2019/03/07 のログ
■断 > 「―――っていうか、俺が腹、へっちまったよ。
夜食に向いた残りモン、何か無いか…?」
思い返せば今日一日の食事は、仕事をしながら味見することだけだったことに気づいた。
少量ずつだが量と回数をこなしていたので、極端な空腹や栄養不足は感じないが、それでも所詮、味見は味見。
ちゃんとした食事を摂らないでいた、引き締まった青年のお腹は一段薄く見えて、胃の辺りをさすりながら保存食の棚を開いて
「古くなってきた干し肉とかチーズでもありゃあな…
都合よく処分しちまいたいんだけど」
ジャムやピクルスのビンばかりなのに少しゲンナリしつつ、
もうすこし粘って保存棚を漁る。
その間にも、スープの匂いや音には気を配って、聴覚の注意は調理場全体に向けていた。
■断 > 「お、こいつは…」
保存棚の奥から、年代もののブランデーと、
丁度使いみちに困る程度の少量のドライフィッシュが出てきた。
「―――いいんじゃないでしょうか」
いそいそと其れを手に、再び調理台に向かって、
コトコト煮込む鍋を脇目に、ちょっとした晩酌を始める。
■断 > そのまま夜は更けていき… 多少なり満たされた空腹と、
上質の酒気のおかげで、長くはないが深い眠りにつくだろう。
ご案内:「閉店した料理屋」から断さんが去りました。