2020/06/07 のログ
ご案内:「九頭竜の水浴び場 マッサージ室」にエレイさんが現れました。
エレイ > ──温泉旅籠内の、主に宿泊客向けに用意されたサービスの一つが、このマッサージ室である。

その施術室はいくつかの個室に分かれており、客は専用のカウンターで受付を済ませた後、各個室で待機しているスタッフと
一対一でマッサージを受けることになる。

なお、客にどのような施術を行うかは、スタッフの判断にすべて委ねる、というあたりはこの旅籠らしいといった所。
ついでに、各個室内には客に安心感を与え、施術への抵抗感を知らず知らずのうちに薄れさせてゆく効果を持った、
ほのかな香りのアロマが炊かれていたりもする。効果がどれほど出るかはその客次第なのだが。

「──はーいお疲れチャン。また来てくれたまへ」

そんな中の一室から、満足げに出ていく宿泊客を笑顔で見送る、スタッフ用の作務衣姿の金髪の男が一人。
今日も今日とて知り合いからの依頼で、臨時のマッサージ師として仕事に精を出しているのだった。

「ふぃー……こういう普通のマッサージも悪くはないのだが、そろそろ一発エロマッサージでもしたいところであるなぁ」

個室内に戻り、施術用のベッド脇の椅子に腰掛けながらそんな詮無い独り言を漏らす。
今日は現状、立て続けに男の『標的』にならない客の来訪が続いたため、男はごく普通のマッサージ師として
仕事をこなすばかりであった。
男としてはそれもそれでやりがいを感じなくはないのだが、やはり役得の一つぐらいは欲しいところであった。

「まああそれも時の運というヤツなのだが……──おっとと一息つく暇もなさそうだったな」

ボヤキを続けようとしたところで、閉じたばかりのカーテンが開く。
さて──やってきたのは男の『標的』になりうる客か、それとも……。

エレイ > ともかく、男は客を個室へと迎え入れ──
ご案内:「九頭竜の水浴び場 マッサージ室」からエレイさんが去りました。
ご案内:「設定自由部屋2」にナランさんが現れました。
ナラン > 【待ち合わせ待機中です】
ご案内:「設定自由部屋2」にヒューさんが現れました。
ナラン > 夏間近い王都の平民地区。明るい陽射しを降り注いでいた太陽が、遠く山裾に掛かる頃。
昼間はご近所の奥さん子供や卸の業者、はたまた旅装の冒険者などで賑わっていた商店街の通りも、人通りは段々とまばらになって行き交う人々の足取りも早い。
日差しは眩しく白いものから橙色に変わっていて、立ち並ぶ建物の影も石畳に長く伸びて吹く風も少し冷たいものが混じる。

その橙色の風景に、とある雑貨屋から出てきた女の姿が加わる。

特徴のある衣服の長袖長ズボンといういで立ちにも関わらず、暑そうなそぶりも見せず
ターバンを巻いた頭を傾げて空を見上げると、ひとつ吐息を吐いて、足早に行き交う通りの人々に加わる。
向かう先は、王都の外。
普段暮らしている自然地帯の森だ。
独りきりなので、こうして街に出ると人々の様子を眺めるのがが楽しい。
そのぶん、帰るときはほんの少し、寂しくなってしまう。
―――それでも。

(…街で暮らす決心は、できない)

苦笑じみた笑みを口元に浮かべると、次には意思の強そうな鳶色の瞳を目指す方向へと向ける。
その歩調は周囲の人の足取りからは少し、遅れて

ヒュー > 砦から戻ってきた男。
街場は退屈で、酒と飯を喰らう日々。
夏が近いとはいえ、未だ冷たさも混じる風が流れる。

雑多な匂いの中、なじみ深い匂いを感じ取ると、唇の端を持ち上げ、にやりと笑みを浮かべる様は獲物を見つけた猛禽のそれ。

町の外へと向かう匂いを辿りながら、巨躯の男はゆらりと家へ帰る人の波に逆らい歩きはじめる。

そうして視界に入るのはこちらに背を向け、街を出るように進んでいく女の後ろ姿。
その姿は街の者達の格好の中では僅かに浮いて見えるのは珍しい服を纏うからだろう。
風下から足音を消し静かに追い始める。

ナラン > 街の外へ向かうにつれ、人通りは少なくなっていく。
両側に並んでいた建物も、ヒトの気を引く看板で飾られた店屋のものから、警備のための施設や長屋風のものになっていく。

そうして進んでいく、中
後ろに、同じ気配が在る。
勿論、自分と同じく外へと向かう人だっているだろう。つけられる覚えも、ない。
―――けれども。

「―――…」

街の外への門が見える、その場所で
女は不意に、建物の合間の路地へと足を踏み入れる。
一歩入ってはすぐに壁に身を寄せて―――
気の所為ならば、その気配は通り過ぎる筈。
そうして息を潜めて、通りを見守る…

