2019/06/02 のログ
ルビィ・ガレット > 「……聴こえてたのか。なら、悪かったよ」

返ってきた言葉に、あっさり半吸血鬼は謝罪する。
当人に聞こえないだろうと思って付いた悪態だったのだ。吐いた言葉だったのだ。
屋根の上、意味もなく後ろ頭に手をやり、頭を掻くような動作。人外、存外に気まずそうで。

「――正直、どっちがホンモノでも違和感ないわね?」

相手のことをよく知りもしないで、適当なことを言う。
その途端、彼の生み出した幻影は最初から何もなかったかのように消えうせ。
屋根の上、振り返り。彼を出迎えようか。幻を見破ったことは別に誇らず。

「ご足労、どうもー。……私に気づくの早かったけど。ここに来るのも早いじゃない――嬉しい」

人当たりの良さそうな笑みを浮かべ、感心しているようなことを言い。
最後の言葉には、特に、見てくれより幼く感じさせる純粋な笑み。

ルシアン > 「…最初からそうやって謝ればいいものを」

どうも幻は見破られたらしい。術が消えるのを察知しながら、迎える様に此方を見ている相手へ溜息を一つ。
実際、身のこなしは軽いもの。多少息が早くなったりはしているが。
どうしても、少々警戒するように相手を見てしまうのは仕方ない。

「割と出来は良かったと思うんだ。まだまだ修行が足りないね、僕も
 …喜んでくれるのは良いんだけど、ああいう事はあまりやらないようお勧めしたいね。
 普通の人なら、死んでてもおかしくない。どうするつもりだったのさ?」

どれだけ性根のひねくれた、腹の立つ相手かと思ったら…少々調子が狂う程度に素直そうな娘が一人。
それでも、諭すように言葉を紡ぎつつ。やや不機嫌そうな表情のまま、数歩近寄って。

ルビィ・ガレット > 「悪気しかなかったんだけど。本人にあの言葉が聞こえていたのなら、さすがにねー……」

変なところで律儀。半分、魔性の者にしては人間臭い。いや、だからこそか。
彼の少し乱れた息遣いには苦笑した。自分だったら空を飛んでいけるが、彼は手足を使ってよじ登るしかなく。
苦労をねぎらう言葉は、案外、形だけではなく彼女の本心から出たもので。

彼のやや鋭い視線には、頬が緩む。自分を警戒しているのはわかるのだが、直感で「こっちのほうが面白い」と女は考えていたり。
刺激や楽しさを得られるのであれば、常識やマナーを後回しにするパーソナリティー。
そもそも、半分は魔物と言えるのだから、無理もなく。

「ああいうことはこれからもやるし、やりたいんだけどなー。
 ――死んだら? その場合? ……嬉しかったに決まってるじゃない」

ほぼ全身を包み隠す外套を夜風ではためかせながら、悪びれもなく。

「もっとこっちに来てよ。顔がよく見えない……よく見たいのよ」

嘘ばっかり。屋根上から彼のことを見下ろしている時から、彼の顔はちゃんと視認できていた。
不誠実なことばかり言って、真意を見せないまま、彼を自分のそばへ誘う半吸血鬼。
相手はどう出るだろうか。紅茶色の目は細められ、唇は薄く、両端が持ち上がる。

ルシアン > 「おあいにく様。目もそうだけど、耳も良くてね。
 正直なのは美徳だけど、多少は誤魔化す事も覚えた方がいいよ、お嬢さん?」

…自身の中に流れる血。先祖から受け継いだモノのうち、彼には獣の力が少々大きく出ている。
感覚が鋭いのも、その一つ。ましてあの場は当たりの気配を伺おうと集中もしていたわけで。
それでも、何やら妙にズレた反省をしているらしい様子には、多少あきれたような表情となって。

「悪いことは言わない。そういう事は、控えて貰えないかな?
 …あまり良い考えじゃない。それに死んでしまったら、その人でこれから楽しむことができなくなる。
 キミたちには死ぬのが娯楽程度なのかもしれないけど、普通の人にはそこで終わりなんでね」
 
