2020/01/25 のログ
ご案内:「無名遺跡/温水湖」に獣魔目録さんが現れました。
■獣魔目録 > 紙と水の相性は悪い。
湿度が高くても紙は変質し、水に触れるとふやけてしまう。
だと言うのに今宵獣魔目録が発見されたのは無名遺跡の地下にある温水が満ちる地底湖である。
周辺には温水の水気で光苔が繁殖しほんのりと明るく輝き、地底湖の其処に沈む魔石の所為で湖すらうすらと輝いている。
その水は清涼で覗き込めば奥深くまで覗き込めそうな透明度、中に稀に魚が泳いでる姿こそ見えるが、底は闇に染まり怖ろしい深さだというのが理解出来るだろう。
さて、そんな地底湖ではあるが、迷宮らしく誰の手で創られたか判らぬ縄と板で作られた架け橋が架かっており、その橋の行く先には小さな島が見え、その島には何故か大理石の台座が見える。
今宵はその台座の上に獣魔目録が収められている。
遠目から見れば微かに本がある事がわかる距離で、魔力を感知するならば膨大な魔力がその書から溢れ、湖の中にまで広がっているのが感じれる。
そして……怖ろしいことに獣魔目録は開かれている。
誰かが捲ったのか、そういう風に最初からなっているのか、それも知らず水浴びを始めれば当然獣魔目録より呼び出された魔獣の餌食になるだろう、何とも卑猥な顔をしたタコのバケモノか、或いはクラゲのバケモノか……。
周囲を警戒しながら橋を渡り、獣魔目録の書に駆寄るのであれば獣魔目録が呼び出した水棲の魔獣に襲撃されることなく書を手に入れることが出来るだろう、問題はその後である。
ただひとつ架け橋の朽ちかけた姿に慎重に若しくは怯えながら進むのはお勧め出来ない、何故なら獣魔目録が呼び出した水棲の魔獣がその脚に触手を巻きつけ深い湖の底に攫う可能性があるからだ。
ともあれ、本は開かれ、其処に存在してしまった。
後は誰かが閉じるか時が過ぎて獣魔目録が鎮まるのを待つしかないだろう。
ご案内:「無名遺跡/温水湖」にリィナさんが現れました。
■リィナ > 王都郊外に点在する遺跡のひとつ
冒険者たちに攻略され、お金さえ払えば内部の地図も入手可能な、比較的安全な場所
逆に言えば、それだけ実入りも少ないために、わざわざそんな場所を訪れる冒険者も数は少なくなっていた。
そんな場所に、冒険者でもない少女が足を踏み入れようとするのなら、
何が目的であったとしても、護衛を雇うのが常道ともいえる。
けれども、護衛の冒険者を雇うだけの費用も、その金策という目的と秤に掛けられてしまうと、渋々ながら諦めざるを得ないのが少女の懐事情だった。
(この地図だって、高かったんだし―――)
幸いにも、遺跡に住み着いている魔物や獣の類は少ないらしい。
道に迷わなければ、それほどの危険はないはず。
準備だけは万端にして、虎の子の魔導士の杖を手に遺跡に貼ったのが半日程前。
魔物の気配を探りながら慎重に進んでいたために時間だけは掛かってしまったけれど。
どうにか目的の地底湖にまでは辿り着けた。
今日の目的は、この地底湖付近に生えるという魔草だった。
「―――やっと着いたけど、何だか雰囲気が……」
さすがに水の中までは分からないけれど、周囲に魔物の気配は感じられない。
にもかかわらず、周囲が重たい空気に包まれていることに首を傾げる。
ただ、それもすぐに原因が判明した。
湖の中にある島の方から、膨大な魔力が溢れている。
杖がそれに反応して、細かく震えてしまうほど。
一体何があるのか。不安と好奇心の入り混じったような表情で、島を繋ぐつり橋のそばまで近づいていき。