2020/07/05 のログ
ご案内:「薬屋のテント」にタン・フィールさんが現れました。
■タン・フィール > 王都の自然公園に、許可を得て設置された小屋ほどの大きさのテントは、知る人ぞ知る少年薬師の住宅にして、店舗でもある。
そのテントの前では、公園の空き地に焚き火を組んで、くつくつと鍋で薬湯を煮込む少年店主の姿。
冒険者や商人、軍人や娼婦などが様々な需要を求めて訪れる、なかなかに粒ぞろいの品、
どのようなリクエストの薬にも柔軟に応えるその腕前は、近頃ちょっとした評判になっていて、
まずまずの薬の売れ行きと、気の良い大人たちに褒めてもらい、感嘆してもらえた少年はご機嫌で薬の仕込みをこなしていた。
「イモリのしっぽに、妖精の羽根、アメーバキノコと~♪
…ええと、サキュバスの、…その、えっと…サキュバスの、アレ~~……っ♪」
少年はくるくる小躍りしながら鼻歌交じりの適当なメロディで、
手際よく冒険者の心身を支える薬を下ごしらえしていく。
…途中、ちょっと歌詞にしにくい材料があったのか、誰も聞いていないであろうにもかかわらず、
ごにょごにょとあやふやな歌詞にしてごまかして…
公園の一角には焼き肉に桃汁を垂らしたような、
妙にジューシーで熱気のこもる香りと、
怪しげな桃色の煙が立ち上る光景で。
ご案内:「薬屋のテント」にソラムさんが現れました。
■ソラム > 「......ん」
王都の自然公園にふらりとやって来た彼女は小屋ほどのテントを見つけると少しだけ首をかしげる。
元々お気に入りスポットでくろいでいた彼女だが、テント等初めて見たもので、かなり警戒するが、スルーすることにした。
結果がどうなるかはさておきの選択だった。
■タン・フィール > 「よーし、このお薬の準備は、これでおっけー…っと。
…種族によっては、えっちな気分になっちゃったり…タイヘンなことになっちゃうから、気をつけなきゃ」
甘い香りは、自然公園の外気へ風に乗って運ばれて、わずかに警戒を見せた女性の鼻孔をくすぐる。
その香りには、少年と波長の合う者を引き付ける、一種の媚薬や誘引剤のような効果も含まれていて、
もしも少年と、肉体や精神の波長が合えば、ふらりふらりと、無意識のうちに甘い匂いに誘われる可憐な蝶々や、
あるいは獲物の血肉の匂いに誘われる美獣のように、
竜の因子をもつ相手をテントの中へと誘うだろう。
■ソラム > 甘い香りが鼻孔を擽り、本能的に視線をテントへ向ける。
「......甘い、匂い」
そう呟いた少女は無意識でテントへと足を向ける。
甘い香りに誘われるかのようにそっとテントの中に足を踏み入れる。
■タン・フィール > 「あ、おきゃくさま? いらっしゃいませーっ!」
テントの天幕が開けば、少女のように華奢な少年がとてて、と裸足のまま駆け寄ってにこやかに迎える。
裸の幼い肢体に、桃色のシャツを一枚羽織っただけの格好で、
手には、少女の鼻孔と神経を刺激する、甘辛い香りのジャムのような薬瓶。
本能のまま来店してきた相手を見上げながら、微笑んで少年店主は接客を続けて。
「ええと、ぼうけんしゃさま…ですか?
何か、ほしいお薬でもありますか? 傷薬、毒消し、麻痺薬…
魔物の誘引剤や、媚薬に変化薬まで、なぁんでもごようい、してますよ♪」
と、店を案内すれば、そこには家庭でも使える胃腸薬のようなものから、
冒険に必須な上質な薬類…そして夜の生活を彩る様々な媚薬の類まで、さまざまな用途の薬瓶が並んでいて。
■ソラム > 「あ、ええと.....何か甘い香りをかいで.....気がついたら此処に入っていたんだけど.......」
途中から記憶があやふやで、そう答えると背中の巨剣の柄に触れ、
「冒険者....じゃないよ」
苦笑ぎみにそう言葉を紡ぐ。
■タン・フィール > 「―――ふうん、冒険者さまじゃないんだ。
おっきな剣! へいたいさんかな?
ああ、これ? いまね、カラダとココロを元気にするお薬、つくってたの、ひとくち、いる?」
と、人さじ、木のスプーンで瓶のジャム状の薬をすくいとって、
まるで気のいい定食屋の主人が、客にソースの味見をほどこすかのような気楽さで一口分、いかがかと差し出す。
見た目や香気に、有害な気配なはく。
もしそれをひとなめすれば、体力や魔力が減退していたならば回復し、
すでに充実していたならば、限界値が上がる癒しの味となるだろう。
副作用としては、生身の人間ではない場合、その体に宿した魔物や獣の因子が強大であれば、
心身が高ぶりすぎ、火照り、疼いてしまう可能性があるくらいで…。
■ソラム > 「....じゃあ、貰っとこう.....かな」
そう言うと木のスプーンに乗っかったジャム状の薬をペロッとひとなめする。
「......甘いね、これ」
口一杯に広がる甘みと時折鼻を擽る香りにそう言う。
「.....すみません。椅子とか座れるものは.....ありますか?」
少ししてソラムは少年店主に聞く。少しずつだが、体が火照り始めており、頬が少しだけ赤くなっていた。
■タン・フィール > 差し出した蜜をひとなめして、甘い、というコメントににこにこして反応しながら、少年店主は続く要望にうなづいて。
「はぁい、ええと、それじゃあ…こっち、
お店の奥のほうに、くつろげるスペースあるから…こっちきて、すわる?」
と、赤らんだ頬の相手を見上げ、そ、と小さな手を差し出して、
彼女がそれをつないだら店のほうまで案内していくことだろう。
ご案内:「薬屋のテント」からタン・フィールさんが去りました。
ご案内:「薬屋のテント」からソラムさんが去りました。