッコミが入りそうな破邪の力を宿したしめ縄の正月飾り。(売れない。)
・門松。(デカい。売れない。)
・バイトの衣装を参考にした和装。(魔法防御力アップ。数枚売れた。)
・姫始め用のいやらしいアイテム。(かなり売れた。)
・魔剣。(売れない。)

「…………。」

普段の売上の数倍。一緒に此処まで来たミミックの口の中には金貨がザクザク。まるで本物の宝箱だ。

「…………やー。立地ってやっぱ大事だぁねー……。
 さーて、残りのものも売れるかな。……宜しく。」

【よってらっしゃーい、みてらっしゃーい。お正月用品から~。掘り出し物の魔剣。夜のお供のおくすり、どうぐ。冬物コートまで~。】

ミミックの中に隠れている小さな魔物に合図すれば、録音されたようなその声が響く――。
いわゆる「コダマ」と呼ばれる精霊に事前に教え込んだ声を出してもらっているのだ。自分で叫ぶ?面倒くさいので……。
此処まで売れたのだ。今日はがっつり売ってしまおうの気持ちで、魔石で動くヒーター近場に、商売中。

――なお、そのヒーターをすごく欲しがってる他の皆様の視線には気づかないようにする。

アシュベール > ヒーターの上に金網を置き、その上にお餅と薬缶。
正月の肌寒さに震える人々の中、焼きたてのお餅と熱々の果汁で舌鼓。
何ならマシュマロとかも焼いちゃう。甘い香りがふわぁと広がって、思いっきり視線を感じる―――。

「……熱々、焼き立てお餅~。焼き立てお餅~。淹れたてのホットレモン~。デザートの焼きマシュマロ~。2個で銅貨――枚~。
 ―――あ、はい。まいどー。まいどー……うへへへ。」

ので売りに出してみた。こういうのは実際にそこで売ることで人の視線を集める。
肌寒さに震える通りがかりの親子はホットレモンで体を温め、同じくこの時間まで店を開き、空腹を訴える人はお餅でお腹を膨らませ、甘いもの好きな女性はマシュマロを買ってご満悦。

「…………やっぱ平民地区で売らなくてよかったかもしれないねぇー……。
 あ、其処の人ー。お正月飾りと門松いらない? 今なら呪いが弾けたりするよ~?……あー、いらない。そー。」

ご案内:「王都平民地区・露店エリア」にアイバーニアさんが現れました。
アイバーニア > (季節感もクソもない、身なりを気にしないいつもの旅人スタイルで背中に大きな杖を背負って。それでも寒そうな雰囲気にコートのポケットに両手を入れてそういえば年が開けたのかと、なかなか久しぶりに外に出た引きこもりエルフは街を散策していた)

「……ん~?……」

(周囲に何がどう配置されているのかは目をつぶっていても分かるけれど、魔力感知の方はなにげに苦手なエルフの魔術師は、そんな自分でも感知できるほどの魔力の反応に近眼気味な目を向けて目を細めた)

「あの店か……」

(なにやら賑やかに、少年が商売をしている露天を見つけてそこに近づいて行って)

「……あの……見せてもらっても?」

(誰かと会話することが少なすぎて声が小さいが、それでも店主に声をかける。目が少し悪いので商品を見る目が睨んでいるみたいだけど怒っているわけではない)

アシュベール > ―――そんな風に、食品関係は文字通り飛ぶように売れた。値段も銅貨や銀貨でどうにかしてたのもあり、売れやすかったのだろう。
じゃら、じゃら。と手元の革袋に金銀銅、様々な色を持つそれらを纏め、何処かご満悦―――していたところで、こちらに歩み寄ってくるシルエットに気付き、顔を持ち上げる。

「……んー。」

魔力感知。こちらは逆に得意である。こちらに近寄って来るその存在の魔力は、文字通り長年積み上げられた強さを宿す。
数年ではない。数十、数百は刻を重ねただろう長寿族特有の魔力の持ち主。そんな人が、自分の店に声を掛けてきたというのなら。

「……どーもどーもー。うへへ。
 勿論、だいじょぶだよー。と言っても、今、店に並べてるのはちょっとしたものしかないんだけどねー……なにか、お探しのアイテムでもー……?」

当然のように受け入れ、シートに広げた道具たちを見せつけるように両手を広げた。
聖水をわずかに塗り込んだ事で破邪の力を持つ正月飾りと巨大な門松。
闇の魔力を宿す魔石とミスリルを織り交ぜ作り上げた、漆黒の魔剣。まがまがしい。
折り畳まれた和装。生地にトリックスパイダーの糸を編み込み、着色に虹色蝶の鱗粉を混ぜた事で高い魔力防御を実現。
薄ピンク色のタマゴ状の機械。―――所謂ローター。

ラインナップは、混沌としていた。

アイバーニア > 「……ありがとう……」

(そっけなく答えると並んでいる商品の前にしゃがみ込み。じぃっと視線を動かしてそれぞれを品定めしている。何に使うかわからなかったり、こんなもの街中で売ってどうするのかと言うようなものも並んでいて、一度首をかしげてから。温かい空気が出てくる機械や謎の機械、どれもこれもだ)

「……ここの品は、どこから仕入れたの?それとも君が作ったの?……」

(禍々しい魔剣の柄を手にとってみつつ。持とうとする、重い……諦めて戻した)

「……作った人は、いい腕してるね?」

(技術と研鑽をこよなく愛する習性のエルフは、人間でないかもしれないという疑いは持ちつつ、害がなければそこは気にならないので。)

アシュベール > 「どういたしましてー。」

しゃがみこみ、自分の並べたアイテムに目を通す彼女。
少々目付きが悪いように見えるが、その視線自体が真剣そのものだからこそ、特にツッコミをすることはなく。
確かに、こんな町中で売ってどうするのか。とツッコミしたくなるかもしれないが、この時間――仕事終わりにハッスルしたい!って帰り掛けのお父様とかには案外売れたのは此処だけのお話……。
売り物ではないが、ヒーターのお陰で彼女の体がこれ以上冷める事はおそらくないはず、で。

「あー、そーね。
 これは自作品。自分が創りましたー。うへへ…………あー。剣は重いよー。持つ時はお気をつけ……あがってすら、ない……?」

サイズ的には片手剣と両手剣の合間。おそらく肉体をしっかりと鍛えた騎士が持つようなそれだったのだが。
持とうとしただけで終わった。落下事故、不発。
 
「―――やー、そう言ってもらえるのは嬉しいねー。
 まー、こう見えて、お店構えててねー。出張販売中ってわけー。普段は貧民地区の店で売ってるけど、この時間とこの時期だと、こっちの方が、ってねー。」

アイバーニア > 「……へぇ……若くみえるのにすごいね……」

(一応、人間基準だと子供に見えるけど。人間じゃなければ何歳かわからない。けれど近づけば少しはわかる魔力の感じから、流石に自分より年上ということはなさそうとか推測するけど。そもそもこのセリフが一番似合わないのはこいつだ)

「お店やってるってことか……今度寄らせてもらうよ……あとこれ、いくら?……足りなかったら後で持ってくるから取り置きしといてほしいんだけど……」

(どうやら買うらしい、魔剣を指さして、コートのポケットから無造作に取り出したのは銅貨と銀貨と金貨が何枚か、お金の管理が雑なので、家を出る時適当にポケットに突っ込んだだけだが、割と金貨が多めだ)