2022/08/25 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区 繁華街周辺」にメイメイさんが現れました。
■メイメイ > 平民地区の繁華街周辺。
屋台や飲食店が昼夜を問わず開いているエリア。
そのエリアにあるオープンカフェ。
朝食には遅く、昼食には早いそんな時間ではあるものの、
夜に働いていた労働者や、朝が遅い仕事の連中、そしてサボりの学生などがたむろしている時間帯。
やや混みあってきていて、そろそろ相席になってしまうような状況のその店に、この辺りでは珍しい恰好をしている少女がいた。
少女の前にはカップが1つ。中身は紅茶。
そして、小さなケーキがもう一つ。
「朝から甘いものと茶。なかなかの贅沢よ」
そんな言葉を紡ぎながら、ケーキを一口口に運び、幸せそうな笑顔。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 繁華街周辺」にロン・ツァイホンさんが現れました。
■ロン・ツァイホン > パラソルが開き、その下に木製の椅子とテーブルが備えられているカフェ。
非常においしそうな紅茶やコーヒーのにおいが香り、その中で様々な種族や学生などが話している光景。
ほどよく席がこんな時間から混み合っている時間だが、だからこそそんな種族が入り混じる、この国ならではの姿だ。
空は晴れて、しかし空気はそこまで熱いわけではない。
一般的に、過ごしやすいような気温と湿度。
雲も程よく見られている。なんというか、平和や平穏がよく似合う空気だ。
そうして、贅沢な時間を過ごしている、珍しい少女にこれまた珍しい種族の大男が近づく。
大抵はもう少しヒトらしさがあるような種族が多い中、身長がひどく高く。
漆黒の鱗が特徴的で時折、頭にある2本の水晶色の角が太陽の光に美しく反射する。
そんなほぼほぼ二足の竜は少女とどこか似ているシェンヤン風の服を着ていて、その手には、今日の新聞が握られていた。
「すみません、相席よろしいですか?」
と、低い声で僅かに微笑みながら少女へと声をかける。
■メイメイ > そんなひと時を過ごしていれば、不意にかかる声。
ちらりと視線をあげると、そこには大男。
……男?いや、声からして男のはず。
ただ、その姿は人型ではなく、龍種のそれ。
多種多少の種族が暮らすマグメールとはいえ、珍しい種類であれば、周囲の客たちが振り返ったり、逆に視線を逸らしたりとしている事だろうか。
が、少女は右手に持ったフォークの先を咥えたままにじーっと男を見つめていたが、
口元意味深が笑みを浮かべれば返事を返す。
「構わぬよ。……お主のような存在にこの街で合うとは思わなんだが。
いや、シェンヤンでも珍しいか。下手するとわらわの同族に合うよりも珍しいやもしれん。
……とて、この街の生活を満喫しているようで何よりじゃ」
会話の中で手に新聞を持っているのを見てそんな言葉を紡いでいく。
そうしていれば、店員が一人、注文を取りに来るかもしれない。
■ロン・ツァイホン > 自身の声で顔を上げた少女の顔を、丸サングラス越しに見る。
緋色の瞳が自身を見上げて、黒を基本とした神官服を着る自分を見ていた。
周囲の人間も、ヒトらしさを残さないその男に興味があるようだった。
同時に、単にそのシェンヤン風の服もまた彼らからすれば珍しいモノだったのかもしれない。
あるいは、その怪しすぎる外見から畏れがある者もいるようだが。
「ふふ、ありがとうございます。いやぁ、人の姿になったほうが便利なのはわかるんですがね。
どうにも、自分が完全に人になるのが想像できなくて、ほぼほぼ小さくなった自分になってしまいましたよ」
ははは、と呑気に笑うその姿は、別に他の種族を下に見ているような気配はない。
男の方も少女の種族を分かっているだろうことをその言葉からわかるだろうか。
「まぁまぁそうですね、ここでは仕事も尽きませんし。
おっと、モーニングセット、コーヒーはミルクと砂糖1つでお願いします」
と、注文を聞きに来た店員へと注文を告げて、新聞を折りたたんだまま読み始める。
「それにしても、私としては同族を見るのも久しぶりですがね。
もしかしたらたくさんいるかもしれませんが、なかなか巡り合う機会がなくて」
■メイメイ > 紅茶を傾けながら男の言葉を聞いていたものの、
くすっと小さく笑いこぼせば少しだけ肩をすくめて。
「完全なる同族では無かろうに。
どちらかと言うと、僵尸と我らの中間であろう?
