2021/11/19 のログ
ご案内:「メグメール近郊」にアセナさんが現れました。
ご案内:「メグメール近郊」にテンタさんが現れました。
アセナ >  
己(オレ)は。
今、触手売りの少女と連れ立って。
メグメール近郊を歩いている。

知己の彼女が言うには、この辺りに貴重な薬草があるという話だ。
貴重な薬草……さぞ傷の治りが良いに違いない。

「冒険者として己が先行する」
「危険がないとわかる距離からついてきてくれ」

そう言って草原を漫ろ行く。
この辺りはトラップも多いという噂だ。
十分に気をつけねばならない。

テンタ >  
「あぃッス」

言われた通りに後ろを歩く。
目的の薬草をきょろきょろ探しながら。
危険感知を彼だけに任せておくのも申し訳ないので、袖やズボンの裾から触手を覗かせて周囲の危険を探りながら。

「うっかり変なもの踏まないように気を付けてくださいね。天然の罠とか多いスから」

アセナ >  
横目で彼女を見る。
美しい黒髪、ルビーを思わせる輝く朱の瞳。
控えめに言って美少女と言っていい。
だが。

触手と非常に仲がいいので己は彼女を魔族と疑っている。
人間に化けてる、同じ幼魔園の出身だったら気まずい。
絶対に己が魔族だとバレないようにしなくてはならない。

「己は冒険者だ、罠と向かい合って生きてきた」
「だから悪意なき天然の罠などに」

その時、足首に何かが噛み付いた。
あっという間に足から樹上に逆さ吊りにされてしまう。

「……な?」

どこぞの小鬼が仕掛けた罠か。
ぶち殺すぞ木っ端モンスターが!!
テンタの前で恥をかかすんじゃない!!

テンタ >  
視線に気付いて彼を見返す。
なんだろう、というように首をかしげて。

「まぁ、知らない仲じゃないので知ってるっスよ。アセナ君が冒険者ってことも――」

などと話しているうちに眼の前から彼の姿が消えた。
上を見上げれば吊り下げられた状態の彼。

「――割と抜けてるとこがあるってことも」

あっさりと罠に引っかかった護衛の同行者。
にゅるりと触手を伸ばし、彼の脚を掴む。
触手の反対側を樹に括り付け、罠を解除しても彼が落ちないように。

「支えとくんで脚の罠外しちゃってください。間違えてボクの触手傷付けないでくださいね」

アセナ >  
「………ぬ、抜けてる……?」

ま、まさか己が………そんな評価を受けてるなどと…
まぁ逆さ吊りで言っても仕方ないが。

「あ、ああ」

触手に支えられながら軽鎧の仕込み刃で縄を切る。
ゆっくりと触手に下ろされながら己は思った。
お姫様だっこだな、と。

される側になってどうする。

「とまぁ、こういう風に危険なのだ」
「気をつけて進もう」

誤魔化すように鼻歌を歌いながら先に進んだ。
なんか橋が見えてきたな。風雨にさらされてボロボロの石橋だ。

テンタ >  
彼が縄を切ったのを確認し、ゆっくりと地面に下ろす。
手で受け止めようかと思ったけど、流石に彼の尊厳を傷つけそうだからやめておいた。

「――そスね、気を付けるス」

誤魔化すような彼の言葉には敢えて何も言わなかった。
機嫌を損ねられて仕事に影響が出るのはちょっと困る。

「うわ、今にも崩れそうなくらいボロッボロスね」

これを渡るのはちょっと勇気がいる。

アセナ >  
「いや……渡る分には問題なかろう」
「叩いてから渡ればいいのだ」

石橋を叩いて渡る。いい言葉だ。
意味はわからないが響きが質実剛健。己に相応しい。

「む……この気配」

石橋に近づく。

「間違いない、これはトラップだ」

首に冒険者セットから取り出したロープをかける。

「希死念慮の橋だな……通りがかると死にたくなるという対人間種用トラップだ」

そのまま橋桁の近くにロープを引っ掛けた。

「気を強く持てよ、テンタ」

真顔で振り返りながら言った。

テンタ >  
「こんなオンボロ、叩いたら一発で壊れそうスけど」

それぐらいズタボロである。
彼がなにかしらに気付いて端に近付いていく。
きっと何かのトラップなのだろう。
こちらは谷底を覗きながら、うわーここから落ちたら流石に死ぬッスねぇ、なんて呑気に独り言。

