2019/07/28 のログ
ご案内:「九頭竜の水浴び場 マッサージ室」にエレイさんが現れました。
■エレイ > 「──くーわわわ……」
温泉旅籠内の、主に宿泊客向けに用意されたサービスの一つが、このマッサージ室である。
その施術室はいくつかの個室に分かれており、客は専用のカウンターで受付を済ませた後、各個室で待機しているスタッフと
一対一でマッサージを受けることになる。
なお、客にどのような施術を行うかは、スタッフの判断にすべて委ねる、というあたりはこの旅籠らしいといった所。
ついでに、各個室内には客に安心感を与え、施術への抵抗感を知らず知らずのうちに薄れさせてゆく効果を持った、
ほのかな香りのアロマが炊かれていたりもする。効果がどれほど出るかはその客次第なのだが。
──そんな中の一室で、施術台の横の椅子に座って待機しながら大欠伸をかましているのは、スタッフ用の作務衣に身を包んだ金髪の男。
男は正規のスタッフではないが、スタッフの一人である知り合いの頼みでヘルプとしてこの場に入っていた。
一応、名目としては冒険者としての依頼という形にもなっており、報酬も出すとのことなので、男としては断る理由もなかった。
……というか、そうやって頼まれるのもこれが初めてではなくもう何度目かになるので、
もう半ば非常勤のスタッフになりつつあったりもする。
「……アイツは俺をなんだと思っているんですかねぇ。まああ請け負っちゃう俺も俺だが……──ンン?」
待機し始めてしばらく、客の来る様子もないので男は暇を持て余していた。
が、詮無いボヤキを漏らしたところで、出入り口のカーテンが開かれたので男はふと顔を上げた。
個室は廊下に面しているため、受付を経ていない誰かも稀に紛れ込むこともあるらしいが、それはまあさておき。
「──やあやあいらっしゃい。マッサージをご所望……でエエですかねぇ?」
男はへらりと笑い、その来客を迎え入れる。
ご案内:「九頭竜の水浴び場 マッサージ室」にレリィさんが現れました。
■レリィ > カーテンを開いたのは、湯あみ着の短い銀髪の冒険者だった。
全体的に小さな印象を与えるものの、出るところはでた、蒼い瞳の女性。
どうやら、旅籠を探検していたところ、興味本位でカーテンを開けてしまったらしい
格好からも、冒険で得たものを対価として泊りに来た客だろう。
「え、ええと。マッサージ…?いやいや、私、女性だし…その、男性にマッサージしてもらうのは…」
相手がどういう事情でマッサージをしているのかはわからない。
けれど…自分だってわすれがちだが、女性である。
男に素肌…あるいはそれに近い状態を触られるのは気が引ける、と。
「確かに疲れてはいるけど、女性の人とか、いませんか…?」
冒険の帰りにここに寄ったため、よく使う脚などはぱんぱんだ。
本来であれば、マッサージを受けられるというのなら受けていきたいのだが…
■エレイ > 「──何、気にすることはない。自慢じゃないが俺のマッサージは女性にもかなり
評判だからな。百聞は一見にしかずと言うし試してみるのもいいのではないか?」
言葉に疑問符がついている様子から、そうと知らず紛れ込んでしまった客だろうか。
そう思いつつも、男性に施術されることへの不安を口にする彼女に、ドヤ顔しながらそんな真偽の不明な営業トークを繰り出して。
「ちなみに女性のスタッフは今日のシフトでは一人いたけど……たしかさっき客室に出張マッサージに出向いたから
今は居ないのではないかな。──どうする? 一応キミはお客様なんで、指名するスタッフを変える権利も、
なんなら断る権利もあるが……」
女性スタッフの所在に関しては少し思案してからそう返答し。
あくまでこちらから強制はするつもりはない、とばかりに笑みのまま彼女に問いかける。
その間もほんのりと香るアロマが、少しずつ彼女に作用しつつあって。
■レリィ > 「ん、んー…」
普段なら即答で断っているところだが
冒険終わりの解放感
旅籠の雰囲気。
そして軽い調子の営業トークと…
どこか安心するようなアロマが、彼女の警戒心を緩めて
「自分で上手、なんていう人、逆に受けてみたくなりますね。
…女性も今、いないんだったら…受けてみようかな…。でも、変な事したら、怒りますから…ね?」
湯あみ着の前を無意識に閉じようとしながらしっかりと部屋の中に入り…
ここですか?とか聞きながら、施術台に向かっていこう。
■エレイ > 「フフ、そういう開拓精神(フロンティアスピリット)があるのは良いことだべ。
変なことかー、キミみたいな可愛い娘相手にそれは保証できないかのぅ?
まああとりあえず一名様ごあんなーいってことで……いや定員一名だけどね」
受諾してもらえば嬉々として大きく頷き、釘を刺すセリフには、ケタケタと笑いながら
冗談めかした返答を軽い口調でよこす。
それから彼女が部屋の中に入れば、男は出入り口の看板を『施術中』に切り替え、カーテンをそっと閉じる。
──それから後のことは、カーテンの奥に秘されて……。
ご案内:「九頭竜の水浴び場 マッサージ室」からエレイさんが去りました。
ご案内:「九頭竜の水浴び場 マッサージ室」からレリィさんが去りました。