ヒュー > 少なくなってきた人通り。
追いかけやすくはあるが、どうやら気付かれたようで…。
さてどうするかと、考えるうちに女は建物の合間の路地へと入り込む。
まぁ逃がすわけにもいかずに、楽し気に笑みを浮かべ。
男は女が姿を隠した路地の手前で一度進める足を緩めてから、その路地へと足を踏み入れる。

「よう。 なんで隠れるんだ?」

女が目にするのは路地の入口を壁で塞ぐように立つ隻眼の巨躯の男…。

ナラン > じっと伺っていると、気配は手前で歩調を緩める。
男の巨躯が路地への入り口を塞ぐのと、女が訝し気に眉を潜めたのは同時だったろう。
―――そうして、路地へ踏み入れた男が目にするのは
何時かの、帯に挟んだ短剣の束へ手を添えている女だ。

「―――…隠れたわけでは、ありません」

ほっと小さく吐息をつくと、女は束からは手を外して改めて男を見上げる。
暗がりからは陰った日差しも眩しいのかもしれない。すこし、鳶色の瞳を細めて。

「黙って着いてくるから、不審に思っただけです…
 ―――久しぶり、ですね。変わりないですか?」

そういうと、女は口元をほんの少し、綻ばせる。
彼と出会ったのは戦場だ。
問いかけた内容については、我ながら奇妙にも思いながら…

ヒュー > 路地を塞げば、相対する女。
警戒をしているのか短剣の束に手を添えこちらを見る目。
男の大きな体で女はすっぽりと男の長く大きな影に飲み込まれ、自然と飛び色の瞳の輝きがより際立って見える。

「あぁ、変わりはないぞ。 そっちも怪我は無いようでなによりだ。
探していたんだぞ?」

等と一つの眼で見つめ、言葉を向けながら手を伸ばし女の頬に触れ、ほんの少し笑みを浮かべる相手を引き寄せようとする。
相手が逃げなければ戦場から離れたせいで、血の匂い等の戦場の匂いが僅かに薄くなったものの、濃い男の匂い。

ナラン > 女は隻眼の金色と、矢傷で塞がれたほうとをじっと見上げる。
こうやって光を遮るように相対すると、改めて男の巨躯を思いやって

「…あの、あと
 割とすぐに砦を離れましたから…
 ―――探していた?…私を、ですか?」

一瞬瞳を逸らしてから答えると、男の言葉に僅かに訝し気に眉を潜める。
頬に触れる手にはちらりと視線を投げるだけだけれど
引き寄せようとするそれには、一歩、後ろへと下がって。

ヒュー > 見つめあう男と女。

「あぁ、敵に捕らえられていないとは知っていたがな…。
当然だろう?」

頬に触れた手。
ゆっくりと撫でてから引き寄せようとすれば一歩後ろへ下がられて。
その反応に小さく笑い。
一歩前へ大きなストロークで女を壁際へと追い詰めるように動き。
「逃げられると追いかけたくる性質でな…。」
唇の端を持ち上げ笑みを浮かべるそれは肉食獣のような僅かな凶暴さをはらんでいて…。

ナラン > 当然、の言葉にまた訝し気に眉を潜めて
更に迫る男から下がった女の背中に固い壁の感触。
女の瞳はすこし、険を孕んで男を見上げる。綻んでいた口元を、頑ななかたちにして。

「私は、追いつめられるのは趣味ではありません…
 逃げなかったら、追い駆けないでいてくれるんですか?」

お互いの無事を寿いで食事でも、というならば解るが
こうして追いつめられて…尚且つ、男の笑みには剣呑なものがある。
―――男を睨み上げる女の片手は再び、帯に挟んだ短剣に、触れる。

ヒュー > いぶかしげに眉を顰める相手。
追えば硬い壁に背を付け、抗議の様にじっと見つめられる。

「随分と嫌われたものだ。
さて、逃げなかったら追う必要もないからな─。
だが、俺も怒っているんだぞ?
何も言わずに消えられてな…。」

そんな言葉を相手に向け、短剣に触れる手ちらりと見やり。
壁に追い詰めた相手をその腕で捕えようと。

「俺とて気に入った女がいなくなれば心配位はする。」

ぽつりとそんな言葉、小さな声で囁きかけた。

ナラン > 「…嫌っているわけでは、無いです…けれど」

背中をぴったりと壁に付けたまま、迫る男を仰ぎ見れば、ほとんど空を見上げるのと変わらない。
女はその向こうに見える空の色に瞳を細めながら、男の言葉に困ったように眉を寄せ、何度か瞬きをして。