悪びれず、少々ねじの外れたような言葉…まだ厳しい表情のままで、返事をする。
…勘ではあるが、彼女が普通の人と違う事は何となく察せられて。人外や異種族と触れる機会が多い所為もあるか。
話は通じるのだが、この手合いは少々扱いが難しい。

「………本当は見えてるんだろ?まあ…いいけどさ」

何とも、とらえどころのない言葉を紡ぐ女性へともう数歩。
すっと細められた眼を一度見やる、けれど警戒の色は隠さない。
改めて見れば、相応に綺麗な顔立ちをしている事は分かるのだけど…。

ルビィ・ガレット > 「――人間のくせに生意気。
 ……だって、もう第一印象が最悪だったわけでしょ? そこから取り繕ったって、ねえ」

低い声。遠まわしに己が人外だと仄めかすようなことを言う。
他人全般に悪感情を持たれることに慣れている彼女からすれば、彼が気にかけることには無頓着。
感性のずれと言うよりも、単純にやる気がないのだろう。合わせる気がない。

最初の出会い方によっては、こちらも猫かぶって愛想良くして、常識的な会話に努めたのだろうけど。
彼の呆れ顔を見慣れたものを見るような目つきで眺めている。

「――殺るのが好きなんだから、やめる訳ないだろ。
 ……特に私、人を殺すのが好き。――あなたみたいな人とか」

柔い笑みが掻き消え、急に凍てつくような低音。
そこから反転して、恍惚とした笑み。白い頬を染めながら、愛の告白のような甘い声。
彼に遠慮なく近寄る。

「あなたの心までは視えない。……見せて?」

口付けが叶いそうな距離まで近づけば、至近距離で彼の黒い双眸を覗き込む。
魅了の意図はない。彼みたいな人間は、術で無理やり言わせるのではなく、自主的に言わせるのが面白いのだ。
……とは言え、バカ正直に物騒なことを言った手前だ。相手の反応はどうだろう?

ルシアン > 「人でなければ偉いのか?別に人が一番偉いと言う心算も無いけどね。
 最初がマイナスでも、其処から少しずつでも改善する余地はなくはないと思うけど」

…成程、こういう手合いか。やっと目の前の女性の内面も何となくわかってくる。
少しだけ、緊張を解く。危険ではあるけれど…此方が敵意を持っていれば、敵意でしか返してこない。
森の獣にも近いような、そんな感性。なら、此方からも積極的な害意は無い事を示せばマシになるはず。
呆れたような、というより真面目に女性を静かに見つめる瞳になる。

「そう。だけど、其処をあえて頼みたいのさ。特にこの辺りの人たちはいい人ばかりだからね。
 あっちのレストランのおばさんのパスタが食べられなくなったり、向いの腕のいい靴屋の親分が仕立てた靴が履けなくなったらとても困る。
 …今、この場では御免だね。そのうち気が変わったら殺されても良いけど、それまで気長に待ってくれれば嬉しい」

冷たく、切り裂かれるような殺意と威圧感。其処から打って変わって、甘ったるい気配。
何とか受け流しながらも、身を寄せてくる女性を避ける事も無い。
受け止めてやろう、なんていう気持ちになったのは、気まぐれからだろうか。

「………見せてもらうのはこっちかもしれないけど。もう少し、君の事は良く知りたいかもね」

何とも物騒な、だけども間違いなく魅力もあるだろう女性。背に手を回し、軽く抱き寄せてみる。
そのまま、静かに視線を合わせる。勿論、魅了やもっと悪い力を視線で与えられることも、考えてはいるのだけど。
それでも…「目を合わせて話す事が出来なければ、何も始まらない」。それが彼の身上であったりするわけで。

ルビィ・ガレット > 「……しょーがないじゃん。あたし、まだ28年しか生きてないけど。
 種族的には人間"様"を見下さないといけないんだもの。――餌だし。
 あ、そっか! ……人と仲良くやろうと思ったことないから、そういう発想すらなかった」

見た目以上に生きていると言っても、まだまだ人の範疇である齢。
それをあっさり晒す。……自分と人間、お互いの関係も。
彼の提案というか考えには、素直に感心した様子を見せ。遅れて、微妙な表情を浮かべた。

