2019/05/20 のログ
■ボルフライ > 「そのような女がいれば、手元に置いておくさ」
それもそうだ、都合の良い女をわざわざ金を掛けて手に入れるなど。
蛮族なのだから、欲しい女は力づくで手に入れる。
尤も、商売を加味する前提でだが。
それにこの男もただの悪漢ではない、横暴な振る舞いをするということは、それだけ良い商品を揃えたと言うようなもの。
配慮…という言葉とあまりにも不釣り合いな男だが、独自の考え方があるのだろう。
「そうだな、東洋の国から砂漠の国までってところか」
女主人が傍らに寄り座れば男は酒を置き、脱ぎ捨てた服から一枚の羊皮紙を取り出す。
現在捕えている奴隷の一覧、そして料金だ。
当然彼女に見せるのは、その中でもとりわけの上玉や、珍種の奴隷だ。
男は手のひらに遠方の映像を見せる魔法を用い、今現在の奴隷の様子を一人一人見せていく。
砂漠の国の王族らしき凛とした佇まいの褐色の女
東洋の国のクノイチらしき、落ち着いた様子の女
王族や貴族の男女、或いは騎士や兵士。
遠方の国の亜人、獣人、竜人、希少な魔物。
種族や性別を問わず、この辺りの奴隷商やバフートではまずお目にかかれない上玉の数々をプレゼンしていく。
先の娼婦の一時的な損害のことなど、忘れてしまうような商品目録。
「いつも通り、買うならお早めに…だ。
ウチのモンが遊び過ぎて、鮮度が悪くなる前にな」
当然、捕らえられている奴隷たちは男の手下たちの玩具にされていることだろう。
調教の手間は省けるが、時間がたてば商品も傷んでしまうだろうと。
■ルドミラ > 潰される娼婦の数が多ければ多いほど、魅力的な商談を期待できる相手というのは、
複数の取引相手のなかでもこの男くらいなものだろう。
さて。強烈な魔力の波動、負の覇気の圧。すこし感性の鋭い魔術師なら、
この男の近くいるだけですさまじい魔力酔いを起こすかもしれなかった。
ただの人間でも知らず知らずのうちに影響を受ける。
彼の素性の全てを知っているわけではない女主人でも、ここまで間合いが近いと、
少々当てられそうだ。
無論、おくびにも出しはしないのだが。
今回の商品リストと、魔術的な遠見のカタログを見比べるうち、女主人の白い横顔には
隠しようもない喜色が浮かぶ。
懐から口紅を取り出し、細い薬指ですくいとると、望みの商品の欄に赤い印を手早く捺して、
「いつもながらに素晴らしい品揃え。このルドミラ、感服いたしました。
さっそく値段の交渉に移らせていただきたいわ。明日のうちにも、引き取りに参ります」
ほとんどうっとりと目を細めて、ため息をつく。先程の娘たちのことは、確かにもう頭にはなさそうだった。
女が今回印をつけたのは、目録の7割ほど。これだけの数を一気に捌けるとなれば、多少の値下げ交渉の余地はある、と思いたいもの。
「輸送費はこちら持ち、ご祝儀として団員の皆さんに酒肴の差し入れも。
長い旅を終えられたばかりですもの、
ボルフライ様を除いては皆様お疲れなのではなくて……?」
■ボルフライ > 男からしてみれば魔力の垂れ流しなどいつものこと。
なぜ他人様のために力を抑えなければならぬのか、と言ったところだ。
故に人によっては影響を受けてしまう者もいる。
ある人は畏怖と敬意を、またある人は靡き甘える。
人を引き付ける魅力自体は、かなり持っている方だろうが。
商品を見て露骨なまでに色気を見せる女主人に、男も満足そうに酒を呷る。
これもいつもの光景、この男が仕切る商談でハズれることなどありはしない。
だからこそ、最も金を出す相手に売るのだ。
「賞賛など不要、欲しいのは金だ。
だがそちらもずいぶん気前がいい、値段については一考しよう」
頭の回る手下に交渉術でも学んだか、多少気の利いた言葉は出るらしい。
その言葉は上玉の数々を手に入れることができると色めく彼女を、さらに高揚させたか。
「いただけるものは頂くとしようか。
だが俺も、茶菓子程度じゃ満足してないぞ」
やはり気前の良い彼女の振る舞いには気分も良くなる。
手下どもも適当にいい酒と飯を与えれば疲れなど忘れてくれよう。
だが、この欲深き大男はその程度で満足などしない。
相変わらず鋭い視線を彼女に送れば、その逞しき腕で彼女の身体を分厚い胸板に抱き寄せてしまおうか。
■ルドミラ > 「まあ! 嬉しいわ、ほんとうに?
