2020/01/24 のログ
ご案内:「平民地区/空き家」に獣魔目録さんが現れました。
■獣魔目録 > 魔導書は書である。
その存在価値は読まれてこそ生まれる。
但しそれは獣魔目録の書としての存在価値であり価値観で、中に記述されることで封じられた魔獣達の価値観とは異なる。
今宵獣魔目録が眠るのは平民地区にある空き家。
住人が居らず今だ借り手のない空き家で今も扉には「住人募集、質問は~まで」と借り手を募集するチラシが一枚貼り付けてある。
元々は住居兼酒場だったようで、1階は手入れの必要性の有るぼろぼろのカウンターに錆び付いたスツールが並び、テーブル席だったモノが幾つか見受けられ、近くに有る階段を上ると住居である2階がある。
短い廊下、幾つか有る扉。
珍しく浴室も2階にあり、近くには寝室や簡単なキッチンがあるようだ。
魔導書「獣魔目録」があるのは2階の寝室である。
シーツと呼ぶには顔を顰めるボロボロのベッドの上に1冊の本が汚らしい布の海に落ちている。
その本こそ魔獣の皮で装丁された魔導書「獣魔目録」
広いとは言えない寝室の窓は開けっ放しで、室内を照らすのは外から入り込む街の明かりと月の輝き、誰かが火を点すなら寝室の天井から鎖で吊るされたランプがあるのでもう少し明るくはなりそうだ。
さて、珍しい場所に姿を見せた本であるが、あまり人の立ち寄らなさそうな場所である。
確かに寝室には小さな本棚があって本が存在すること自体は不自然ではない……筈だが、周囲のボロボロな家具に比べて明らかに魔導書はういていた。
■獣魔目録 > 誰かの足音が聞えてくる。
一つ二つと階段を踏みしめるギシギシと軋む音が聞えてくる。
魔導書は読み手が現れたことを察すると、静かに表紙をぱたりと開き目次を広げる。
もし寝室に踏み込んできた人間が居れば、書に触れやすいようにと。
ご案内:「平民地区/空き家」から獣魔目録さんが去りました。