人間の知り合いや友人は、いなくはないのだが……なんというか、正規の手順らしきものを踏んで、親しくなれた者たちはいないのだ。
彼らは変わり者だったり、利害が一致したり。なぜか一方的にこちらに付きまとってきたり。
まともな人間関係を丁寧に一から構築してきたことがない若いダンピール。

健全な倫理観はもちろん、人らしさもどこか欠落しており。
それでも理性と知性があって、人と意思疎通できることが幸いか。

「そんな一般人、襲わないよ。……あなたみたいにかわいげのない人は殺したくなっちゃうけど。
 ――でも、殺すなら男がやっぱりいいなあ。最近、女ばっかりだったから。
 えぇ~……焦らすの? ――酷い人っ」

レンガの件は、むしゃくしゃして足元を蹴り上げたのが先で、落下していくレンガが誰かを傷つけて欲しいと思ったのは後だ。
言い訳に過ぎないだろうが、計画性はなかった。だから、「普通の人は狙わない」と普通みたいなことを彼女は言えるわけで。本心。
しかし、物騒な物言いは健在。殺意を抱く時点で愉快だから、今すぐ彼をどうこうするつもりはないが。

自分のことを完全に棚上げして、子どもっぽい声音で彼を非難する。
声のトーンや表情が整い過ぎてるから、相手には冗談で演技だと通じるだろう。

「……っ」

紅茶色の双眸を見開き、しばし固まる。彼の言葉が予想外だった。
彼に抱き寄せられた分だけ、体が相手のほうへ傾く。
外套越しだから、彼女の低体温はおそらく彼に伝わらないだろう。仮に伝わっても「夜風で冷えたのか」程度に思われるかと。

瞬く双眸は、彼を呆然と捉えている。
……ひと際、強い風が。急に。外套のフードが頭からはずれ、彼女の顔全体が露わになる。

「抱き合って、見詰め合うだけで。……何かわかるの?」

先ほどの風並みに、唐突な笑み。取り繕いのそれ。動揺を隠したくって。

ルシアン > 「…僕より年上じゃないか。そこまで変わるって訳でも無いけど。
 そういうことを言う人達も多いけどさ…見下してばかりって言うのも、つまらないと思うけど。
 取り返しのつかない事なんて、そうそうあるわけでもないからね。」

期せずしてレディの年齢を聞いてしまったわけで。どう反応したものか、ちょっと慌てつつ。
誰かとの関係を作る、その点なら自身はむしろ得意な部類。そういう事が出来なければ、生きていない訳で。
少し考えながら、ゆっくり、諭すような調子で言葉を返す。

「おっかないなぁ…そういう事なら、まだいいんだけどさ。
 ―――個人的に、楽しいから殺す…って言うのは、あんまり好きじゃ無いんだ。
 ついでに、当分は殺されてあげる予定も無いかな。やりたい事はまだ、山ほどあるからさ」

「まだいい」…そう、別に全て止めようとはしていない訳で。
自身もまた、この女性とは別の方向ではあるだろうけど、命の軽い世界を知ってもいる。
理不尽に奪われる命に憤る事さえあれど、消されて当然と思える様な命がある事も、知っている。
それに自身の全てを擲つ、そんな者が居る事も。

とはいえ、彼女なりに一応の一線があるようなら、と此処で安堵するあたり。
彼自身も、倫理観の点で若干問題が無いわけではない、らしく。

軽い調子、冗談ぽい女性の言動にはこちらも軽い調子でお返しを。
そして、背に回した手で引き寄せる。…柔らかくて、心地よい重み。
何処かひんやりとしたように感じるのは、夜風のせいなのか、それとも。

「……………」

フードが外れ、露になった素顔とはっきりと視線が交わる。
言動や態度からキツイ顔つきも想像していたけれど、それはどこか可愛らしいとも言える様な。
思わず、目がひきつけられてしまう。自身の黒い瞳で、見つめる事をやめられない。