「何も、言わなかったのは……すみま、せん。
 …言う、言葉が見つからなかった、ので…」

言葉の後半は、最早険を保たない瞳を逸らして告げる。
女の手は短剣の束に置かれたままだが、それに力を籠める気配はない。

「……それは…
 ………どうも……」

小さく囁かれた言葉には一瞬目を見開いて男を見上げるが
直ぐに逸らして地面に視線を落とし、ぎこちない言葉を返す。

「―――兎に角
 元気ですし、追い駆けなくても、心配はいりません…」

ヒュー > 静かに女の言葉を聞き。
困ったように眉を寄せてから反らされる瞳。
そして、ぎこちのない言葉…。
それから見開かれて視線を地面に落とせばどこか満足げに笑みを浮かべ。

「うむ。変わらず元気で良かった。
だが追いかけなくては、こうすることも出来ないだろう?」

等と女の体を抱きしめながら囁きかけターバンの上から女の頭に顔を寄せ、抱きしめ互いの体温を交換しようとするかのようで…。

ナラン > 壁を背にして、抱き寄せる男の手に今度は抗いもしない。
只その瞬間、息を呑むような音が男には聞こえたかもしれない。

「…ヒューさんも、相変わらず みたいで」

抱き締められたまま、触れ合った場所から伝わる体温と近くの鼓動にそっと、瞳を閉じる。
次には、諦めたような呆れたような吐息を漏らして。

「――あまり、触れられるのは慣れていないんです…」

言下に放してくれ、と伝えながらも
束に触れていた手は離れて、女の両手は男の背の方に周って
ぽんぽん、と安心させるように叩く。

ヒュー > 捕らえた小さな女の体。
息を呑みながらも、呆れたような深いため息に楽し気に笑い。
ターバンの上からようやく捕まえた獲物に頬すりをして。

「当然だろう?」

等と楽し気に笑ってからターバン越しに感じる女の匂いを楽しみ。
続く言葉には愉し気に笑い、分厚い胸板で女の体を軽く潰し…。

「では徐々に慣れていってもらおう。
さて、デートついでに、飯でも食いに行くか?」

女の小さな手が背をポンポンと叩けばくつくつと笑いながら力を緩め、ようやく女の体は解放される。

ナラン > 頭に擦り寄られる感触に擽ったそうに瞳を細める。
きつく身体が寄せられれば、すこし苦しそうに眉を潜めるけれども口元は困ったように笑って

「…遠慮します。別に、慣れさせてもらわなくても…
 ―――…でーと?」

聞いたことはあるけれども見たことはない言葉に目を瞬かせる。
そのまま身体が解放されれば安堵の吐息を漏らすけれども、また困ったように眉を顰めて男を見上げて

「…あの、私
 よく、知らないのですけど…」

女の概念は、属していた部族につられて古い。
婚姻前の婚約者同士がするそれ、くらいの知識で

「…ふつうの食事とは、違うんですか?」

好奇心半分、不安半分の表情で、瞳を曇らせている。

ヒュー > 「慣れて貰わなければ困るな。」

開放した相手、困ったようにこちらを見上げる相手に男は愉し気に笑い、眉間に酔った皺、男の無骨な指先で解す様に撫で…。
続く言葉にふむ?と耳を傾ければ普通の食事との違い…。

「そう変わらんが、好いた男女やら、友人より深い中でやったり、仲を深めるのがデートだ?」

違いを説明するのは難しい。
本質は男も理解はしておらず、あくまでも人の営みに紛れているだけだから。

「嫌か?」

と、端的に問いかけながら男は片手を顎に添えじっと、女の鳶色の瞳を金色の龍眼が覗き込む。

ナラン > 女は眉間をもみほぐす指を眩し気に見て、何するんです、とその手に触れる。
それからまた考えるように視線を落としてから、ふと頬に触れる男を見返して

「ヒューさん、私と仲良くなりたいということですね?…解りづらい表現ですね…
 ――嫌では、ないです」

口元と目元も綻ばせて、頬にある武骨な手に触れながら返答する。
その瞳が次には曇って

「余り遅くまでは、お付き合いできませんけれど」

帰らなくてはいけないので、と付け足して
男の背後、街の外へと続く道を指す。

ヒュー > 眉間をもみほぐす指先はあっさりと捕らえられて、
皺になるぞ等とも言えずに、にやりと笑みを浮かべる。
視線を地面に落とした女の頬を撫で…。

「分かりづらいか…?
ではきちんと言おうか。 気に入っているからな。もっと仲良くなりたいぞ。」

触れたその手。ゆっくりと握り返し、笑みを浮かべる女にそんな言葉を返しながら手を包みこみ。

「ふむ。強くても俺よりかは弱いからな送るから安心するといい。」

所謂送り狼となるかは、その時次第。
町の外へと続く道を指差す女ににやりと笑いながら言葉を紡ぎ。
男はゆっくりと女の手を引き歩きはじめる。
何か食いたいものがあるか?等と会話をしながら街の内側へと向かっていく。