2020/10/07 のログ
ロイス > 最初の内こそ、『下心に慣れるも訓練』と言った感じだったのだが、思ったよりも彼女が人気者だったのが計算外であった。
流石に、『ゆっくり食事ができない』と言われれば、方針を早期に転換せざるをえなかった。
勿論、金の問題もあったが。

「勿論、君が作ってくれるというのなら大歓迎さ。
出来合いのものばかりじゃ栄養が偏るしね。勿論、俺だって美味しいもの食べたいし」

と言って、男はさて、店かと考える。
一応、普段使う通りなので、店は大体覚えている。
特に、肉屋は保存食である干し肉を買うので、ちょっとした常連で。

「それじゃあ、まずは直ぐそこの肉――」

屋、と言おうとして、男は苦虫を噛み潰した顔でその更に奥の八百屋を指差す。
何故、わざわざ奥から指差すのかはフリージアからは解らないだろうが、まあ理由があるのだ。
――そこの主人が、少しばかり噂好きという理由が。

「――八百屋から行こうか」

と言って、先に穏やかな老夫婦が営む八百屋に、彼女を連れ出すのだった。

フリージア > ロイスの言うことも一理はあると納得はしたが…思いのほか変に声をかけられいい思い出はなく。
お願いに素直に応じてくれたことにむしろ感謝をしたのはつい最近。

「本当に?それなら腕を振るうよ。
栄養は体を維持するのに大事だし、味も保証できる」

頭に簡単に出来て美味しいものと幾つか思い浮かべ。
後は店の選択はお願いする事。

「そこの…?」

言いかけたと思えば急に苦虫をつぶしたような顔になると何がと不思議に思い。
一体何がとロイスと肉屋を交互にと見てしまい、その時に店主と目が合った気がして。

「そっちの方がよさそう」

干し肉ではあるが部屋にあったのは確認をしている。
なのでその意見に異論はなく、連れられて老夫婦が営む八百屋へと向かい…。

そこをいくつかの野菜を購入したのを皮切りに、雑貨屋で調味料や薬草、酒場でワインなどを購入し。
気が付けば結構な量になった荷物をロイスに半分持ってもらう事となり。

「これで…しばらくは大丈夫」

結局お金は使ってしまったが、その顔には満足という色が浮かんでいて。

ロイス > 残念なことに、男には栄養価や冒険者としての食材の選び方の知識はあっても、根本的な料理の知識がない。
だから、基本的にはフリージアの後ろについていく形で、お金だけを出していた。
流石に、これではあまりにも情けなさすぎるので、荷物を全部持とうとしたがそれはフリージアに躱された。

「(な、情けねえ……)」

心なしか、買い物中の奥さんの目が冷たかった気がする。
食材を迷うこと無く籠に挿れていく少女と、手持ち無沙汰にそれを見守る男――傍目からどう映っていたのか、余り想像はしたくない。

「それじゃあ、一旦帰ろうか。
少し時間は早いけど、少しゆっくりしてから料理に取り掛かりたいだろうし」

そう言って、男は一度家路につく。
敢えて先を歩くのは、いざという時彼女を守るためと、せめてもの見栄である。

フリージア > 魔術の研究がてらに覚えた事ではあったが役に立つなら嬉しい事。
全く判らない土地で親切にしてくれた彼にせめてもの恩返しも出来るとつい張り切ってしまう。
そうして色々と必要なものを買いそろえるがお金だけ出してもらうのは実は罪悪感。
なので荷物だけは半分は持つことにして。

「ロイスの顔が効いたから。安くそろったよ」

周囲の視線は変な気はしたがお陰で値段よりも安く変えた気がする。
それをあなたのお陰と微笑と思うに俺をつげて。

「そうしよう。この荷物で散歩は無理だから。
一休みしたら…美味しいの作るよ」

帰ろうという意見にそうしようと賛同。
先を歩く後ろをついて歩くのだが、それも悪くないなと頬をほころばせていて。

ロイス > 「……ま、まあ、役に立ったなら良いんだ、うん」

尤も、効いたのは自分の顔というより、フリージアの綺麗な顔だと言う気もするが。
しかし、そんな疑問も、少女の心からの微笑みを向けられて溶けてしまった。
美人は得というべきか、いや、この場合得をしているのは……

「(いかんいかん、何を考えてるんだ俺は。
相手は遠い国からの漂流者だぞ。そういう気持ちを抱いたら、あっちの方が面食らうって)」

頭を振って、少女の前を歩く。
残念ながら、恋愛については百戦錬磨どころかド素人の男に、この機会を逃さず距離を詰めるのは少しばかり難しすぎた。

「そういえば、今日は何を作るのかな――」

気を紛らわせるために、少しばかり饒舌に、会話をしつつ、今日も男は"親切な冒険者"として、少女を紳士的に保護するのであった。

ご案内:「ロイスの部屋」からロイスさんが去りました。
フリージア > 「私、お世話になってばかりだけど?」

役に立つ処か色々と助けてもらっている。
だから本当にありがとうと軽く頭を下げて。

そうして何故か頭を振っている姿を不思議そうに見る。

「スープとか…どう?」

そんな話をしながら親切な彼のお世話に今はなっていて…。

ご案内:「ロイスの部屋」からフリージアさんが去りました。