2021/04/05 のログ
■ウォルスター > 「さようでございますか。まずは最初に…名を告げぬのは無礼というもの。ウォルスター・フォン・ミューゼル。単なる執事でございますよ。」
執事という自己紹介に間違いは無い。
ただし、王族専門の代々従者の家系の執事であり。
外見年齢相応の年月を王国に仕えており、自身もまた執事でありながら男爵位を賜っている。
あえて、こちらからは自己紹介を先にするものの。
少女の顔をちらりと一瞥した後は、もし自ら名を名乗ろうとすればこの場では静止させるつもりである。
「淑女が夜遊びをするにはこの街は品位に欠けますが、もし御身が散策に慣れていらっしゃるのでございましたら。この生い先短い老人を案内していただけますかな?」
胸元に手を添えて御辞儀した後、口元を穏やかに緩ませて案内を願い出る。
少なくとも、この場で語り合うには少々問題がある場所。
ましてや、王位継承権に関わり合うモノであれば無関係を装っても他者が勝手にいらぬ事をしてしまうのが権力の闇。
もし断られるようであれば、それでも構わないと。念の為に少女をお送りする為に。
視線で合図を送り、少女から遠い場所に居る見習いの一人に一応は馬車も手配させておく。
■セラフィールド > 「なるほど、執事……ね」
名乗られて、記憶を探るように目線が軽く宙を泳ぐ。言われてみれば、耳にした事があるかもしれないと軽く引っかかりを感じなくも無い。
しかし、これはといった情報も脳裏に浮かばず。詳細不明な相手といったところに留まり。自分の目で見たところが、ほぼ全て。
権力を振りかざすだけの無能な貴族とはかけ離れた有能性を感じ。そこはかとなく、感じる危険な気配からして無能とは程遠いのだろうとは思うが具体的にはよくわからないというところ。
ただの執事なのかと、疑問を孕んだ目つきで品定めするように眺めてしまい。
「わたしは……いえ。いいわね。慣れているというには、まだまだ不案内な所も多いけど、この街の商人にも知己は何人か。
お眼鏡に適うかはともかく、お望みとあらば紹介いたしましょう」
名乗られたならばと、自分も名乗りかけて小さく首を振って取りやめ。
本当に老い先短いのかと、老いの衰えを感じないのだけどと相手を眺めて。望むのならばと、裏の顔で繋がりのある奴隷商へと客として案内しましょうと頷き。
大きな商会ではないけどもと、つけ加えながら少しばかり離れた場所を口にして、わかるかしらと小首を傾げ。
■ウォルスター > 「―――ククッ…いえ、失礼。先触れは出させていただきますが…さて、少し歩きますか。」
少しだけ笑い声を零してしまいながら、娼館の横の路地裏を抜けるように少女のペースに合わせて歩き出す。
歩いて行く方向は少女の教えてくれた奴隷商なのだが、路地裏を近道として抜けるように歩いて行き。
人の気配が途切れた所で、背後からついてくる執事見習い達に見張りをさせて会話を再開する。
「さて、先程は失礼いたしましたね。さる御方からの願いで、時間をかけても良いから埃のついていないメイドがご所望との事でしたので「商品」を探していた所なんですよ。この意味は…アナタにも、ご理解していただけるかと思いますが…?」
さる御方―――と言葉を濁すが、相応の上の地位にある人間というのは明白で。
もし、この事が他へ知られてしまえば…大量の奴隷が老人へと送り込まれる事となり。
その奴隷がいずれかの敵対派閥の息のかかった間者である事は明白で―――安易に想像できるだけに、非常に面倒な話である。
そんな会話をして路地裏を歩きつつ、少しだけ歩くペースを変化させ少女の背後へと移動する老執事。
「そうそう、一つ気になったのですが―――お嬢様は、私の敵ですかな?」
すーっと、瞳を細めながら。
艶やかな銀髪の向こう側で見え隠れしているコルセットスカートのさらに向こう側。
人間を装っているが、魔性の匂いがやけに気になってしまい。
その蠱惑的な臀部の上部分、魔のモノであれば尻尾付近のある箇所を武骨な指に魔力を込め。
五指をぐぃ!と食い込ませるように鷲掴みにしようとして―――。
■セラフィールド > 何かおかしい所があったのかと、笑いを溢す相手の様子に不思議そうな顔をしたものの。特に突っ込むところでもないかと流して、歩き出す。
方向自体はあってはいるが、人気の乏しい路地裏を通じて近道といった道のり。
そして、人の気配が無くなったところでおもむろに振られた会話の内容に、そのような要望にまで応えないといかないとは宮仕えの辛い所ですねと同情の目線を送りつつ。
「その御方が何方かを詮索するつもりはないわ。でも、埃がついていないメイドにふさわしい商品となると、さすがに数は揃えられないんじゃないかしら」
埃がついていないだけならともかく、そのお方とやらはメイドに容姿も求めているでしょうし。それを踏まえて、『商品』を用意するとなるとさすがにハードルが高いので難しいでしょうねと言葉を紡ぐ声には同情の響き。
メイドひとり用意するにしても、色々と面倒そうなのはともかく。その苦労を押しつけられている執事さんには同情しかないと、他人事故にどこか愉しんでいる雰囲気も垣間見せ。
そういう政治的な面倒さも愉しめるのが、権力者の資質かしらねとちらりと思う。
「あら、紳士的だと思ってたのに不躾ね。乙女の体にいきなりなんて……ね?」
背後へと位置を取ったかと思えば、お尻のすぐ上。魔力を込めた指先で鷲掴みにしてくるその行為に、本性に気づかれていたのかと軽い驚きに足を止めてしまい。背後へと目線をやりながら、バレているのならと魔族としての姿を現して、角を生やして、髪の色合いも漆黒へと染まり。