……とて、だから何だというわけでもないが」
特に気を害しているわけでもなく、敵対しているわけでもない。
ただ珍しいものを見た、という程度の反応。
そして、定義には結構きっちりしている方なのか、
そういう存在なのだろう?と向けた問い。
「シェンヤンでもそうそう見えるものでもなければ、この街で合うのもまずなかろうて。
こちらの龍種であるのならば、見えることもあろうけれども、同族と言うには少し違っておろうしな」
■ロン・ツァイホン > 鈴のような声の少女の言葉に、大きく一度頷いて、顔を上げた少女を見る。
「まぁ純粋かと言えば、そうではないでしょうしね。
生前ならいざ知らず、今では同族を名乗るのは烏滸がましいかもしれません。
まぁ、肉体的にはそもそもまったく別の種族ではあるんですがね?」
聞く者が聞けば首を傾げるような会話。しかしわかるのはお互いに「鼻」が利く者だけ。
さらに言うと、お互いの元々の種族が近い故にわかるというものだ。
「えぇ、そうですね。魂は同族のつもり、肉体的には僵尸と全く別の種族の中間。
いやぁこうして話すと私、とっても冒涜的な存在みたいな産まれ方してません?」
クス、とそう言いながら、気にするような声ではなく、話のネタとしての意味合いが強い。
「私はロン・ツァイホンといいます。お美しいあなたのお名前を聞いても?」
■メイメイ > 己の状況を認識している様子。
その説明を一通り耳にすれば、小さく笑いを溢してから
「わらわは木行ゆえ気にせぬが、他行やこの街の神職には見つからぬことじゃな。
ああ、見事なまでに生を冒涜した存在よ。
さりとて、そのような術を己に施せるものでもあるまい?
ならば、主はどちらかと言うと犠牲者よの」
とりあえず、死体が動いているので滅するー!などと言うような存在ではないので、
知ったからと言ってとりあえず放置することにしたらしい。
だが、自分以外が狩りに行く事もあるだろうからそれは気をつけろ、と付け加え。
「わらわは、美梅(メイメイ)じゃ」
問われれば名のみをそうして答えて見せる。
男が己をどこまで看破しているのかは興味はあるが、同時にそこまで気にしなくてもいいかと思う自分もいて。
■ロン・ツァイホン > 笑う彼女の声と姿を聞いて、どこか花のように感じる。
「ん-、これでも私、神に仕える側なんですけどねぇ、だーれもあまり信じてくれないんですよね。
あらら、そこまで言われてしまいますか……ちょっと悲しい」
そう言いながら指で目を擦って泣くような仕草を見せるが、全然泣いていない。
そこまで危機感を感じてはいないらしいが、同時に素直にその言葉は胸にしまっておこうと。
「まぁ犠牲者と言えばそうですね。死んで眠っていたところをたたき起こされたようなものです。
寝起きのテンションで思わずそいつの魂を食らって肉体を奪ってやりましたが。
そう思うと、立派な悪霊に近いですね私は」
まぁ元々悪霊として利用しようとしたのだから、そうなるのは必然だったのかもしれないが。
「メイメイさんですか、見た目通り、美しく綺麗なお名前です。
どうですか?時間があるならこのまま一緒にお茶なども……。
と、言っては見ましたが既にしていますね。その場合人間ならどんなナンパしてるんでしょう……」
■メイメイ > 「事実は事実じゃ。それはそれとして受け止める必要があろう?