「なんスかそのトラップ――」

そして彼の方を見て、

「いやアンタが気を強く持てェ!!」

叫びながら首のロープをひったくった。
この橋を直視するのはやばそうな気がしたから、出来るだけ視界に映さないように。

アセナ >  
「ハッ!?」

ロープをひったくられて正気に戻る。
お、己は何を!?
今、死のうとしたのか!! この魔族が!!
魔狼の末裔が!! 末代までの恥になりかねん!!

「フフフ……恐ろしかろう…」

冷や汗をダラダラかきながら橋から後退り、離れた。
かっこわる。

「ということになるからここは迂回するのが良いだろうな」
「何、夕食までには帰れるさ。元気を出せ」

げっそりした顔で迂回ルートに入った。

 
その後も、両側が押し潰そうと迫ってくる魔の崖や
ゴブリンの襲撃を受けつつも無事に薬草の繁茂している地を踏んだ。
……踏めた。

「……これか、ってこれは…」
「媚薬に使う薬草じゃないか? 地元にもあったぞ、たしかに貴重な…」

テンタ >  
「なにやってんスか、しっかりしてくださいよもう……」

げんなりした顔でロープを回収。
彼の言葉通り迂回することにしよう。
命が危険だ。
主に彼の。

「はー、あったあった」

そして目的の薬草の群生地にやっとこさ辿りついた。
ざふざふと薬草の群れへ足を踏み入れる。

「そスよ。触手の餌になったり、まぁボクはそう言う薬も扱ってるんで」

しゃがみ込んで薬草を摘み取っていく。
革袋に入れて触手に渡せば、鞄の中に仕舞ってくれる。
それを繰り返しながら。

「あ、アセナ君は近付かない方がいいスよ。ボクは耐性あるんでへーきスけど、花粉も割と強い媚薬スから」

アセナ >  
「しっかりしていたつもりなのだが」

やはり『つもり冒険』は危険だ。
罠がある『かもしれない冒険』でいこう。
冒険者協会の今月の標語のパクりだが。

「ほう、媚毒を使う触手もあるからな」
「ああ、わかった。手伝えなくて悪いな」

そう言う己の股間は立派なテントを張っていた。

「……手遅れ……か」

仁王立ちかつ仁王勃ちのまま空を仰いだ。
今日の己、カッコいいという言葉の対義語として辞書に載せられるレベル。

テンタ >  
「触手がいるんで、手が足りないって言うこともないスから大丈夫ス」

必要な分だけを摘み、立ち上がる。
後は帰るだけだが、またあの過酷な道中を引き返す――

「――なにやってんスか……」

手遅れ、という言葉。
それに続いて彼の股間を見れば、立派なテント。
思わず頭を抑える。
前々からほんのり思っていたがこの冒険者。
少しどころか割と致命的に注意力が足りない気がする。
良くこれで冒険者をやっていられるな、というレベルだ。

