2022/07/17 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区 災難な酒場」にグラスフィーエさんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 災難な酒場」にエレン・ローズマリーさんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 災難な酒場」からエレン・ローズマリーさんが去りました。
グラスフィーエ > 平民地区にありふれた感じのごく普通の酒場。
 少し前までは、とりたてて安くもないが高すぎもしない平凡な場所としての評判を得ていたのだが。
最近とある奇妙な女の来襲受けてからと言うもの、客足が微妙に鈍ったとの話もちらほらと。
 そして今夜・・・店にいる誰もが意識的に店の奥に視線やるのを避けている、つまりは件の女がそこにいるという証。

「はーい、おっじょうさーん。お酒お替りと、料理の追加お願いするッスー・・・」

 今しがた給仕の女性呼びつけたのが、話題の奇妙な女だろう。
 顔の造形は素で見ればまあまあだ。その気になれば娼館にいたっておかしくはない程度の作りではある。
 しかしそれを台無しにしているのが、顔の上半分を占めていると言っても過言ではない大きさの丸眼鏡。しかもあまり似合っているとは言い難い無骨なデザインの物。
 ならば下半分にと望みつなぐ者もいるだろうが、そちらは右耳から左耳まで顔の輪郭に沿って新月状に裂けていると言ってもいいだろう口のおかげで目線向けたくなくなるもの。
 体の曲線こそそれなりのナイスバディとはいえるが、その身を包んでいるのはどこで買ったのかと聞きたくなるような
白黒横縞のタキシードの上下。
 つまりは外見だけでもあまり関わり合いになりたくない感じで。
 更に皆が全力で関わり絶とうとするのは・・・

「ケーヒャッヒャッヒャッヒャッヒャッヒャ・・・いやあ楽しいお酒とおつまみ程癒されるものはないッスねえ・・・」

 どこから出ているのかと聞きたくなるような奇妙な笑い声。

グラスフィーエ >  呼び声に応えてやってきたのは、この酒場でも古株に当たる20代前半の女性。
 恐らく他の者は奇妙な女に近づく事すら嫌がったため、仕方なくだったのだろう証拠に女性の表情は客相手の商売としてはあるまじき『無』一色で。
 それでも声だけは愛想よく『ありがとうございます、何が宜しいでしょうか?』と尋ねているが、普段の彼女を知る古株などはみな同じ感想・・・『声が死んでる』と思うしかなくて。

「あ、どもッス。んじゃこのジンって言うの一瓶と、エビフライ?二皿にフライドポテトのお替り下さいなッス」

 奇妙な女も酒場の一種異様な雰囲気に気づいていない訳はないのだろうが、変な空気には慣れっこらしくさほど気にする様子もなく、朗らかに注文を重ね。
 一応は客である奇妙な女に深々とお辞儀をしてから厨房にオーダー告げに行く女性の背中には、長らく務めている店に対する愛着と精神の安定求めて辞めてしまおうかと言う葛藤が、恐らく女以外の全員に見て取れるだろう。

グラスフィーエ >  店の雰囲気が悪くなるからと、常連のうち血気盛んな者たちがこの奇妙な女襲ったのは
一度や二度の事ではない。
 そしてそれら全てが軽傷レベルで済んだとはいえコテンパンに叩きのめされたという話まであっては今はひたすら女と言う災厄をやり過ごそうと息をひそめているのも仕方ない所で。

「ん~・・・今夜はこんなもんスか。あのネタじゃさほど儲かった訳じゃ無いし、無駄遣いはやめとくッス。
すんませーん、これ全部でいくらッスかー?」

 どうやら此度の商売はあまりうまくいかなかったらしく、いつもに比べると心持ち少なめの酒量で勘定求める女に店の者たちや客のほとんどが『今日は終わりか』と内心胸を撫で下ろす。
 余談だが、店側が積極的に追い出しにかからない理由は、この奇妙な女の注文がそれなりに高額なものでしかも払いも悪くない・・・つまり笑い声以外は意外に上客であるという事実からではある。
 そうしてある意味店中の注目一身に集めていた女は、店中が安堵の溜め息に支配されている事になど気づいた様子もなく、金貨の山で支払い済ませるといつものように色街方面へと歩み進めて。
 その後は・・・酔客の笑い声と給仕の女性があげたのであろう高い笑い声が響くいつもの酒場に戻り。

ご案内:「王都マグメール 平民地区 災難な酒場」からグラスフィーエさんが去りました。