2019/08/12 のログ
ご案内:「看板の無い店」にソルシエールさんが現れました。
ソルシエール > その魔女は、店の奥の広々とした来客スペースに独り、居た。
毛足の長い絨毯が敷かれ、中央には足の低い厚ガラスのテーブルが置かれている。
テーブルを挟んで、クッションが柔らかい上等の横長ソファーが一つずつ。
魔女が座すのはその内の一つ。適度な弾力の背凭れに体重を預けて足を組み。

店の出入り口には魔女の魔術が施されており、無意識の内に波長が合ってしまった者は、
ふらふらと入口を潜り、商品陳列エリアを通り抜け、奥の来客スペースへと入室するだろう。
一種の洗脳の効果が店自体にかけられているのだ。そして、魔女の獲物となる……。
魔術の抑制が効かない危険な者が入って来る事も有るが、滅多に有る事象ではないし、
とタカを括っている。永い時を生きた人ではない種族特有の増長と言えるだろうか。

店の洗脳効果を察知し、洗脳されずに踏み込んで来る輩も、稀に居るのだから──
洗脳効果を受けた者は、魔女の傍まで来た時点で効果から解放されて我に返るだろう。

ご案内:「看板の無い店」にセイバーさんが現れました。
ご案内:「看板の無い店」からソルシエールさんが去りました。
ご案内:「看板の無い店」からセイバーさんが去りました。
ご案内:「九頭龍の水浴び場 マッサージ室」にエレイさんが現れました。
エレイ > ──温泉旅籠内の、主に宿泊客向けに用意されたサービスの一つが、このマッサージ室である。
その施術室はいくつかの個室に分かれており、客は専用のカウンターで受付を済ませた後、各個室で待機しているスタッフと
一対一でマッサージを受けることになる。
なお、客にどのような施術を行うかは、スタッフの判断にすべて委ねる、というあたりはこの旅籠らしいといった所。

ついでに、各個室内には客に安心感を与え、施術への抵抗感を知らず知らずのうちに薄れさせてゆく効果を持った、
ほのかな香りのアロマが炊かれていたりもする。効果がどれほど出るかはその客次第なのだが。

「──くーわわわ……」

──そんな中の一室で、施術台の横の椅子に座って待機しながら大欠伸をかましているのは、スタッフ用の作務衣に身を包んだ金髪の男。
男は正規のスタッフではないが、スタッフの一人である知り合いの頼みでヘルプとしてこの場に入っていた。
一応、名目としては冒険者としての依頼という形にもなっており、報酬も出すとのことなので、男としては断る理由もなかった。

……というか、そうやって頼まれるのもこれが初めてではなくもう何度目かになるので、
もう半ば非常勤のスタッフになりつつあったりもする。

「……アイツは俺をなんだと思っているんですかねぇ。まああ請け負っちゃう俺も俺だが……──ンン?」

待機し始めてしばらく、客の来る様子もないので男は暇を持て余していた。
が、詮無いボヤキを漏らしたところで、ふと出入り口のカーテンが開かれたので男は顔を上げた。
各個室は廊下に面しているため、受付を経ていない誰かも稀に紛れ込むこともあるらしいが、それはまあさておき。

「──やあやあいらっしゃいッ。マッサージをご所望……でエエですかねぇ?」

男はへらりと笑い、確認するように問いかけつつその来客を迎え入れる姿勢を見せ。