受け止めた上でどう付き合うかは個々人次第じゃ。
故に、わらわはおぬしがそういう存在じゃとうけとめました、と伝えたまでじゃ。
別に、『生を冒涜した存在だなんて!なんておぞましい!私に近寄らないで、シッシッ』……などと言うつもりもないわ」
泣いていない様子なので、こちらも軽口の範疇ともう少し踏み込んだものの、聖職者の下りには流石に笑い声を上げて。
「ははは、おぬし、どの神に仕えておるというのじゃ?
シェンヤンのものであればむしろ片腹痛いわ。
三君の事を指すのであれば、仕えるというのは意味が違っておろう?
とて、マグ・メールに至りてから信仰に目覚めたというのであればそれはそれで面白き事よな。」
そこで言葉を切って紅茶を一口。
大男と小娘の会話にしては、色々ぶっとんだ内容なので、そろそろ周囲の客はついてこれなくなった様子。
だが、2人は特に気にした風もないだろう。
「霊を起こして怒られました。だからこいつは悪霊です、というのは違うとおもうがの。
言わば、食い逃げしたのに店主に殴られました、店主が暴力したので捕まえてください、と言っているのと同じようなもの。
自業自得じゃろ。
それともお主、生前から悪龍だったと白状するのか?」
目を細めて口元は笑み。
中庸を旨とする道士ゆえに、物事は是々非々でとらえていた。
「そうじゃな。茶はもうすでにしておるし、ついでに菓子も愉しんでおる。
……さぁのぅ。流石にわらわは男をひっかけたりなどせぬし、それは分からぬよ」
どうやらナンパしたかったらしい、と理解はするものの、これから男が何をするのかの方が興味が強くなったらしく、そんな返事となった様子で。
■ロン・ツァイホン > 「いやもう、全くもってその通りですねぇ。
自分の定義は自分でするしかありませんし、他人からの定義を受け入れるのもヨシではありますが。
やはり、そのうえで自分で定義するのが意志というものですしね。
あぁ、そんなこと言われてたら本気で泣いちゃってたかもしれませんね」
およよ、と泣く振りをしながら、聞こえてきた笑い声に顔を上げる。
「いやぁ、本当に昔の神ですよ。シェンヤンの方の。
ほら、まだ三君が確立されてた頃って他にも神とされるような者がいたじゃないですか。
今では文献や、そもそも三君が強すぎて誰も覚えていない。
そんな、信仰競争に負けた、名前と信仰を失った神ですよ。
まぁ、それはこの国においてもたくさんいそうですがね」
どこか、遠いものを見るような目で空を見上げる。
大昔のあの頃は、シェンヤンでも「神」とされる者はいたのだが。
今では誰もが知らない、誰もがわからない、記録を失っていることに憂いているのか、寂しがっているのか。
「おっと、その例はとてもわかりやすいですね。
確かに、悪いのは相手の方ですし、元から微塵も罪悪感を感じてませんでしたが、そう言ってくれると嬉しくなるものです。
……ふ、それは真逆(まさか)ですよ。昔は施しの精神でいろいろやってましたとも」
懐かしむような、しかし今ではそうではないというような風に語って。
「ん-、時間があるなら食べ歩き、といっても今食べたばかりですしね。
あぁそうだ、さっきから私のことばかりですし、それならメイメイさんのことも教えてくださいよ。
何が好きーとか、どういう趣味ーとか、雄の好みとか」
テーブルに両肘をつきながら、自分ばかり語っているのはずるいとでも言うように。
■メイメイ > 「定義は双方にあるものじゃろ?お主にはお主の定義があるし、わらわにはわらわの定義がある。
同じものを見ても、感じ方も答えも違うものじゃ。
まぁ、お主自身の定義を意志というのであらば、それはそれであっておるかもしれぬ」
そうこうしていれば、昔の神と告げるもの。
その辺りは少し難しい話になりそうだと理解すれば、笑顔だけ向けてそれ以上踏み込むのはやめた。
「ほほぅ、ならば悪霊などではなかろう。妖仙の自業自得じゃ」
真逆という言葉にそうとだけ返事を返す。
そして、これからの言葉を耳にしていれば、コロコロと楽しげな笑いをこぼして
「お主、欲が強すぎるのぅ。
欲に直結するもので惹きつけようとばかりしておるではないか。
わらわの事についての質問も、結局なおぬしの知識欲じゃな。
とて、欲は常に満たされるとは限らぬぞ?
