2017/10/05 のログ
ご案内:「設定自由部屋2」にマティアスさんが現れました。
ご案内:「設定自由部屋2」にエアルナさんが現れました。
マティアス > ――旅は続く。

終わりはない。いつかどこかにたどり着くのかもしれないが。そして、そこは安住の地になるのかもしれない。
だが、今はその時ではない。心のままに善を為し、刃のままに悪を為す。
悪と言いうる手段で、悪を圧するだけのことだ。
翻って其れが善き事に繋がり、良く生きることになるなら、何をためらう必要があろう。

依頼を以て跋扈する野盗を一掃し、今宵逗留するのは或る街だ。
肥沃な土地と農家たちが取り仕切る街で最近、作物を狙って訪れるものを他の冒険者らと共に片す。
報酬としては高額ではないが、何やら祭りがあると聞けば其処に顔を出してみるのも悪くはない。

「――……やぁ、良いねえ。こういう酒の類は久しぶりだ」

街の広場がその祭りの会場だ。いわゆる、収穫祭。秋の豊穣なる収穫を祝う祭りである。
名品と謡われるビールの樽が遠慮なく開けられ、秋の実りの一つとして屠殺された牛や豚等の料理等が振舞われる。
そんな場所の一角で酒を啜る姿がある。ローブ姿に剣を帯びるという装いの術師だ。
木製のジョッキに並々と満たされた麦酒を呷り、皿の上に骨付き肉を置いて時折齧りつく。一見下品かもしれない光景だが、これがまた旨い。

エアルナ > こんな風に、師匠でもある青年と旅をする日々を重ねるようになって…どれくらいたっただろう。
ついこの間はじまったばかりのような、ずいぶんと長い間こうしてきたような、顧みれば不思議な感慨が浮かぶ。

とはいえ、それが充実しているからこその感想だ。
地方の町の秋祭りに繰り出しながら、その平和な光景と収穫の豊かさに自然、笑みも浮かぶ。

「ふふ、お酒はけっこうたしなんでますもんね。
でも、私も割と好きですよ、こういう素朴な感じのお酒は」

なんといっても、下手に装飾を施していない自然な味だ。
そして、塩と香辛料…ごく基本のそれだけを振りかけて焼いた肉。
すこしばかり、トマトとか野菜を添えただけのそれが、実にいい。
傍らで骨にかじりつく白狼の姿もあるのも、いつもどおりだが、祭りのせいかあたりも全然気にしていない。

まぁ、いちおう赤い首輪をして大きな犬です、というふりはしているのだけど。

マティアス > この少女を伴っての旅も、気づけば長い。弟子でもあり、それ以上でもある。情の類は――どうだろうか。
分からない。ただ、考えても仕方がないというのが正直なところである。
いずれ、結論を迫られるべき時もあるだろう。だが、今はその時ではまだあるまい。

――考えすぎれば囚われる。
囚われれば、酒がまずくなる。
故に、今はまだとやかくは考えない。

少しばかり、酔っているのだろう。そうでなければ、こんな下手な三段論法紛いなぞ考えてない。

「うん、好きだとも。ただ、酒瓶を常に置いて愛でていられないのが悔しい処だけどね。
 この辺りの酒は、特に麦酒の類が美味いという。ドワーフ垂涎という尾鰭も付くほどの、良いものだ」

手づかみする肉は気を付けないと、肉汁がローブに滴ってしまう。少しばかり苦労しながら適度に摘まんで、麦酒を含む。
付け合わせというにはこんもり盛られた、ふかして潰した芋がご愛敬だが、これはこれでいい。
素材の味がよく出ている。人の流れに紛れつつ、馴染みながら夕餉も兼ねた飲酒に励む。

ついつい、深酒が過ぎてしまうものが出るのも無理もないだろう。こんな大盤振る舞いなぞ、王都ではそうもいかない。

エアルナ > 初めてであったのは、やはり地方の旅先の町。
冒険者と依頼者という形の出会い。
けれど、それぞれに流れる血筋が精霊のものであるのと、それから…いろいろな形のものが重なって。
師匠と仰ぐようになったのも、ある意味当然というか自然というか、実力を知ればそうなるというか。
師匠以上でもある彼が楽し気に酒をたしなむのを、楽しそうに眺めるのも、また、一興。

「たまに飲むから、よけい美味しいんじゃないですか?
そうそういつも飲んでると、いくら美味しいものでも、酔いからさめなくなっちゃいますよ」

半分冗談交じりに、のんべを揶揄するのも、祭りならではの光景…ではあるのだが。
むこうのほうでは、深酒の挙句だろう、全然服装の質が違う男たちが仲良く肩を組んでなにやら歌を歌いだす…
収穫祭の、感謝の歌なのは、いかにもらしい。

かとおもえば、お盆一つで器用な裸踊りをはじめるのもいて。
周囲がどっとはやし立てたりして、実ににぎやかだ。

…裸踊りからは微妙に目をそらし、やれやれ、と微苦笑。

マティアス > ――その縁から旅を初めて、どこまで来たのだろうか? 

実は、どこにも至っていないかもしれない。いっそ、国の外へと思うが、如何せん彼女の家という縛りもある。
振り回しても気兼ねなくいいのならば、幾らでも無茶は効こう。しかし、慮らねばならないこともあるのが悩ましい。

「まぁ、ね。酒は僕らのような術師も幾つか手元に置いておきたいけれど、嵩ばるのが悩ましい。
 この程度で酔っ払ってしまう程、ヤワではないよ。

 嗚呼、……使い手によってはね、解毒の魔法で酔いを飛ばすなんて者も居るそうだよ?」

全く無茶をするのも居る、と。遠い目をせずにはいられない。
酒毒を消してしまうのは確かに一つの手であるが、この酩酊感を味わうのも酒を呑む愉しみであろうに。

視界を映せば、酒が過ぎて騒がしく、あるいは羽目を外して無茶をする光景がある。
そういう情景を眺めるのは良いが、顔を突っ込みたいとなると首を横に振らずにはいられない。

エアルナ > いちおう、二人ともこの国では貴族の出身になる。
だけど冒険者は、家柄より実力、それに…熱意と運と仲間だろう。
曲がりなりにも自分がこうして冒険の旅をしていられるのも、頼もしい師匠の青年がいてくれるからだ。
そして、いつもそばにいる白狼も。

「ほんとに強いですねえ、お酒には。
ミルクの代わりにお酒で育ったんじゃないですか?」

などと冗談を言いながら、解毒の魔法の話には肩をすくめる。
じつにもったいない話だというのは、たくさんの料理を魔法で消化促進しながら詰め込むのを考えればわかることーー

ほどほどがいいのだ、身体に負荷がかかりすぎない程度の。
そしてそれは、お酒の騒ぎも同様である。

「…お祭りならではの、光景ですねえ…」

見えそうで見えない、というお盆の芸に周囲の酔っぱらいはもりあがっているが。
あれはその、素面では到底できない芸だろう、うん。