2021/10/19 のログ
ご案内:「九頭竜山脈 山中の温泉宿」にエレイさんが現れました。
エレイ > ──九頭竜山脈のとある山の麓付近にある、やや寂れた感のある小規模な温泉宿を、男は訪れていた。
ロケーション的に立ち寄りやすい場所ではあるものの、あまり目立たない隠れ家的な
建物ゆえか客は殆どおらず、人気もあまり感じられない。
食事を済ませ、ひとっ風呂浴びようと露天風呂まで足を向け、脱衣所で服を脱ぎ
タオル一枚を携え、浴場へと足を踏み入れて。

「いつもの旅籠の温泉もいいのだが、たまには違う風呂も楽しんでみるのが大人の醍醐味」

などと得意げに独り言ちながら、目前に現れた露天の岩風呂を眺め回す。
見慣れた旅籠のそれとは違う趣に、表情を緩めて。

「あっちよりは出会いの期待値が低いが、まああそこら辺はしょうがな──て、おや?」

その視界に、先に湯船に入っている人影を捉え、男は意外そうに目を丸めた。
てっきり自分以外は居ないものだと思っていたので驚きだ。
そう思いつつ、タオルを腰に巻くと湯船にゆるりと歩み寄って行き。

「……やあやあドーモッ。湯加減いかがですかな?」

と、緩い笑みを浮かべながら、片手を上げつつ気安く声をかけてみた。

エレイ > その後のことは、当人たちだけが知るところで──
ご案内:「九頭竜山脈 山中の温泉宿」からエレイさんが去りました。
ご案内:「王都郊外」にタピオカさんが現れました。
タピオカ > 秋晴れの1日が終わろうとしている。
昼間に雲ひとつなかった青空へ朱色が差し込み、そこに濃い群青が染みてくる。王都からほど近い、街道沿いの小さな丘からは連なる山の伸びる影がよく見える。

笛の音がする。
褐色肌の小さな人影が丘の端に腰掛け、夕日へ向かって奏でている。
ギルドでの依頼が見つからなかった今日はのんびり過ごし、日が暮れるまま気ままに横笛を吹いているのだ。

ゆっくりとしたメロディは小さな頃に教えてもらった曲。
凱旋の曲だ。
戦を終えた兵の帰還ではなく、父親や兄弟たちを労う曲。
とれた獲物を馬の鞍にひっかけ、炊事の煙が昇る家族の元へと帰っていく。そんなひととき思わせる、素朴な遊牧民の謡。

タピオカ > 曲を吹き終えると、満足げに背伸び。
日が暮れるのは早い。月日が流れるのと同じぐらい。

今日はいい日だった。明日もいい日になりますよう。
立ち上がって巻きスカートのお尻にくっついた下生えの雑草を手で払うと、日が暮れた方向へとお辞儀。

その先に一番星が見える。そろそろ王都のねぐらに戻ろう。
陽射しとは違うまぶしさに青緑の瞳を細めると、マントをしっかりと羽織った。腰のランタンに火を灯し――。

ご案内:「王都郊外」からタピオカさんが去りました。