……というか、1つ聞くが、お主……あまり女性と遊んだりなどの『おつきあい』の経験がないのか?」
最後の部分だけ、少し真顔に戻してじっと見つめた。
男性に敢えてこんなことを言ってしまうのはどうだろう、と自分でも思ったが、
ここをクリアにした方が次の話が早くなる気がしてきたので、
敢えてまっすぐぶつけてみた。
■ロン・ツァイホン > 「道理ですね。人が全く一緒の考え方や感じ方をすることもありますが。
それはそう見えているだけで本当は人にとっては違うというのも少なくない。
本当にその個々人の考え方なんて、人のそれまでの経験や知識にも寄りますし」
そう言って、運ばれてきたコーヒーにミルクと砂糖を入れて。
ティースプーンでそれらをかき混ぜながら、コーヒーの香りを楽しむ。
「自業自得なのはその通りですね。竜を甘く見た罰という奴です」
そう言うと同時に、コーヒーカップを手に持ち、口に運ぶ。
熱くて、苦くて甘い、香りを含んだその黒い液体を口に含み、ゆっくりと嚥下する。
ふむ、悪くない。豆もそうだが、淹れ方もとても良い。この店は当たりだと思って。
「欲が強いのは否定しませんけど、興味を持った相手の事を知りたいと思うのは当然でしょう?
そこに駆け引きやら何やらあるみたいですけど、私の時代だとこれぐらい
直球な人の方がモテたんですがねぇ、これも時代の移り変わりなんでしょうか。
…………し、失礼な。こう見えても結婚経験や子供だっていましたよ生前は」
そう、生前。今では既に価値観も常識も何もかもが違う時代の話。
要はこの男、まだこの時代の空気に慣れていないのだ。
ある程度はわかってきたが、それでもついつい昔の感覚に引っ張られている。
「…………まぁ、明確に恋愛をしたと言える人は、その…………0かもしれませんが」
そう、小さな声で目を泳がせる。
■メイメイ > コーヒーを飲む様子を暫し見ていれば、欲の下りの言葉を耳にして
「時代の移り変わりと言うか、元々昔から女性はそういうものじゃ。
『ガツガツ来るなんて、こわーい』とか、言われてしまうぞ?
……生前、のぅ」
やはり、と手繰り寄せた答えにたどり着けば、にんまりと少し悪い笑顔をした。
さらに続く言葉ににやにや笑顔が更に深まり
「龍種の結婚といわば、人の子を捧げられて嫁とするとか、己より強い相手に調伏されてものされるとかが多いからの。
ましてや、時の流れを断ち切られて時代が断絶しておるおぬしは猶更難しかったろうなぁ」
にやにやにや。そんな調子でしばし見つめていたが、くすっと笑い一つこぼして
「わらわもまだ年若い故にそこまで手練手管に長けている等とは言わぬが、お主よりは分かっておる。
今日はその辺り、少し教えつつ遊んでやろう。
……ちなみに、おぬしとわらわがいましているこういう会話も、デートの一種じゃぞ?