男の手に引きずり出されるように姿を現した尻尾が、嗜めるようにうねってその先端で男の肌を叩く。
「敵かと問われれば、どうかしら。味方ではないとは思うわ」
敵か味方かと争うほどの関係性はまだないでしょうと、首を傾げる。これで相手が、聖職者。あるいは、忠実なる王国の騎士とかであれば敵かもしれないが。
この都市に『商品』を買いに来るような手合いが敵かというと、どうなのかと。
■ウォルスター > 「淑女が護衛も無しで夜の奴隷市場を歩き回る。他家の執事と思われる姿の人間を観察していた。疑うな、というのが無理では?」
顔に多少の覚えはあれど、同一人物かと問われれば疑問に思うのも仕方の無い話で。
この都市では多少の油断で、一気にその身を売り払われていくのは珍しくも無い話だ。
その為にわざわざ、このような都市にまで足を延ばして執事見習い達に勉強をさせている理由であった。
ましてや、見た目では普通の人間を装っていた少女が変化すれば。
最初に行うべきは敵か味方か、もしくは利用できるかどうかの見定めである。
尻尾の先端で肌を叩かれた後、その尻尾をまるでワイングラスでも持つようにつーっと指の間に挟ませて先端の方へと滑らせ。
その先端部の感触を、親指の腹で押すようにして感触を確かめていく。
「種族を差別するつもりではございませんが、このように隠されていては乙女という前に刺客を想像しますよ。それに私は自己紹介をしたはずですよ、フォン・ミューゼル…つまりは、爵位を持つ執事とは王国の影であり。言わば日常業務の一環でございますので。疑わしきは処罰せよ―――私共はそういうモノです。」
瞳を細めながらも、忠誠心は無いが「仕事ですから」と少女の尻尾からは手を離さず。
とりあえずは、少女が本人にせよ偽物にせよどうやって情報を引き出そうかと思考を巡らせる。
不意に視界に入るのは路地の向こう側―――先程の試食をした「商品」が、どうやら老執事の後で人気が出たのか。
こちらの路地にまで、やや遠くから獣の遠吠えのように聞こえてくる嬌声が響いてきていた。
路地灯りの向こうでは、どうやら男達が群れとなって「商品」の試食に励んでいるらしい。
「せっかくです。この都市の流儀で…少々、淑女には手荒……は、私の好みではございませんので。優しくお尋ねしたく思いますが……自己紹介をしていただけますかな?」
少女の尻尾へと、笑みを浮かべながら魔力をたっぷりと送り込むように刺激を与えつつ。
尻尾を大きな手で握ったまま、その尻尾を幾度も指先で弄びながら訪ねた。
■セラフィールド > 「あぁ、それは……わたしが、迂闊でしたわね」
ひとりの方が余計な煩わしさが無い。
その程度の軽い理由で、ひとりで出歩けるほどこの都市は治安が良くない。己の容姿が優れているとの自覚はあり。その商品価値の高さから、油断ひとつで攫われ売り飛ばされても不思議ではない。
そこらの相手ぐらいであれば身を守れるとの慢心が、不自然な無防備さになっていたかと納得して頷き。困ったわとばかりに、頬に手を当てや悩ましげな表情を作る。
乙女の柔肌を思わす滑らかな肌触りの黒い尻尾は、その表面を滑りゆく指先の感触がくすぐったいとばかりにうねり。その先端は硬質なゴムのように押し込む指先に抵抗する。
「いえ、ね。隠しておかないと、余計な騒ぎが起こりますでしょう? それは、わたしの望むところではないので。
しかし、そうですね。名前を聞いて、思い当たらなかったところは不勉強でしたわね。わたしとしては、疑わしいというだけで罰せられては堪りませんので、相応に対処させて頂きますが……」
角やら尻尾。場合によっては羽根まで伸ばして、街中を歩いていたりしたならばどんなことになるか。ミレー族の亜種として捕まるか。亜人として対応されるか。魔族として狩られるか。なんにせよ、ひと騒ぎが起こりそうと嘆くように首を振り。
悪戯めかした眼差しで、処罰として攻撃してくるのなら相応に反撃しますわよと無抵抗に降伏するような意志はないと示し。
意外と敏感な尻尾を弄られ続けて、微妙に背筋がゾクゾクするようなと感じているようでそうでない。そんなむず痒さに、離してとばかりに強めに尻尾をうねらせ。
「あら、手荒に来ても構わないわよ? それで、貴方がどうなるかはしらないけど。そうね、とりあえずはセラと。ひっそりと、人の中に紛れて暮らしている美少女魔族とでも」
遠く聞こえてくる獣のような嬌声。どのような光景が演じられているのか、思わず想像させられる激しい嬌声。
そんな物を背景に、この都市の流儀で優しく尋ねるとかいわれると先ほどから弄られ続けている尻尾が気になってしまう。
手荒に来ても対処して見せるとの自信を垣間見せる台詞を口にしつつ、言葉を紡ぐ声の調子がわずかに乱れるのは、尻尾への刺激とタイミングが同期していて。平然とした様子の表面と裏腹に、与えられる刺激を無視ししえていない。
ご案内:「奴隷市場都市バフート 奴隷市場」にセラフィールドさんが現れました。
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■ウォルスター > 「ふむ…まぁ、とりあえずは……少し、人の気配が気になりますね。」
パチリと指を鳴らせば、ゆっくりとだが周囲の闇が濃くなってくる。
そして、そのまま闇夜の中へと溶けていくように姿を消していくのだった。
ご案内:「奴隷市場都市バフート 奴隷市場」からセラフィールドさんが去りました。
ご案内:「奴隷市場都市バフート 奴隷市場」からウォルスターさんが去りました。