2022/11/26 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区/ゴーストハウス」にドラゴン・ジーンさんが現れました。
ドラゴン・ジーン > 此処に正面玄関から足を踏み入れると恐ろしそうなゴーストが目の前に現れうわははは怖い者知らずの愚かな訪問者よ、もう此処からは出られないが精々出口を探してみるがいい運が良ければ脱出出来るかも知れないがその前に我々の仲間になっているかも知れないぞというオープニングメッセージから一字一句違わずにスタートする。
そして食器やナイフが踊るポルターガイスト現象で飛んで来たり怪物達が後を追い掛けて来たりゴースト達の舞踏会に紛れ込んだりこの館で起きた設定の凄惨な殺人事件の現場が、かいま見えたりするのだ。

そんな場所の為に一匹本物が混ざっても誰も気づかない。

ドラゴン・ジーン > 少し余裕ある裕福な層にとっては、恐怖とは娯楽であることもあるらしい。秋を越えて冬に一歩足を踏み込んだ時期になっても背筋の凍る体験を求めてこのエンタメ廃墟にやって来る者達は後を絶たない。ゴーストや怪物の絶叫に混在して吊り橋効果を狙ったカップルの叫び声などが割り込んで来るのが聞こえて来た。

今はこの館の主人が冒涜的なカニバリストで、憐れな犠牲者である来客たちを掻っ捌いて調理していたという設定の広い食堂のテーブルの上に横たわっていた。
周囲には経年劣化で色の変わらない血糊がばらまかれ、新鮮な内臓や死体が銀の食器に盛られている幻術がちかちか敷かれたテーブルクロス上に明滅している。

ドラゴン・ジーン > 此処最近は子供達に恵まれている、それも優秀な子供達にだ。
蛇体宜しく長い胴体を巻いている中心にはひっきり無しに甲高い鳴き声をあげている幼体達が蹲っていた。胎を痛めた、という表現は余り正しくはないが兎も角他者の遺伝子を採取した自分で産んだ個体たちだ。
それらを保護するように我が身で囲って温めながら、屋敷に出て来る実生物の蝙蝠や鼠を捕って給餌し。舌で舐めて触手や毛皮の毛づくろいのグルーミングなどを盛んに行っている。

ご案内:「王都マグメール 平民地区/ゴーストハウス」にソラムさんが現れました。
ソラム > 「なんだか...味気ない」

 刺激的な要素を求めてこのゴーストハウスに訪れて来たのは、黒色のコンバットスーツ一式に同色のコンバットブーツ。そして上からフードの付いた群青色のロングコートを羽織った人物。それも小柄な体格の少女だ。

 少女はロングコートに付属しているフードを被ったまま、ゴーストハウスの真正面から進撃を開始した。

 そこから先は、少女にとってはどこか退屈な時間となった。ゴーストハウスとはいえ、所詮は設定のみ。ポルターガイスト現象として飛んでくる食器やナイフは新鮮だが、それまでだった。

「(魔力もほとんど感じない...。)__期待外れ、だったのかな」

 フードの中に隠れた白銀の髪の毛からわずかに露出させた3本の漆黒の角から感じられる魔力特有の反応もないため、少女はボソリとつぶやく。

 どちらかというと、今回はハズレの類だったのかもしれない。

ドラゴン・ジーン > 「………!?」

目の前で繰り広げられるホラーショウも見た目だけで実害は無い。
展開される恐怖演出に紛れ込んでカモフラージュされ。
真に警戒すべき怪物の姿は悉くにスルーされ続けるだけに終わっていたが。
穏当に時間を費やしていたその只中に窺う気配に、不意に跳ね上がるように首が浮いた。
滅茶苦茶に興奮したように頭部に備わっている触角が暴れ出す。何か来ている。間違いなく凄い何かが。

故にその進軍の立ち入りがコケ脅しのショウルームを闊歩しているならば、その呟きからワンテンポをおいて部屋に繋がる扉がばたんっと開かれる。
子供達を置いていくわけにはいかなかったので数匹をその顎に咥えこんでいる状態だ。
つまるところはそのゴーストハウスの探索中において急に一枚の扉無効から明白に実体を備えている怪物が姿を現す。
角が魔力検知の機能を有しているならばまず微弱に反応するかも知れないのは、その触角だ。
『魔眼』なるものをラーニングした相手の正体を把握しようとする『魔力』が炯々と煌めきそこに佇む侵入者を見据える。予想の裏付けをする為の審査を行おうと、果たして何者か。

