2020/01/17 のログ
ご案内:「無名遺跡/塔の最上階」に獣魔目録さんが現れました。
■獣魔目録 > 無名遺跡を見渡すために作られた物見の塔。
冒険者が作り出したものに非ず、作り上げたのは無名遺跡を攻略しようとした過去の魔導師達であろう。
その塔は高さにして30m程、昨日の塔の半分くらいしかなく、内装もまた螺旋階段のみという非常にシンプルなつくりで、中央は床から最上階の天井まで水晶の主柱が立っている。
そして屋上である。
これもまた昨日の塔と近しいつくりの広場となっており、周囲は落下防止のため金属で作られた落下防止柵で囲まれ、中央は……中央だけはその昨日の塔と全く同じ大理石の像が台座と共に鎮座している。
幅にして大人が手を繋いでぐるりと囲むように5人くらいは必要な台座があって、その中央には悪魔を模した石像……ガーゴイルが合った。
その台座と同じ素材で出来たように見えるガーゴイル。
人間に似たつくりの二本の腕に二本の脚の体躯に背中には大きな翼が広がり、太い両腕と共に空から降り注ぐ輝きからその腕に抱く黒革の装丁で作られた本を守るように座っている。
立ち上がれば人の身体の半分ほどの身長だろう、尻から伸びる尾の先端は残念ながら台座食い込んで傍からは見ることは難しい――そんな芸術品としてはひどく不恰好なガーゴイル像、問題はそんな像よりもガーゴイルが大事に抱えている魔導書である。
獣魔目録。
ガーゴイルに触れずとも表紙くらいは読むことができよう。
黒い魔獣の皮を使って作られた表紙に赤い文字で描かれたその本のタイトル、知る人ぞ知る魔導書である。
知識を求めて書物を手に取れば、その手をガーゴイルが掴み、略奪を阻むだろう。
そして、問いに答えることが出来れば資格ありと認められ、その手に王国内に存在するありとあらゆる魔獣の情報が記述させた獣魔目録を手にする事が出来る。
だが問いに答えられない場合は……その資格の無い者はガーゴイルに与えられる供物となり、塔の屋上には新たな石像が加わる可能性すらある。
――…物見の塔は静寂に包まれている。
大理石で創られたガーゴイルも同様である。
この耳が痛くなる程の静寂を破られるのは何時であろうか。