2019/03/07 のログ
> 「―――っていうか、俺が腹、へっちまったよ。
夜食に向いた残りモン、何か無いか…?」

思い返せば今日一日の食事は、仕事をしながら味見することだけだったことに気づいた。
少量ずつだが量と回数をこなしていたので、極端な空腹や栄養不足は感じないが、それでも所詮、味見は味見。
ちゃんとした食事を摂らないでいた、引き締まった青年のお腹は一段薄く見えて、胃の辺りをさすりながら保存食の棚を開いて

「古くなってきた干し肉とかチーズでもありゃあな…
都合よく処分しちまいたいんだけど」

ジャムやピクルスのビンばかりなのに少しゲンナリしつつ、
もうすこし粘って保存棚を漁る。

その間にも、スープの匂いや音には気を配って、聴覚の注意は調理場全体に向けていた。

> 「お、こいつは…」

保存棚の奥から、年代もののブランデーと、
丁度使いみちに困る程度の少量のドライフィッシュが出てきた。

「―――いいんじゃないでしょうか」

いそいそと其れを手に、再び調理台に向かって、
コトコト煮込む鍋を脇目に、ちょっとした晩酌を始める。

> そのまま夜は更けていき… 多少なり満たされた空腹と、
上質の酒気のおかげで、長くはないが深い眠りにつくだろう。

ご案内:「閉店した料理屋」からさんが去りました。