「時と場合による、かな。……今は、とりあえず…キミはそんな悪い人じゃないって事。
 あと、綺麗な子だな、って事は分かるよ」

何処か、熱に浮かされたような調子。大胆な行動に走った反動だろうか。
小さく微笑みを向け、許されるなら女性の柔らかそうな髪の毛を、そっと触れて撫でてみようと。
…内心は、鼓動が少し早くなっていることを誤魔化そうとしている、訳で。

ルビィ・ガレット > 「……私より年上の吸血鬼で、『私は人間を尊重している』とのたまうやつもいるけどさ。
 ――そういう手合いって、自分の美学やルールに基づいた上で"食事"を愉しんでいるだけよ?
 見下しても、敬っても、結局殺すわよ? あなたたちが害虫や家畜を殺す感覚で……って、こんな話をしても仕方ないか」

相手の動揺をよそに、こちらはまた個人情報を晒す。それも、自然な話の流れで。
公共の場で、無数の人々がいるような場所ならさすがに控える。でも、今は彼と一対一だ。
しかも場所は、3階建ての、誰かの家の、屋根のてっぺんだ。あけっぴろげになれる条件が満たされていた。

比較的、真面目な顔つきで話していたが……それが、わかりやすくて気持ちのいい結論が出ない話題だと気づけば。
ため息を吐いて、話を中断させた。どうしようもない隔たりって、あると思う。

「――正当な理由があれば、殺していいのか? 
 『憎いから殺す』より、『愉しいから殺す』のほうが健全だと思うけどね。
 ……だけど、まぁ――そういえば、あなた、名前は?」

――そちらの言い分を覚えといてあげる。そう言いかけたところで、まだ彼の名前を知らないことに気づいた。
人間に対して、比較的ぞんざいな自分だが、さすがに固有名詞には興味があって。
ただ、自分は先に名乗らず、彼から名乗らせようと言うのが彼女らしい。

しばし、相手と黙したまま見つめ合う。低い体温の奥に、不可解な熱が生じるのを感じられる。
彼女からすれば異質な感覚だ。もてあまし、対処に困って、「ん……」と掠れた甘い声を漏らした。
彼の体温が移ったわけじゃあるまいに。何なのか……よくわからない。

「幻のほうのあなたは、私のこと、頭"は"悪いみたいには言ってたけどね。
 ……綺麗って、瞳の色が? ――なんか、クラクラする。
 でも、同時にむかつく。あなたが何もしていないのはわかるから」

白い頬が鮮やかに赤らんでいる。母は人だった。その血のおかげで、まるで人間みたいに心持ち、顔を赤くできる。
彼の言葉にはどう返したらいいのかわからなくって、適当に受け流そうとする。
無理だった。至近距離で、弱い語気で恨み言を言う。感情の昂ぶりから来る、目眩みたいな熱や白さは、明らかに天然。

彼が自分に術をかけたわけではない。髪に触れられれば、それが「魔法などを発動させるための呼び動作か」などと、自分の本心から逃げるようなことばかり考えていた。

「キス、しないの?」

愛撫の感触に頬が緩みそうになりながらも、余裕の笑みを装って、精一杯に彼を挑発した。
照れ隠し。二人とも、共通点があるというか、案外、似た者同士なのかも知れない。

ルシアン > 「……キミたちにとって、人間は食料だって事は知ってるさ。
 生きなきゃいけない以上、なんだって飯は食べる。人も、獣も、それは同じ。
 それをやめろと言えば、それこそ君たちへの侮辱になるだろうさ。ただ…
 だから人の方が下だ、って言うのは…どうだろう、ね?って事」

女性が話を切り上げるなら、此方もそれまで。
とはいえ、主張だけはしっかりと。弁が立つ方ではないけれど、これが精いっぱい。
…実際、今、この場では「食事をする側」と「される側」が差し向かいで言葉を交わしているわけで。

「…その質問は、すごく難しい。
 僕は狩人だ。獲物の命を奪うのは日常の事…だけどそこには理由がある。
 愉しいから、とは違う。……それが、キミの考えより上等かどうかも、分からないけどさ」

