2020/09/17 のログ
ご案内:「図書館」に獣魔目録さんが現れました。
獣魔目録 > ――…おぞましき欲望をこめた或いは無尽の知識を綴られた魔導書を人間に読ませるために、その手に委ねる為に今日も魔導書の化身は書架を整理する。

彼の名は白紙の魔導書。
魔導書として魔力を籠められた1冊の白紙の書。
製作者はその魔導書に一片の文字を綴る事無く命を絶ったか、それとも魔導書を破棄したか理由はわからない、ただ結果として白紙の魔導書として此処にいる。

一切の記述がなければ魔導書としても価値はなく、こうして受肉することも出来ない、筈であったが読み手を誑かす魔導書や淫らな悪夢を見せる魔導書達から僅かな魔力を得てる事で受肉している――…全ては魔導書たちの願いを叶える為に。

特に中心核となっているのは魔獣の皮で装丁された1冊の魔導書である。

名は『獣魔目録(じゅうまもくろく)』
大陸に住まい魔獣で一目でも人間の目に止まった魔獣であれば全て記載されているというその名のとおり魔獣に特化された魔導書。

手にしたモノは獣魔目録に記述された魔獣であれば必ず一度は魔獣と交渉することが出来る、手にしたモノが必要としている魔獣の情報を得ることが出来るという希少な魔導書の中でも特にレアなモノで、その分魔導書に籠められた魔力は膨大であり、1冊の魔導書に意志と肉体を与えることは非常に容易い。

結果、その魔導書を必要とする人間を見つけるために白紙の魔導書はこうして本に携わる仕事をしながら、知識と力を求める人間を捜し歩いている――…今夜は解読依頼を受けた本を司書が座るべき図書館のカウンターに座り、司書の真似事をしながら、解読中である。

獣魔目録 > 白紙であるが魔導書である。
同族で自分より位の低い魔導書であれば解読などお手の物。
自分より上であっても獣魔目録より下であれば力を借りて解読をする。

古い言葉、言葉にもならぬ文様、何もかも現代の言葉に置き換えて、魔力のないただのノートに書き写していく。
手には硝子で出来たペン、インクも勿論魔力のないもの。
でないと、書き写している内に発動しかねない。

さらり、さらり、さらりさらり、と静寂支配する図書館にペンを滑らせる音だけが聞える。

しかしである。
本命はこんな事ではなく魔導書を人間に読ませる事である。
無記名の小説、獣魔目録とはまた違った動物図鑑、諸々。
それらは全て手元にあり、何時でも訪ねてきた人間に勧めることが出来るように準備をしている。

中には多少渡すのが危険な本もあるが、それで何か起きても自分の知る範疇ではないので、当然望まれれば貸し出す心算である。

――…しかし今夜は静かだ。
自分のペンを走らせる音以外は何も聞えない。
己の『呼吸音』すらも……。

ご案内:「図書館」にシシィさんが現れました。