公主降嫁以来、異国のお客様がたくさんいらっしゃって。
品揃えの入れ替えをしなくてはいけないところでしたのよ。
本当によい時に来てくださっ、──ぁ……ッ」
期待のもてそうな返事に両の手指の先を合わせて喜ぶ様は、だが、
不意に肉の防壁めいた胸板に抱き寄せられ、不発に終わる。
手にした口紅の容器が、カツンと硬い音をたて、床に転がった。
黒のドレスの胸元を盛り上げる柔らかな肉の丸みが、固い胸板に押し潰される。
檻のような太い腕にとらわれた瞬間、間近になった黒目がちの瞳が、一瞬、焦点をあまくした。
魔力酔いだけではない、理由で。
「……お望みのままにしたら、より色よいお返事を、考えて下さいます……?」
ローブの襟元をなぞる手は、男を宥めるようにも、煽るようにもとれる動き。
息がまざる距離で、人を商いの道具にする者たちの体温が上がった。
■ボルフライ > 「クク…無垢に喜ぶ様を眺めるのもいいが…
やはり俺は悪党だからな、魅力的な顔と身体は穢してやりたくなる」
男らしく抱き寄せてはいるが、やはり欲望の塊の男。
人で商売をする悪党同士、いちゃつくなどあり得ない。
太い腕は彼女の身体を抱き寄せているが、その大きな手のひらはがっちりと臀部を鷲掴みしている有様。
瞳を蕩かせる彼女の変化に、男は目ざとく認識して口角を上げる。
「それはお前次第だな『女主人』、楽しませてもらおう」
これがいつもの流れ、いつもの調子。
言葉による値段交渉など上っ面だけのもの、本当の交渉はこれから執り行われる。
彼女と等しく昂り、熱を帯びる肉体に彼女を寄り添わせたまま、ソファから立ち上がろう。
羽織っていただけのバスローブがぱさりと落ちれば、屈強なまでに逞しい、筋骨隆々な肉体が露わとなる。
この女主人を満足させるに足るであろう肉体、そしてその下半身に備わる極太も含めて。
熱く、激しい交渉となることは間違いないだろう。
■ルドミラ > 男の手の中で、力の入った女の尻肉がぐ、と締まって、頂きの位置を高くする。
禁欲的な黒のドレスの下の肉体。そのすべてが、熱っぽく息づいていた。
長い首を差し伸べて、男の耳元へ唇を寄せる。
内緒話を打ち明けるトーンに、声を落とした。男には見えぬ位置で、悩ましげに眉をひそめながら。
「ご存知でしょうけれど、ボルフライ様。あたくし、あなたのような逞しい殿方が、とても好みなの。
油断なさってはダメ。今日こそ、一方的に得をするのはあたくしの方かも知れなくてよ……?」
男が立ち上がり、古代の魔神の像めいた雄々しい裸体が露わになる。
鎖骨から肩、胸板と滑る女の白い手は、もの慣れた風。
いつしかふたりの間の決まりごととなった交渉が、幕を開ける……。
ご案内:「『女王の腕』亭」からボルフライさんが去りました。
ご案内:「『女王の腕』亭」からルドミラさんが去りました。