2019/06/01 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にルビィ・ガレットさんが現れました。
ルビィ・ガレット > 屋根の上にいる。知り合いの家ではない。
そこから地上を見下ろしている。――獲物を探している。
空腹ではない。ただ、刺激が欲しくて。

「……酔っ払いが喧嘩してる。あっちでは客引き女におのぼりさんが――あーぁ。
 私は知らないぞ。――うん? あの衛兵、サボってる。……つまらない」

夜目が利くものだから、常人にはぼやける距離でも彼女の視界は鮮やかだ。
そして、鮮やかに捉えるのは平凡な風景ばかり。なんだか、ちょっかいを出したくなる相手がいない。

「――ちっ」

屋根のてっぺんに座っていたが、立ち上がり。絶妙な体幹バランスを維持したまま、足元を蹴り上げた。屋根を構成しているレンガが見事にはずれ、吹っ飛ぶ。
……下へ。誰かに当たらないかな。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」にルシアンさんが現れました。
ルシアン > 街での買い出し、その帰り道。
手には大きな買い物袋を抱え、人気の少ない細い道を足早に歩いている青年。
この辺りは庭のようなもの。さっさと帰ってしまおう、と自然と足も速くなる…のだけども。

「ん?……っ!?」

最初は、パラっと何か小さな物。砂粒か小石か?その辺りが、自身の手前の道に落ちた音。
なんだ?と疑問に思うと、次はゴツッ、と。無防備な頭に当たったのは、指先サイズの小石。
何処から?上から…?不意の事に一瞬戸惑うけれど、瞬間的に頭が切り替わり、素早く後ろへと身を避ける。
……直後、落ちてくるのは大きなレンガ。砕け散るんじゃないかという結構な勢いで降ってくる。
そのまま歩いていれば直撃だったかも…背中に冷たいものが走った。

「………っ! おい、其処のお前か?何のつもりだ!」

鋭い目で辺りを見渡す。上から、という事はこの辺りの住宅の2階以上か、あるいは屋根の上か。
レンガの飛んできた方角に目をやれば、闇の中に人影が一つ。女性ほどではないが、自身も夜目は効くのだ。

警戒しながら、誰何の声をかける。
…仮に狙われたとして、心当たりが無いわけでもない…というのが、我ながら嫌になるのだけど。

ルビィ・ガレット > 「あ……」

悪趣味。顔が喜色に染まっていく。
そこまで期待していなかったが、予想外の展開。
自分にはスローモーションに見えるレンガの落下。その先には見知らぬ青年が。

――当たる、かも。場合によっては彼、死んじゃうかも。
心の中ではしゃぐ。……しかし。

「――なんで避けるんだ。おかしいだろ」

レンガの破片が彼にヒットしたくらいで済んでしまった。いや、向こうからすれば不幸中の幸いなのだろう。
でも、自分はつまらない。無表情に近い、不機嫌そうな顔になる。……唇の片端は愉しげにつり上がっている。ひねくれた性根の者の感情、表情。

「教えて欲しければ、ここまで上がってきなさいよ――できますかぁ?」

気づかれ、見つかられ。少し意外だったが、ぎくりとは別にしない。
おもちゃを見つけたような心地が先んじて。3階建ての家、その屋根上から彼を挑発するように言った。語尾は間延びして。バカにしたような響きがあった。

ルシアン > 当たり所が悪ければ、きっちり逝ける程度の大きさのレンガだ。
それを飛ばしてきたのは、どうも屋根の上の人物らしい。
何かつぶやいたような声は、どうも女性の物らしいけども…。

「期待に沿えなくて悪かったな。おかしいのはそっちの感性だろう」

何処かの誰かから、というわけではなく単なる愉快犯…まるで愉快ではないけど…か。
そうと分かれば、聞こえてきた言葉にはどうもカチンとくる。
眼を軽く細めつつ、静かな調子で返事をする。
…互いに闇を見通せるとは言え、距離はそれなり。青年が背後で指先で小さな「印」を切った事に気付かれるか、どうか。

「出来る出来ない、で言うなら出来るんだけどさ…なんでわざわざそっちに行ってやる必要がある?
 非があるのはそっちだろう。ならそっちからこちらに来て、跪いて、許しを請うくらいのことをしたらどうなんだ?
 ああ、そうか…悪い悪い。ナントカと煙は高い所が好きって言うのか。ナントカならそんな事も分からなくて当然だな。いや失礼した」

流れるように、丁寧な口調で、しかし明らかに慇懃無礼な調子で言葉を投げる。
売り言葉に買い言葉。罵倒の言葉の調子は、相手の3倍返しでも言うつもりか。
肩をすくめ、手をひらひらと。
飽きれ、おもしろがるような調子。

………という「幻」を作り、気を逸らしている内に。
本人は気配と音を消し、人影のいる家の軒下へ。身軽に壁や窓を伝い、相手の背後を取ろうかと。
気が付かれるなら、その場で「幻」は消えるはず。気づかないならそのまま背後へと…。