「もう……ほら、こっち来てください」

ぱたぱたと服をはたいて花粉を落とす。
そうしてから彼の手を掴んで引っ張って。
確かこの先に小屋があったはずだ。

アセナ >  
「なにもやってないんだ……」
「なにもしてないのに蛇口が壊れた…」

いわし雲 空へと伸びよ 聞かん坊。
平静を装うために一句詠んでいると、手を引かれて小屋へ。

「待て、己は今、歩きにくいんだ」

ヒョコヒョコと小屋に来て。

「まさか花粉だけでファイティングスタイルとはな…」
「知識を得た、冒険者としてまた一つ成長できる」

テンタ >  
「はいはいわかったっスよ」

なにもやってないは何かやったヤツの常套句だ。
とりあえず小屋に入り、荷物を下ろして手早く焚火を。

「まぁ別に命に別状はないスけど、半日ぐらい効果が持続するスからね。集中力も落ちるし、今日はここで一晩明かすス」

花粉を吸い込んだぐらいならムラムラするぐらいだし、何もしなくても効果が切れれば落ち着くだろう。

「――冒険者としてよりまず人として成長した方がいい気がするスね……」

主にドジっ子な点を。

アセナ >  
「……………」

人間はこういう時にどう言って感謝を示すのだったか。
そうだ、東洋産のフィクション小説で読んだことがある。

「いつもすまないねぇ」

と、咳き込むフリをした。
完璧だ。

「……いや、本当すまん」
「今日は足を引っ張ってばかりだ……」

猛省。テンタがいなかったら死んでいたまである。

テンタ >  
「なんスかそれ?」

東の方の文化には疎かった。

「別に構わないスよ。損したわけではないスし、死ななければ問題ないス」

焚火に鍋を掛けて持ってきた水を入れ、これまた持ってきた食材を放り込んで食事を作っている。

「ムラムラして我慢出来なくなったら言ってくださいね。一人でしたいんなら外出てますし、して欲しければしてあげるスから」

アセナ >  
「スモウ・レスラーに支援をする者をタニマチと言うのだが」
「落ちぶれた老タニマチが娘に世話をされる時に言う台詞だ」

あれ。なんかこれ……違うな?
人間の言葉は非常に難しい。

「水が欲しかったら言ってくれ、魔力を込めれば清水が出る石をこの前の冒険で手に入れた」

食事をテキパキと作る姿を眺めている。
いよいよもって役立たず。
そして続く言葉に耳を疑う。

「……してほしいと言ったらしてくれるのか?」

テンタ >  
「???」

何を言っているのかよくわからない。

「あ、それ便利スね。飲み水に使わせてもらうス」

魔力を籠めれば水が出る、というのは便利だ。
持ってきた水の量もちょっと心元無いし、ありがたく使わせてもらおう。

「ん……まぁ先に言わなかったボクも悪かったスから」

一緒に来てもらったのは自分でもあるし。
そう言うのも、まぁ、嫌いではないし。

アセナ >  
「これくらいしか手伝えないのは心苦しいが」

売れば莫大な金貨になるが。
この界隈で清らかな水が無限に使える便利さに負けて手放せないでいるものだった。

「………………………ええと」

立ち上がり。
頭を下げる。

「抱かせてくれ」

折り目正しく。それが流儀。
正直もう苦しくてたまらない。
下が張って破裂しそうだ。

テンタ >  
「十分助かるスよ?」

首をかしげて。
水が無限に使えるのは十分すぎるほどに助かる。

「――変なとこで律儀スね」

改めて言葉にされるとちょっと恥ずかしい。
無意識に身体を隠すように両手を身体の前に。

「ん、――まぁ、ハイ。抱かれます」

そうしてしゅるりと服を脱ぐ。

アセナ >  
服を脱いで、相手の頬に触れる。

「……多少、前後したが」
「己はお前のことを可愛いと思っている」
「行きずりで抱くことを許してほしい」

そう言って、二つの影が重なる。

秘めやかな時間が終わるのは。一体いつになるのか。

テンタ >  
「っ、そういうとこスよ」

急にそう言われると流石に照れる。
顔を逸らして寝転がり。

どういう抱かれ方だったのかは、二人と連れてきた触手だけが知る――

ご案内:「メグメール近郊」からアセナさんが去りました。
ご案内:「メグメール近郊」からテンタさんが去りました。