2022/06/03 のログ
ご案内:「メグメール 自然地帯 霧の森」にメイラ・ダンタリオさんが現れました。
メイラ・ダンタリオ > 湿度と霧

この空間は雨が降りやすい時期はさらにその濃さを増しそうな森だった。

霧の森 単純にそう呼ばれる霧が出やすくすぐに消えるわけではない。
濃霧というものはすぐ向こうの視界が白い靄がかかって何も見えず 自分の周囲 周りだけがはっきりとしている。

青白い明かりに照らされるかのようなその場所
それは白光でもなければ暖色でもない まるで異界に感じるかのよう。
見えるのは地面や草原よりも、生えている針葉樹の木の柱
そして向こう側に見える連なりは 黒い棒 というシルエットになっている。


其処に、メイラはいた。


「相変わらずこの森は鎧殺しですこと。
 貴族の血税で肥えた娘でも連れてきたら さぞかしダイエットできるのではなくって?」

腰には真っ直ぐとした鞘
右手には長槍を携えた黒い鎧
長髪を一条三つ編みでループさせた姿

その赤い瞳とギザ歯は周囲の これからメイラが引き連れている面々
狂気に浸かり 慣れてしまった者らにはっきり映る口元から出た冗句は ハハハ と笑みをこぼした。

中には雇われ者もいるだろう
どこまでこの霧の森で活躍できるか しかし、それはメイラ達とて同じこと。
ただ経験で言えば 土砂降りの中で争うのと大差はない。
黒真銀の下で蒸れる体がじっとりとしている程度のものだ。


   〘フンッ   フンッ〙


特徴的な鼻息 大きな鼻腔から出ているような音は メイラの腰の下から。


二足で立ち上がり、体を前に傾けた二足大蜥蜴。
伸びた口元と連なる牙 瞳の向こうでは鼻で嗅ぎ分ける匂いは 肉が近くにいると想起させている。


「鳴きなさい。」


メイラの一言 首を撫でてあげると、ギュタ ギュタ という鉤爪と四つ指の歩 そして




      〘ギュオッ   ギュオッ  ギュオッ〙


まるで太い弦を鳴らすようなその声は 捕食者だけが慣らせるそれ

馬は怯え 人は恐れ 獣は潜める声。

味方がまだマシなのは慣れという共にしている時間がまだあるからだろう。

メイラ・ダンタリオ > 霧の森 賊討伐

見えない中でいつ全員を仕留められるかもわからなくなってしまった内部。
クエストで放っておいてしまった結果 その霧の中で勢力が少しつずつ増えてしまったらしい。
少人数ではなく村一つを落とすだけの面子が集ってしまっているのならば
狩りに出向こうとする鎧持ちが現れても不思議ではなかった。

愛馬の、弦声が響く。
得体の知れない狩る者の声。
それは賊らの脚を鈍らせる。
抵抗ではなく逃げに行かせる 矛も牙も折ってしまう為の牽制。


ずちゃずちゃずちゃと足音
愛馬 馬ではない何かに跨るメイラ一同が、歩の歩みから走り出す。
跨る蜥蜴貌の鼻先が荒くなり、何かを嗅ぎ分けたようにそちらへと方向転換した為だ。

両耳を風を切る音。
二輪の速度と変わらないような身軽さ
木柱の間を通り抜け、足場の悪い場所を飛び越え 丸太をものともせずにいく。

馬もそれに倣い、青白い霧の中突き進むと 会敵する互い。
霧に向こう側では 黒い塊の群れと群れとして認識できるだろうか。

剣や斧の手勢よりも、弓持ちを厄介とするようにメイラの傍で同じ鼻先
轡を並べていた数人が弓を構えながら、その弦を引き絞り、離す。
通り抜けざまに 真正面に。
騎馬弓のそれは長く細い棒を弓持ちの体にはやさせていきながら、メイラは身を低くして走る段階を上げた愛馬と重なる。


「参りますわよっ!!」


ギォオオオオオオオオ―――!


弦声と重なりながら、ギザ歯と牙が開き、騎馬で武器を振るう側だけでの行動ではない。
長い槍の端を両手で握りしめると、大剣を振るう要領 大笹穂の穂先が愛馬の頭上を通り過ぎ、賊の首を 額を割る。


悲鳴 抵抗 阿鼻

霧の中で紛れて逃げようとする者らが出始める。
抵抗を続ける者らもいる者の、それは馬の間から現れた徒歩という走りの連中が連なることで
刃と刃をぶつけ合いながら 騎馬が乱した塊を確実に屠っていく。

青白い霧の中では赤いものも黒く映るだろう。
口から 腹から黒を沸かせながらの面子の中で、メイラは押し倒すように馬乗りになりながら
その腹部へ鉤爪を貫き、足の力で掻いた愛馬の上で、声を荒げる。


「ふ゛んっっ!!」


槍が突き刺さり、中空へ持ち上げられる肉袋。
それに対し、少し離れた場所にいる者へと力任せに筒槍を投げる要領でぶつける。
ミシリと力を込めた両腕と、穂先から抜けて離れ 投げられてしまった穴空きは転倒。
それを歩兵が次々と刈り取っていく。