学が無い、というのは辛い所。こういう時に思いを言葉に並べる事すらできない。
もどかしく思いつつも、静かに言葉を紡ぎつつ。ふと、問われた事には軽く眼をパチパチと。

「…僕はルシアン。ルシアン・エヴァリーフ。……キミの名前も、聞いて良い?」

女性を抱き寄せ、瞳を見つめつつ名を名乗る。
正直なところ、こういう状況には今一つ慣れない性格なのだ。
夜の気配のせいか、それともこの女性に…無意識に魅了でもされたのか。
彼女にそのつもりは無くても、女性は男性に対して生まれながらにそういう力を持っているわけで。

「…あれはまぁ、その…一寸言い過ぎたかも。売り言葉に買い言葉って奴?
 瞳もだけど。キミ自身も、そう思うよ…綺麗な子だなって」

照れているのだろうか。頬を染める様子に、何処か暖かい気配を感じる。
何とか平静を保とう…そんな努力。表情や仕草に、思わずどきりとしてしまうのだけど。
拒まれなければ、2度、3度とそっと髪を撫でてみる。

「…………それをお望みなら、ね…?」

挑発されるような言葉。先ほどと同じ…売り言葉に、買い言葉。
それを言われてしまえば青年としては乗らない訳にも行かない。
………抱き寄せたまま、顔を近づけて。そっと、少女の…額へと、軽く唇で触れた。

ルビィ・ガレット > 「便宜上、あなたたち人間が私たち吸血鬼より下でいいのよ。
 ……神は人に創られたという話を、不謹慎な吟遊詩人の唄で聴いたことがあるけれども。
 確かにあなたたちが束になってかかってくれば、私たちに匹敵するかも知れない。

 でも、相対的に考えて物事を判断するのが知性ある者の性質でしょう?
 ……どうしても、なんとなく『どちらが上だ、下だ』って考えてしまうわよ」

中性的に物事を捉えて生きていくのは難しい。人は、ひょっとしたら吸血鬼も、両極端をやって、味わって、やっとちょうどいい場所を見つけるのかも知れない。

「……どうも人間って、命のこととなるとシビアというか。シリアスになるわよね。
 『軽んじていい』って、言いたいわけじゃないけども。
 真面目に考え過ぎだと思う。――あなたみたいな人って、下手すれば精神を病んじゃいそう。
 
 ……ふふ。私はそこを付け狙いたいかなあ。弱ったルシアンを見てみたい――私はルビィ・ガレット。
 好きなもので名前を作っただけだから、真名ではない」

真面目な話から最終的に軽口に持っていくと、やっと自分も名乗って。
というか、宝石と食べ物の組み合わせで出来ている名前だ。……安直。

「5倍から7倍くらいに増やして言い返された気がする。所感としては。
 ……そういうこと言われても、あなたの幻の言葉、しばらく根に持つもの。
 許さないもの」

肯定的な言葉を素直に受け取れない。軽い口調で作り物の険を入れながら、話をうやむやにしてしまう。
が。……再度、髪を撫でられれば、「ん……」と甘い掠れた声を漏らして。
額の感触には目を閉じた。彼の温かい唇、その柔い感触に、目眩に似た熱を再び感じる。

そのまま、彼のほうに倒れこむ。体重の半分くらいを預けるつもりで。
――しばらく、気が済むまで。そのまま時間を過ごした……。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」からルシアンさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からルビィ・ガレットさんが去りました。
ご案内:「昼下がりの公園」にミユさんが現れました。
ミユ > 昼下がりのとある公園…
沢山の子供たちが楽しそうに遊んでいる…
そんな公園の木陰になったベンチにただ一人のんびりと子供たちを眺めるミユ…

「今日は暇だなぁ…」
ぼそっと呟く…

本当に今はもう何もすることがない…家事はもうお夕食くらいかな?
毎日掃除していると、埃だらけだった屋敷もみるみる綺麗になって、もう掃除する場所もないくらいに…お洗濯も自分の分だけだからすぐ終わっちゃう…だから昼下がりにはもうすることがなくなってしまうのです…

ミユ > 「ふぅ…もうこんな時間なのですねぇ…」
時計台の時間を見れば、もう夕刻に近い…
「そろそろ帰らなきゃね…」

ベンチから立ち上がり…埃をポンポンと叩くと、家路についたのでした…

ご案内:「昼下がりの公園」からミユさんが去りました。