ソラム >  突然、少女の額に伸びた3つの漆黒な角、その間でパチパチと微弱ながら魔力の反応を示す青色の電流と火花が散る。

 つまり、少女の行こうとしていた道の先、あるいはその周辺で魔力を保有する何者かがいるのだ。

「......?」

 ふと、唐突な角からの反応に少女が気になったで、少女の視線にあるものが入ってくる。
 それは___扉だ。少女が足を踏み出した直後の出来事だ。勝手に開くのはポルターガイストでもよくあることだ。
 だが、その先の部屋から微弱ながらも魔力を持つ何かがいるとなると、話は変わってくる。

「ん...何...?」

 少女は少し気を引き締めて、背中に背負っていたバスターソードの柄に右手をかけながら、警戒をしつてその何かがいるであろう部屋を覗く。
 そうして、初めてのエンカウントが起こるだろう。

ドラゴン・ジーン > 「…………!!!!!!!?????」

対面した。覗き込んで来る赤い目とばっちりかちあう視線、視野。角。角。鱗!!ハッと息を呑み込むかのように全身が凍り付くほんの一瞬を数えた後に。
正体を把握した瞬間に触角の備える輝きがびかびかと眩く強くなる、感情に名前を与えるならば『凄く驚いた』だ。
最早発露される興味を一切包み隠す積りも無い。疑似的ながらに不定形の身体を寄せ集めて形成している大根ぐらいの太さの竜の四肢を張って、どたばたと先んじてその側にへと駆け寄ろうと。
強烈な衝撃に飲み込まれてまず攻撃する、という選択肢が一切に思考プロセスに浮かんでは来ない。人に良く懐いた犬が擦り寄るかのような空気で信用しきった、あるいは何も考えていない詰め寄り方で、その携えられた剣の間合いにまで踏み込んでいく始末。

ソラム > 「____!!」

 覗いた部屋の中から派手な音を立てながら駆け寄ってくる何か。____それは表面が絶えず流動し続けた、その身体のほとんどがコールタールのような粘液で出来た何かだ。

「敵...いや___!!」

 頭部からゼラチン状の触手が生えた、どこかドラゴンのような見た目を要した何かへ直感的に右手の力を込めて抜刀し振り下ろされる。

 そんな振り下ろされたバスターソードだったが、直後に角から流れ込んできた好意的な、それこそ、懐いた犬が擦り寄ってくるような感情を何かから感じたとき、少女は咄嗟に振り下ろしていたバスターソードの刀身へ腰部に近いところから生成した銀鱗に包まれた自身の尻尾を絡め、その何かへ当たる前に勢いを相殺する。

 そうして、何かへと振り下ろされかけていたバスターソードの刀身は、ギリギリのところで静止するだろう。

ドラゴン・ジーン > 「………!」

しかして風切りの風圧を頭上に感じた瞬間に半ばつんのめる。びた、と、立ち止まった。もしも相手が手心を入れてくれなかったならばそのまま『ドラゴン/ /ジーン』ぐらいの真っ二つになっていただろう。
先程とは違う意味で全身を緊張に凍り付かせる。だが、再起動までにはさして時間は要さない。

「………」

流石に自省した歩みは後方にへと後退り、少なくともその視野に確保している剣の切っ先の届かぬ場所にへと間合いを取り直しつつ。
眼球の代わりにアホ毛のように伸びている触角が、じろじろ代わりに繁々と見上げ仰ぐ。観察する、注視する。舐め回すように。
そして、じっと見つめているその内に、石炭色を呈しているその頭部部分に変化が齎された。その額に位置するであろう場所が不意に三カ所ゆっくりとこんもり盛り上がり、数えて三本の角の形を形成される。
そっくり相手にも備わっているその竜角の形状を真似するみたいに。但しながらにこちらは雷電を走らせる機能など持ち合わせてはいないし、その硬度も段違いだ。固めのカスタードプディング程度の柔らかさ。それをゆらゆら揺すっている。

ソラム > 「...あー...」

 やらかした。少女はバスターソードをギリギリのところで静止させた直後にそう思った。この出会いは少女自身にも完全に想定外だった。
 そうして相手の額にも自分と同じような角が3本、不意に隆起し、現れる。強度までは恐らく再現しきれてないだろうが、眼の前のなにかが少女の角を再現したのだろう。つまり______