まぁ、初対面だからそうじゃないと思いがちだが、既に距離感はそんな感じじゃ」
小娘の姿が大男にお姉さんぶりつつ、最後に男にとっては衝撃の事実を突きつけたかもしれない。
■ロン・ツァイホン > 「うっ!」
グサッ、グサッ、とその言葉が自身の心に突き刺さる。
そう言われると、どうにも返せない。
なぜなら今までナンパして成功したことは、脅威のゼロパーセントなのだから。
自分でもわかっていたが、やはり自分のやり方はもう時代遅れであったらしい。
「そう、ですね……。庇護をする代わりに、そうして嫁を捧げてもらったり。
雨や豊穣、あるいは知識を与える代わりに、というのもひどく多かった。
龍種同士の場合は、そういう風に力でねじ伏せあってそれで合意を得るのが多かったですしね」
はぁ、とため息をついて同意を示すが、そこで彼女を見ればニヤニヤと笑っている顔が見える。
「なんと。自分にとっては年下ですがこの際そんなことは問いません。
是非教えてください!導師!」
と、人目に憚らず頭を下げるが。続けて受け取った言葉に顔を思い切り上げる。
「なん…ですと……!?これが、デート……。
確かに、会話してるだけで楽しい……同時にすでに、駆け引きは始まっていたということですか……」
狙い通り、衝撃を受けたような顔をして、同時にどこか、子供のようにうれしそうな素直な顔を見せる。
■メイメイ > 導師と言われれば、少し擽ったくもなるが、良い事をするのには間違いない、と少し楽しげに考えて。
龍種にもいろいろある。少女はいわゆる木行、花龍。
近しい感情は、愛情、友情、そして好奇心。
そういう点からも人の世界になじむのが早かった。
そして自分に近しい感情故に、男の空回りっぷりが楽しかったというのもあったのだが。
「元々龍と言うのはそういうものじゃ。
だから、あまり人の普通とは相いれぬ。
いうなれば、お主の龍まるだしっぷりも、人相手ではだいぶ減点じゃぞ?」
そうしておいて、最後のケーキを口に入れ、もぐもぐのあと飲み込んでから
「そうじゃ。距離感の近づいた相手がこうして二人っきりで話をするだけでもデートの一環じゃ。
それに、お主、ついさっき『人にとっては違うというのも少なくない』と言っておったろ?
それが分かっているのなら、お主がしたいからする、という思考から離れるのではないか?」
そして、最後にお茶を口にして飲み干せば、ニッコリ笑顔を向けて。
「慌てず、欲望にまみれず、縁を結び、願い、求めるも、追いすぎない。
相手を尊重し、互いに縁が強く結ばれれば、より深い交わりも待っておろうさ」
■ロン・ツァイホン > 間違いなく自分よりもずっと先達である彼女に、素直な尊敬の眼差しを向ける。
そこには打算もなにもない、純粋な感情。
意外と、悪意に晒されたことは少ないのかもしれないと思うぐらい、子供のような色。
まぁ、実際この世界においては彼はまだ価値観や常識が子供なのは疑いようはないが。
「確かにそうですね……私、こんなに時間間隔がきっちりしてるのこうなってからですもの。
人というのは、とても時間がきっちりしていて、そこに慣れるのに最初は苦労しましたね……。
いやぁ、それはわかってはいるんですが、そのぅ……。この方が体が動きやすくて……」
見た目による社会的信用や、好感度よりも、自分にとっての動かしやすさを優先するあたりがなんとも彼を表している。
「ふむふむ。二人っきりで話すだけでもデート……。
……。ふむ、なるほど確かに、その通りですね!
