2017/10/09 のログ
ご案内:「打ち棄てられた教会」にクトゥワールさんが現れました。
■クトゥワール > 「――…これは。」
いつものようにフラついていると、突如として猛風に見舞われ逃げ込んだ木立の中。佇んでいた建物。
その扉を開けたのはただ風除けのつもりであったが、思いがけない中の様子に思わず息を吐いた。
見上げるように首を巡らせる。紅色の瞳には珍しい感嘆の色が宿った。
もう何時から人の手の入っていないのだろうかも判らない廃教会。
しかし未だに厳かな空気は失われていない。正面には石造りの精緻な彫像が据えられ、その背面の壁には色付けされた石が嵌め込まれて後光のように神性と威光を演出している。
かつて人々はこの場に集い、像に祈りを捧げていたのだろうか。
「――……。」
視線を移ろわせ、靴音を奏でる。
暫くここに留まろう。良い時間潰しにもなりそうだ。
■クトゥワール > 本来なら忌避すべきなのだろうか。ここは嘗て人々に受け入れられ、求められていた神の座であったのだろうから。
或いはそのような存在が退く羽目になったからであろうか。不思議な居心地の良さを感じる。
堅牢な石壁越しに響く風の音がその心地良さを更に増してもいるのだろう。
時も流れる事を忘れたようにどこか異世界めいた、隔絶されたこの雰囲気は己の鏡の空間らしくもある。
「捨てられて、もう長いようだがな」
横並びになっている木のベンチなど、よく保っているものだ。
もしかすると余程に力の強い神霊がいたのかもしれない。その残滓が、もう誰もいないこの場所を守っているのか。
そうは言っても、椅子に腰を下ろしてみれば少し危うい――なんとか己の重みは受け止めきれたようだが。
少しリラックスし、外の様子に耳を傾ける。
荒れ狂っている。何者かが風の怒りを買いでもしたのかというほどに凄まじい。
渦の如き颶風に翻弄され、擦れ合う木立の音が木々の悲鳴のような気さえする。
そうして外が荒れる程に、この場所に妙な安らぎを感じるのは何故だろうか。
――気付くと瞼を閉じていた。
ご案内:「打ち棄てられた教会」にアーラシュさんが現れました。
■アーラシュ > この建物に逃げ込んだ理由は、クトゥワールと同じようなものだった。
人間世界に戻ってまだほんの数日。あてもなく歩き回っているうちにこんな時間になり。
そして風にまかれて逃げ込んだ。あわよくば一晩ここで過ごせば
安宿の料金もうく。そんな程度の認識で。
先客がいる?椅子に座ったその人物の服装は浮浪者の類には見えなかった。
そのせいでむしろ不気味に感じた。その青年、青年?一瞬の間に、壮年の男性にも見えた
肩幅が女性のように見えた。煌くようなめまいをはさみ、走馬燈のように
その椅子に座った人物像がずれる。
下級の淫魔は、何か来てはいけない場所に来たような後悔を覚えながら眩暈にこめかみを抑え
教会の入口の前で立ちすくんだ。