「___ある程度は割れているのか」

 バスターソードを再び背中へ納刀した少女はそう言い終えると、被っていたフードを左手で取り払い、後ろへと持っていく。

 少女と何か以外、誰もいない状態で、少女は白銀の髪と首筋の銀鱗、そして改めて髪に隠れた額から3本の角を隆起させた。

「...一人なのか?」

 その場にリラックスする形で座り込み、目の前の何かへと声をかける。何かしらのアクションがあるだろうと、少女は踏んだのだ。

ドラゴン・ジーン > 「グル……」

くぐもるような唸り声。声に応じるかのように。しかし完全なる肯定ではない。口元に咥えている未熟な幼体達を浮かせて示すのはこの子達も居るという意味になる。
相手が剣を仕舞った所ではまだ動かない、その場よりまた動き出すのは膨れた瞬間の敵意が消えて落ち着き払った態度でその相手が座した所でだ。
昂りの感情を動きで表わし、長いゼリー状の尻尾をぶんぶん左右に振り立てつつ。
その座っている相手の足元にへとすりすりと擦り寄った。鼻面から顎の側面までを擦り付けるかのような身振り。犬というよりも猫のにおい付けに近しい。
ぷにぷにと柔らかいスライム不定形の感触は表面だけ乾燥してべたつかず、温かい水枕を押し付けているかのような。

「ぐるるるる………」

もう一度仰ぎ見る。角。鱗…。雌だ………。
遺伝子が凄く欲しいが、相手には隙が一切無いような気がする。
挑んだら絶対殺されるという本能の訴えが欲求を抑制する。
しかしながら此処で遭遇出来た縁を少しでも固く結ぼうとでもしているかのように、足元にその角まですりすりさせる。

ソラム > 「柔らかいな...それに温かくて擽ったい...」

 柔らかな感触を押し付けられながらも、少女は優しく相手へ手を伸ばし、頭を優しく撫でるだろう。
 ...ペットは優しく撫でてあげたりすれば嬉しそうにするとどこかに書いてあったような気がすると思いながらも撫でつづける。

「む...子持ちか。...少し待っていてくれ」

 撫でながら幼体たちを見た少女はそう言うと、背中へ意識を集中する。皮膚から溢れ出る自身の血液がコートの表面へと浸透していき、形を帯びながら隆起していく。

 その血液が凝固しながらも背中へ現れるは、一対の翼。しかし、翼とは言うものの、3つの爪があるため翼脚といったほうがいいだろう。

 その翼脚を器用に動かし、コートの内ポケットへと侵入させると、内ポケットから赤いきのみを束になった状態で取り出し、相手の手前へと置いていく。

「栄養は足りないと思うが、当面は飢餓に苦しむことはない...はずだ」

 相手が相手だからか、砕けた口調でそう話す少女だが、肝心の食性がわからないため、少女は幼体でも食べられる小さなきのみを取り出したのだ。
 そのきのみを食べれば、ほのかな美味しさと甘さが口の中へと広がるだろう。

ドラゴン・ジーン > 「……ゴロゴロ」

撫でつけられて気持ちよさそうに浮かせた喉を鳴らす、揺れていた尻尾がぴんっと突っ張るように一度震えて垂れ下がった。目の欠落した代わりに触角の光量が淡く減量する。自らもその掌に鼻面をぐりぐりと擦り付け、頭を押し付けるかのような身振りの合間に、顎はゆるんでほどけ、そこから降りてきた幼体達はもう地にへと降りている。
その授けられた果実にも喜んでありつき、触手が生えていたり、小さな獣のような毛並みであったり、種類が恐ろしく雑多なそれらはもう液状栄養だけではなく固形も食用可能であったので細かに齧り付き出していた。

「………」

翼、凄くいい、爪……。
模倣するかのように、目の前にした本物の竜種の羽の形をその背中に展開した。
そして同じように湾曲した爪を持っているそのコピー器官を相手の足元に寄せて軽くつかむように引っ張る。
揺らぐ顎の先で示すのはスプラッターな様相を呈しているテーブルの上だ。
次いでにぴょんっと相手の側から跳ね上がるとその示したテーブル上にへと乗り上がり。
そこに置かれているワインボトル…本物だ。それに尻尾を巻きつけ持ち上げると。同じようにテーブルクロスに設置されている本物のワイングラスにへととくとく注ぎ出す。木の実のお礼だとでも言いたげに。
いや、違う、さっき『鑑定』でその相手の輪郭の一部を知ったのだ。
この竜、あんまりお酒に強くないみたいだ。