そうか、私はまだちゃんと人を理解できていなかったのか……」
ふんふんと頷いて、ニッコリと咲いた花のような彼女の顔を見つめる。
「慌てずに……急ぎすぎない、相手を尊重して……ペースを合わせる、ですか。
それは、きっと人だけではなく、それ以外の種族ともそうなんでしょうかね……?」
■メイメイ > 「そもそも我らと人とは時の流れが違うからの。
我らの1日は、生きる時間の京兆よりも多い数に割ったうちの一でしかないが、
彼らの一日は、生きる時間の万分の一程度じゃ。
時間の大切さがまるで違う。
それは分かるがな、わらわとて、一朝一夕で人の形に慣れたわけではないのじゃ。
なので、練習するのも良いと思うぞ?強要はしないがな。」
逆に、興味の方が強くなったから頑張ってなれた小娘も小娘ではあるのだが。
「別に、わらわであれば龍として付き合えと言うのであれば同じ感覚でつきあってやるぞ?
だが、せっかく人の街へと来たのじゃ、わざわざ龍同士のみで交わらんでもな。
そうじゃな……人型をした種族とは、大抵そうじゃな。
無論、彼らも個人差があるから、グイグイ来られたいタイプもいないわけではない。
だからといって、相手を尊重しないグイグイはだめじゃぞ?」
そんな会話をしながら、男の注文した品の様子をうかがっていた。
いわゆる、席を立つタイミングを見計らうという意味ではあるのだが、あえてそれは口にせずにいて。
■ロン・ツァイホン > 「時間の限られた部分が、我々と人の間では全然違いますからね。
昼寝のつもりが、気が付けば1年寝ていたなんてことも私たちの間ではザラにありますし。
今ではすっかりそうならないように目覚ましが必要ですよ私は。
ふーむ、練習ですか。まぁ、やるだけやってはみます。
これでも人の姿として妥協したつもりではあるんですがねぇ。
そういう意味で、そこまで人を模倣できたメイメイさんはすごい努力家ですよね」
感心したように彼女の容姿を見て、だからこそこうして今日、強く興味を持ったわけだが。
「そこまでは言いませんよ。それこそ、相手を尊重していないと言っても過言ではないでしょう?
相手のしたいことに自分も合わせて、そこに歩幅を合わせて、お互いの縁を深める。
……多分こういうこと、ですよね?あと私、いちおうTPOは弁えてはいるつもりですよ。
個人差ですか……。同じ龍(ひと)でも、あなたのように人里降りる龍もいますが。
そもそも人間を毛嫌いして人の姿を取るのも嫌がる龍もいますからね。
そこらへんは注意してるつもりです。たまに私の時代と同じ価値観のままの龍もいるのが笑えますが」
そこまで言ってから、ちょうどよくコーヒーを飲み終わる。
そうして懐から金貨を取り出して。
「メイメイさんの分は私が払っておきますよ。授業料のようなものです」
と、快く自分が支払うことを行う。
■メイメイ > 「人型が取れれば、意外と色々と巧く行くかもしれんぞ?まぁ、頑張れ。
そうかの?……強い興味を持ったら、そうしたくはならぬか?
……もしかしたら、これはこれで、わらわの特徴だったのかもしれんの」
気付かせてくれてありがとう、と付け加えた。
そして、龍同士の話にもさもありなん、と頷いて。
龍トークはお互いの共通項だからとても話しやすかった。
あるあるーみたいにひとしきり盛り上がって。
そして、男の注文した品もなくなれば、続く言葉に目を瞬かせ、
次の瞬間にはにこやかに。
「それはありがたいのぅ。わらわが一人で来た時また、ちょっとした贅沢ができるわ。
ほれ、今日は遊んでやると申したじゃろう?
付いてこい、ツァイホン」
はじめて相手の名前を呼んでから、支払いが終わるまで待ち、2人連れ立って店を出る。
その後他の場所へと向かって、今日は二人で色々遊んで楽しんだことだろう。
とて、学生の身分であるが故に、夜になれば帰ることとなり、寮に帰ってから友人に今日あった事を楽しく話をしていたら、『パパ活はだめでしょ』と怒られることになったのは、また別の話。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 繁華街周辺」からメイメイさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 繁華街周辺」からロン・ツァイホンさんが去りました。